1月19日(日)、甲州道中歴史講座の第4回目を開催しました。
この講座は、甲州道中における各都県下で唯一の本陣建物が現存しているというご縁から、本市と日野市との自治体間連携として実現した事業の一環です。昨年10月から月1回、連続講演会形式で行ってきた本講座もこれが最終回です。(第1回、第2回、第3回)
講師には、国文学研究資料館プロジェクト研究員の菅原 一(すがはら はじめ)さんをお招きしました。菅原さんは近世の村社会を研究分野とされていて、フィールドである長野県域の史料調査から浮き彫りになった江戸幕府による五街道政策について本講座でお話しいただきました。題して、「江戸幕府の五街道政策と甲州道中」です。
講座の中で大きく取り上げられていた「今井太郎九郎一件」は、信州小県郡(ちいさがたぐん)房山村(ぼうやまむら/現在の長野県上田市)の丸山家が所蔵する古文書に記述されていた江戸幕府による宿駅・助郷窮乏の救済計画です。この計画の登場人物をかわいらしいキャラクターに見立てた人形劇仕立てで解説いただき、古文書に親しみがある方もそうでない方も楽しまれていた様子でした。
また、これまでの講座でも頻出し、村々の大きな負担となっていた宿駅の仕組みや助郷制度についても解説いただき、まとめの最終回として理解を深められたことと思います。
この日も多くの方が来場され、ありがたいことに参加者の1割ほどは複数回にわたってお越しいただいたとのことです。なんと、全て制覇されたという数名の強者も…!全4回で延べ200人以上の皆さまにご参加いただきました。
甲州道中歴史講座はこれにて終了しますが、日野市立新選組のふるさと歴史館の特別展「甲州道中日野宿と本陣」は来週1月26日(日)まで開催中です。このほか、令和6年度の歴史分野博物館実習生が制作したミニ展示「甲州道中と明治天皇巡幸」を、年度内に吉野宿ふじやで出張展示する予定です。まだまだ甲州道中本陣連携事業は続きますので、引き続きご興味を持っていただけると幸いです。
(歴史担当学芸員)