市内緑区には、カタクリの自生地が何カ所かあります。地元の人によって整備された著名な場所もあれば、人の手が入らず、野生のままにひっそりと残る場所もあります。3月27日、そんな野生のままの自生地の1カ所に、開花の様子を確認に行きました。森の中、静まり返った北向き斜面に咲いていました。
この自生地は株数はたくさんあるのですが、開花するのはその中のごく一部です。養分や日照など、いろいろな条件が揃った株だけが開花するのかもしれません。
春を告げる花の中でも、女王の風格ですね。
近くでは、黄色い春の花も開花していました。こちらはアブラチャンです。
面白い種名ですが、これは幹などに油分が多く、実際に灯油として使われていたことからついた名です。「チャン」は、油脂でできた軟膏などを指す言葉とのことです。
こちらはイヌナズナです。
ペンペングサ(ナズナ)の仲間ですが、相模原市内では緑区の里山で普通に見られるものの、中央区や南区ではほとんど見ることができません。
女王の降臨で春も加速をつけて駆け抜けていきそうです。フィールドから目が離せなくなる季節になりました。
(生物担当学芸員)