12月18日、博物館お隣の樹林地を歩いていたら、クロジのオスに出会いました。
クロジは、博物館周辺では冬鳥です。かつては丹沢の高標高地で繁殖していましたが、近年は繁殖数が激減しています。クロジが繁殖地として好むのは、下草がササ(スズダケなど)に覆われたブナ林のような樹林地です。繁殖数の減少は、シカの増加によりササ群落が衰退するなどしたことが原因とされています。
さて、そんなクロジですが、冬鳥としては安定して見られます。ただ、常にヤブの中を潜伏して暮らしているため、なかなかその姿をはっきりと見る機会がありません。この時は近くの水場へやってくる途中だったのか、しっかり姿を見せてくれました。
この色、他の鳥にはなかなか無い色合いです。色名としては鈍色(にびいろ)でしょうか。とても渋みのある美しさですね。ちなみにメスや幼鳥にはこの色はありません。
ヤブの中で暮らしていてあまり見る機会の無い鳥といえば、こちらも出てきてくれました。ウグイスです。
水浴びをした直後なのか、羽を膨らませてちょっとリラックスした雰囲気でした。こちらの羽色は、まさしく鶯色(うぐいすいろ)です。鶯色というと、緑がかった色と誤解されがちですが、日本の伝統色の鶯色は、ちゃんとウグイスそのものの灰褐色です。その誤解についてはまた機会を改めて紹介したいと思います。
(生物担当学芸員)