【R6学習資料展見どころ紹介②】昭和29年ってどんな年?

現在、学習資料展「相模原70年と学校給食のあゆみ」を当館特別展示室にて開催しています。
学習資料展とは、当館の博物館ボランティア「市民学芸員」との協働により、おもに小・中学生の皆さんの学びに役立てていただくことを目的とした秋季恒例の企画展です。本年は相模原市市制施行70周年記念事業として、特別な内容で開催しています。

前回に引き続き、展示の見どころを紹介したいと思います。

学習資料展「相模原70年と学校給食のあゆみ」

相模原市は、今から70年前の1954(昭和29)年11月20日に県下10番目の市として誕生しました。市制施行当時の人口は約8万人で、現在のおよそ9分の1でした。

ところで、相模原市が市制施行した年にどのような出来事があったか、皆さまはご存知でしょうか?
70年前のこととなると、学習資料展のメインターゲットである小・中学生をはじめ、まだ生まれていなかったか、幼かったためよく知らないという来館者の方が多数かと思います。

今回の展示では、「昭和29年ってどんな年?」という皆さまの疑問にお答えするため、70年間のあゆみを紹介するコーナーの冒頭で、1954(昭和29)年のおもな出来事とそれに関連する資料を展示しています。

今から70年前にどんなことがあったでしょうか…?

お金の単位「銭」(1銭=1円の100分の1)が通用停止し、「円」のみが流通するようになったのが1954(昭和29)年のこと。このコーナーの展示は、前年を最後に使用されなくなった「10銭紙幣」と「50銭黄銅貨」に始まります。

本年6月に開催した新規収蔵資料展が記憶に新しい、郷土の偉人・尾崎行雄(雅号:咢堂)が没したのも1954(昭和29)年の出来事です。尾崎の逝去を報じた当時の新聞(『読売新聞』1954年10月7日号)は必見です。

近藤日出造による似顔絵(左)と、尾崎の訃報を伝える当時の新聞(右)

遠洋マグロ漁船の第五福竜丸が米国の水爆実験によって多量の放射性降下物(死の灰)を浴びた被爆事件や、市内(当時は相模湖町域)の相模湖で発生し、22名の中学生が犠牲となった「内郷丸遭難事件」といった、同年の痛ましい事件も歴史上の忘れてはならない出来事として取り上げています。

このほか、お馴染みのキャラクターが登場する映画の公開や、当時大人気だった力士の活躍など、幅広く1954(昭和29)年を紹介していますので、ぜひご覧ください。

また、市制施行に関連した資料として、町議会8月臨時会で可決された市制施行を報じる『広報相模原特集号』(1954年9月15日号)や、祝賀記念パレードのために製作された市旗の実物を展示しています。

市制施行祝賀式典(『相模原市史現代図録編』より転載)

当時を物語る数々の資料をご覧いただけますので、ご来場の際はぜひこのコーナーにお立ち寄りいただきたいと思います。

(歴史担当学芸員)

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