土曜日に交尾をさせたメスを、その日の夕方、たね紙の上に乗せておきました。
そして今日、月曜日。きれいに並んだ卵がずらり。メスもおなかがすっきりしています。
なぜこんなふうにきれいに並んで産むのかというと・・・
ビーカーをかぶせておくからです。カイコの卵は、ふ化のタイミングをコントロールするために浸酸処理などすることから、こうして産ませると作業しやすいのです。
大変お疲れさまでした。
ちなみにカイコの成虫は、食べるための口を持ちません。繭から出るときに、繊維を固めているのりを溶かす酵素を出す口があるだけです。成虫になったら、オスもメスもまさしく飲まず食わず。このまま衰弱して数日後には死んでしまいます。過酷な運命のように感じられますが、そんな感傷は人間の勝手で無意味な同情にすぎません。それがカイコの命のありようなのです。
こうして真珠のような卵によって世代を重ね、次の養蚕へとつながっていくのです。
(生物担当学芸員 秋山)