5月11日、相模原市緑区小山の神奈川医療少年院跡地で自然観察会「黄色い花の見分けをしよう」を実施し、生物担当の学芸員が講師の一人として参加しました。この観察会は少年院を管轄する法務省矯正局などが主催し、同じ場所に建設予定の新しい少年院と地域の結びつきを強めることを目的として実施したものです。
じつは、70年以上の歴史に幕を閉じた神奈川医療少年院内には、在来種のカントウタンポポが多数自生していて、その一部は現在も跡地で元気に生育しています。それを観察するのですが、その前に、お隣の小原公園でウォーミングアップです。
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小原公園でスタート
黄色い花を探して、タンポポか、タンポポではないかを確かめます。配布したテキストにならい、葉がどこから生えているか、花は1本の茎にいくつついているかで、タンポポを見分けます。
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これ、タンポポかな?
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花以外の部分もしっかり観察しています
そして、タンポポを見つけたら、次に花粉を採集して観察します。現在、横浜国立大学の倉田薫子教授の研究室が、少年院の敷地内にあったカントウタンポポを、取り壊し前に一時避難させ、それを新しい少年院に戻す計画を進めています。そんな縁で、研究室の学生さんたちがサポートしてくれました。携帯式の顕微鏡を操作して、花粉を確かめています。
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顕微鏡で花粉を観察中
花粉のつぶの大きさが揃っていたらカントウタンポポなのですが、小原公園内のタンポポはすべて外来種のタンポポとの雑種でした。
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大きさが揃っていないので・・雑種!
それでは!ということで、ふだんは立ち入り禁止となっている少年院跡地へ特別に入ります。広い跡地は、広大な草原になっていました。
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神奈川医療少年院跡地
カントウタンポポの花の季節は過ぎようとしていましたが、わずかに咲いている株もあったので、花粉を確認します。
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倉田教授から、カントウタンポポの葉に住み着いている昆虫の説明を受けています
こちらではしっかりと花粉のつぶが揃ったカントウタンポポを確認できました!
ほかにも、虫がいなくては生きていくことができない植物のために、虫の居場所づくりを創出する取り組みの一つである「虫ホテル」について、倉田教授から説明を受けました。
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早速「入居」している虫に興味津々
2時間ほどの自然観察会でしたが、こちらがびっくりするくらい、植物に関心の高い小学生や中学生が参加してくれていて、とても盛り上がって楽しい時間となりました。これからも地域のみなさんと、この場所のタンポポの様子を見守っていきたいと思います。
(生物担当学芸員)