3月20日、かねてからお知らせしていた麻布大学いのちの博物館との連携記念講演会第2弾「ヒトとイヌの絆 最新研究が示す、特別な関係の現在、過去、未来」を開催しました。

たくさんの方お越しいただきました
講師は同大学獣医学部教授の菊水健史(きくすい たけふみ)さんです。前半は、地球上で初めて家畜化されたイヌが、どのような性質によってヒトとの絆を築いてきたのか、他の動物との決定的な違いは何か、科学的な研究成果をもとに紹介していただきました。

菊水健史さん(麻布大学教授)
さらに、絆を形成している証拠となるホルモンの分泌量から、ヒトとイヌが相互に「幸せ」を感じていることを証明した実験や、オオカミと同一起源とされるイヌが犬種を増やしてきた過程と、その中での和犬の位置づけから、私たちに馴染の深い柴犬の特性が明らかになります。
そして、イヌがヒトとその社会へもたらすウエルビーイングへの効果から、これからの私たちの地域社会がイヌの存在をどのように活用していくことができるのか、そんな社会実験に取り組まれていることが紹介されました。

講演会のポスター
ヒトとイヌという1対1の関係性だけでなく、社会へもたらす効果の大きさに、聴講されたみなさんも大変興味を持たれた様子でした。質疑応答の時間では、会場からの非常に的を得た多くの質問に、菊水先生もお話がしっかり伝わったという感触を得られたようです。
150名近い聴講者のみなさんが、とても満足げな表情で帰途につかれていてました。麻布大学という地元の大学で、こんなすばらしい研究が行われていることを実感できるこの連携記念講演会、これからも続けていきたいと思います。
(生物担当学芸員)