博物館周辺には様々な外来生物が生育、生息しています。これは都市部に限らず、今や全国の、人が住んでいる地域では一般的な状況です。環境が改変され、人や物の移動の距離、量とも大きな現代では避けがたいことです。
そんな中でも、近年目立ってきている外来種はやはり気になります。今の季節、植物ならシンテッポウユリです。もともと園芸種として入ってきているので、花が咲く前からなんとなくありがたいものが成長してきている雰囲気があります。
そして、花も、目くじらを立てるのもどうかと思うくらい見栄えが良く、観賞用に残しておきたくなる気持ちもわかります。
ただ、これを放っておくと大繁殖してしまいます。高速道路の法面などがこの大きな白い花で覆われているのをよく見ます。博物館の敷地に生えたものは、見つけ次第抜き取っています。
そして、チョウの仲間のアカボシゴマダラです。
こちらは人為的に放蝶されたものが元で、野外で広がってしまったと言われています。こちらも大きくて美しいチョウですが、幼虫は在来のゴマダラチョウと同じくエノキを食べるので、その関係がちょっと気になります。
何より、今現在、博物館周辺で最も目立つのがこのチョウです。大きいからという理由もありますが、晴れていれば必ずといってよいほど複数が飛んでいるのを見かけます。
外来種がすべて在来の生態系に対して大きな影響を及ぼすとは限りませんが、これだけ目立つと、やはり気になって仕方ありません。
(生物担当学芸員)