記録的な暑さが続いているこの夏、県内では8月に入ってからの半分以上が最高気温35℃を超える猛暑日となっています。
相模原市立博物館は8月25日(日)までの期間、暑さに負けず、毎日休まず開館しています。期間中はプラネタリウムの夏休み特別上映も実施中!楽しい夏のお出かけに、ちょっと涼みに、ぜひ当館へお越しください!
さて、夏恒例の行事と言えば色々思い浮かびますが、博物館の夏の風物詩の一つが「博物館実習」です。この実習は、各大学から学芸員の資格取得を志す学生を受け入れ、博物館活動や学芸員業務に必要な素養を身につける、いわば実地訓練です。令和6年度は全6分野で19名の学生を受け入れています。
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実習生総勢19名で3日間の共通実習がスタートしました!
当館の博物館実習は、全9日間のうち3日間を全分野共通で、残り6日間を分野ごとに実施するという特徴があります。専門性を活かすだけでなく、専攻が異なる学生が一堂に会する共通実習は、地域の総合博物館である当館ならではのプログラムと言えるでしょう。
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これから一緒に実習を頑張る仲間として、自己紹介タイムで打ち解けます。
8月6日(火)の共通実習1日目は、座学と館内見学に始まりました。当館職員が講師となって館の管理運営業務や学芸員業務について講義をした後、午後からはバックヤードから展示室まで館内を見学し尽くします。
一般には開放していない空調機械室やコントロール室、イベント以外では訪れる機会が少ない天体観測室などが印象的だったようです。また、幼少期から当館を訪れていたという学生は、実習で改めて常設展示を観覧したことが新鮮だったとのこと。
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収蔵庫の中までじっくりと見学。
8月7日(水)に実施した共通実習2日目では、3班に分かれて自然系資料の取り扱い(植物標本の固定作業)、人文系資料の取り扱い(掛軸の取り付け、取り外し)、資料の梱包(本物の土器を使用します!)を行いました。
前日までとはうって変わり、たくさん手を動かす内容が中心でしたが、皆さん熱心に取り組んでいました。自身の専攻と異なる分野の資料の扱いに苦慮したり、実物資料にドキドキしながら接したり、とても忙しい1日になったことでしょう。
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掛軸の取り扱いでは「矢筈(やはず)」という専用の道具を使います。
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タケノコ状に巻かないように、巻緒(まきお)は正しい手順で結ぶように…、考えることがいっぱい!
8月8日(木)、共通実習ラストの実習内容は展示解説です。常設展示の中から自分で資料を選び、シナリオを考え、実際に展示解説を行います。資料について調べたことを持ち時間の5分間でどれだけ伝えられるか、観覧者は理解できる内容かを考え、資料と向き合った結果を言葉にします。緊張する姿も見られましたが、皆それぞれ良かった点や反省点などが見つかりました。
当館の実習における展示解説の本番は、自分たちで作り上げる分野別の実習生展示を、来館者の方に向けて解説することです。共通実習をとおして課題が明確になったことで、本番ではより良い展示解説ができることを期待しています。
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2羽のカラスの違いは…?
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立体的な文様が特徴的な勝坂式土器について解説しています。
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同じ「クワ」でも、形状が違う…!?
3日間の共通実習が終了し、いよいよこの後は分野別実習が始まります。今月末頃からは実習の集大成である実習生展示(※)も館内各所でご覧いただける予定です。タイミング次第では、実習生による展示解説にもご参加いただけるかもしれません!
令和6年度博物館実習生の今後の成長をお楽しみに!
(歴史分野学芸員)
※実習生展示の展示期間は分野によって異なります。告知なく開始・終了することがありますので、ご了承ください。