5月18日の国際博物館の日に合わせて、毎月恒例の生きものミニサロンを実施しました。今回は「桑(くわ)の木でくらす生き物観察」というテーマです。桑の木はカイコの幼虫の餌として有名ですが、野外でも実は様々な生き物の生活の場となっています。そこで、博物館の敷地に生えている桑の木を舞台に小さな虫たちを観察しました。
本番の桑の木の観察のまえに、まずは肩慣らし。コナラの樹になぜかたくさん集まっている小さなアリたちを観察します。
虫めがねでよく見ると、緑色の小さなアブラムシがいるのが分かりました。アリたちはどうやらアブラムシに蜜をもらっていたようです。
観察を続けると、皆さんも小さな虫たちの世界に目が慣れてきたようです。
次は本番。桑の木の生きものを探してもらいます。
白いふわふわとしたものを背負った不思議な生き物が葉っぱの裏に隠れています。
これは、クワキジラミという昆虫の幼虫です。
シラミと名前につきますが、じつはアブラムシに近い仲間の昆虫です。白いふわふわはロウ状の物質で、幼虫だけが背負います。成虫は茶色っぽく、小さいセミのような見た目をしています。
つづいて観察したのは、枝先の茶色い生き物。
クワコという蛾の幼虫です。
下見では1頭しか見つからなかったのですが、参加者の皆さんと探したところ、3頭を観察することができました。
そして、参加者の方がなんとクワコの繭(まゆ)を見つけてくれました!
黄色くてとてもきれいな繭です。
じつはクワコは、カイコととても近い仲間です。
カイコは繭から糸をとるための品種改良によりもっと大きい繭を作りますが、繭の形じたいはクワコととてもよく似ています。
繭からも、同じなかまだということが見てとれます。
たくさんの目で観察すると、より多くの発見があることを実感した1日でした。
(動物担当学芸員)