3月29日、特定非営利活動法人アースウォッチジャパン(EWJ)と当館が主催する、女子中高生対象の日本固有のタンポポ調査実習を実施しました。これは、EWJが今年度から実施し、当館学芸員が協力している「日本固有のタンポポ全国調査プログラム」の一環として行われました。このプログラムにご支援いただいているRGAリインシュアランスカンパニー日本支店が理系女子の支援にも取り組まれていることから、今回は女子中高生を対象としました。
まずは、理系女子のロールモデルと言える、横浜国立大学の倉田薫子教授からタンポポ調査の目的や意義などについてレクチャーを受けます。

倉田薫子教授のレクチャー
続いて当館学芸員から在来種のカントウタンポポを花粉で識別する理論と方法の説明を受けた後、雨降る中でしたが、野外へ出てお隣の樹林地と駐車場でタンポポの花を採集しました。

やっと咲き始めたタンポポの花を採集
それを室内へ持ち帰り、花粉の顕微鏡観察を行います。今回は、ふだん当館で用いているダンボール紙を使った簡易プレパラートの方法ではなく、スライドグラスとカバーグラスを使ってプレパラートを作成しました。

今回はガラス製の器具をしっかり使って顕微鏡観察しました
サンプルが混濁しないよう、慎重に作業を進めます。

サンプルから花粉を取り出します
はじめは顕微鏡のピント合わせに苦労していましたが、すぐに慣れてしっかり花粉を観察、在来種の識別をできるようになりました。

若者は器具の使い方に慣れるのも早い!
お昼を挟み、キャリア教育プログラムに移ります。RGAリインシュアランスカンパニー日本支店のアクチュアリー(保険数理人)として活躍する社員の方から、この仕事へ携わるようになったきっかけや、仕事のしかた、キャリアアップのプロセスなどをお話いただきました。

国際色豊かな企業における仕事のお話に聴き入ります
また、倉田教授の研究室の学生やOBのお話がビデオで紹介されたほか、中高生の参加者それぞれが今目指していることなど活発なディスカッションが行われました。
そして最後は、バックヤード(収蔵庫)見学です。

興味津々の収蔵庫見学
博物館や生物に興味のある参加者がほとんどだったため、みなさん興味津々で見学されていました。
この日参加してくれた中高生のみなさんは、科学研究だけでなく、EWJの活動そのものに興味がある人、キャリア教育で通訳をしてくれたRGAリインシュアランスカンパニーの方の仕事ぶりに興味を持った人などそれぞれが多様な志向を持っていることがわかりました。社会の多様性を高めるために、こうした活動が重要であることを改めて感じることができました。
(生物担当学芸員)