関東地方が梅雨入りする前の6月19日(水)、本年度の市民学芸員視察研修を実施しました。
この研修は、当館のボランティア「市民学芸員」を対象に、他館園の運営や展示、ボランティア活動などを視察することで、個々の見識を深め、今後の活動に生かすことを目的としています。昨年度同様、本年も市外で研修を行いましたが、今回は茅ヶ崎市博物館と寒川神社の豪華2本立てです。
まずは、令和4(2022)年に開館したばかりの茅ヶ崎市博物館です。館長から茅ヶ崎市や博物館の概要をお話しいただいた後、開催中の特別展とサマリー展示・基本展示について、同館学芸員から解説いただきました。
茅ヶ崎市博物館の一味違うところは、一般的な「常設展示」に当てはまる展示室ではなく、8個のユニット(=展示台)から成る「基本展示室」で、17のテーマを定期的に入れ替えながら茅ヶ崎の自然や文化を紹介している点です。
つまり、“常設”展示ではなく展示替えを想定した作りになっていて、訪れるたびに新たな発見や新鮮な驚きを感じられる魅力があります。
「頻繁に展示替えがあり、大変なのでは?」と運営目線で心配の声がありつつも、独自の工夫点の数々に皆さん感嘆していました。
また、ショーウィンドウに展示された資料を観覧する「サマリー展示」は、来館者が“主体的に観る”ことに主眼を置いているそうで、あえて通路側にはキャプションを設けていないとのこと。
このほか、茅ヶ崎市内のお寺から借用した市指定重要文化財を含む貴重な資料がズラリと並ぶ特別展「東海道中お寺めぐり」や、天気が良い日は富士山も見える(!)テラスからの美しい眺望、図書館併設の館内などをじっくりと見学しました。
続いて寒川神社に移動し、権禰宜と学芸員のお二人から境内と方徳資料館についてご紹介いただきました。
本殿でお参りをした後、方徳資料館が存する神嶽山(かんたけやま)神苑へ。ここは、御祈祷をした場合にのみ入苑することができる特別な場所で、寒川神社の起源に深く関わりがあると伝えられる「難波の小池」を中心とした池泉回遊式庭園を丁寧に解説いただきました。
方徳資料館では、「八方除」に特化した珍しい展示資料や、神社の歴史、八方除信仰の歴史について学びました。資料館内で市民学芸員が自由に質問できるよう計らっていただき、帰路のひとこと感想タイムでも「とても丁寧な対応に大満足だった!」と振り返る参加者が多数でした。
例年この時期に開催する視察研修では、雨に降られてしまうことも多々ありましたが、梅雨入りが遅れていた本年は晴天に恵まれた1日となりました。参加者一同、ここで学んだことをしっかりと今後のボランティア活動に生かしてくれることでしょう。
今回の視察研修でお世話になった茅ヶ崎市博物館と寒川神社の皆さま、このたびは誠にありがとうございました。
(歴史担当学芸員)