野外や庭先では、アサガオが目立つ季節になりました。入谷の朝顔市(7月初旬)のイメージからも、初夏の花のイメージが強いアサガオですが、多くの種類の花期は夏の終わりから秋にかけてです。この季節は雑草化したものを含めて、特に青いアサガオが目立つので、その種類についてちょっと整理しておきましょう。まずはこちらが最もスタンダードなアサガオです。
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スタンダードな種類のアサガオ
アサガオの花色には、白からピンク、紫、青とさまざまな色が知られていますが、どの色でも共通の識別ポイントは、花を支える萼にあります。萼片の先がスッとまっすぐ上向きに細長く伸びています。
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アサガオの付け根の萼片はスッと上に細長く伸びる
では、この時期に植込みや畑の周りなどで見られるこちらの小さめの花の青いアサガオはというと・・
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マルバアメリカアサガオ
マルバアメリカアサガオという種類で、萼片がクルっと反転しています。花は小さくて、直径が4センチメートルほどです。
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マルバアメリカアサガオの萼片はクルっと反りかえります
葉がふつうのアサガオのように3つに切れ込んでいる変種のアメリカアサガオとともに、野外で雑草化しているのがよく見られる種類です。
そして、園芸種として人気のヘブンリーブルー(天上の青)は西洋種と言われるアサガオの一種で、生垣や壁面などにつるをはわせているところでは、大量の花を咲かせています。
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爽やかな水色が美しいヘブンリーブルー
こちらの萼片は上記2種に比べて無毛であることと、先が伸びないことが特徴です。花を上から見るとアサガオとそっくりですが、横から見るとすぐにわかります。また、葉は切れ込みません。
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ヘブンリーブルーの萼
ヘブンリーブルーとよく混同されることもある、こちらも旺盛に花を付けています。
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オーシャンブルー 萼片はやや細長く伸びてまっすぐ、無毛
こちらはオーシャンブルーという種類で、これまでの3種との決定的な違いは、宿根系(多年草)だということです。通常、アサガオの仲間は一年草が多く、花が終わると根を含めて枯れてしまいますが、オーシャンブルーは地上部は枯れても、翌年また芽を出します。ヘブンリーブルーとの違いは、「曜」と呼ばれる花の内側に放射状に延びる5本の筋に赤味があることです。朝咲いた花は、午後になるとだんだんこの部分の赤味が強まり、夕方には全体的に赤紫色になるので、その変化を楽しめるのも特徴です。
この他にも、雑草化するアサガオの仲間でマルバアサガオ(マルバアメリカアサガオとは別の種類!)や、ホシアサガオ、マメアサガオなどがあるのですが、また別の機会に紹介いたします。
(生物担当学芸員)