自然観察会は多くの人と自然観察の楽しさを共有できて、とても楽しいものです。ただ、運営する側だったり、講師として案内役だったりすると、解説から行程・安全管理、質問対応などさまざまな役割があり、写真を撮る余裕もほとんどありません。しかし、それでも自然観察会が楽しみなのは、その前に必ず実施する「下見」が本番にも勝るとも劣らぬ楽しさがあるからです。
10月14日に、隣接する市の公園の自然観察会に出向いたのですが、その前週にスタッフと下見を行いました。アザミの花を訪れていたたくさんのホウジャク(蛾の仲間)の中から、ホシヒメホウジャクを探して撮影したり・・

ホシヒメホウジャク
葉柄だけになっていたネムノキがあったので、犯人を捜してみると・・葉柄にぴったりとくっついて擬態するイモムシがいました。

見事な擬態です!
シャクガの仲間の幼虫のようです。これだけ徹底的に食べつくしてしまってこの先どうするのか、思案に暮れているようにも見えました。
さらに、ニシキギの茂みの上にいたのは、キバラヘリカメムシです。

キバラヘリカメムシ スタッフみんなで競い合ってニオイをかぎました
カメムシというと、臭いというイメージが強いのですが、この種に限っては嫌いな人が少ない匂いです。例えるならば、青りんごの香りです。
そして本番を迎えた本日、快晴の中、本番直前の下見をしました。まだ角度の浅い朝日を浴びて、ジョロウグモがせっせと網づくりをしていました。
太陽が高く昇るとこんなキラキラした様子は見られないので、これも下見の役得ですね。真っ赤に色づいたガマズミの果実の中には、虫こぶがたくさんついていました。ガマズミミケフシです。

ガマズミミケフシ(虫こぶ)
この後迎えた本番も、熱心な参加者のみなさんと思い切り自然観察を楽しむことができましたが・・写真を撮る余裕はやはり、ありませんでした。
(生物担当学芸員)