今年もエナガ団子

4月下旬に入ると、エナガの巣立ち期になります。巣立ち後10日間くらいは、ヒナたちはまだ十分に体力も無いため、時々枝上に並んで休息します。その時、エナガはくっつき合って休息する習性があり、ぎゅうぎゅうにとまるその状態を“エナガ団子”などと呼び、バードウォッチャーの「見たいシーン」の一つになっています。今年も市内緑区の相模川で、エナガ団子を観察することができました。
まず、エナガの家族群を探すところから始まります。この日も歩いて10分ほどで、小さな地鳴きの声が頭上から聞こえてきました。

エナガの巣立ちビナ

エナガの巣立ちビナです。親鳥について回りながら、自分たちでも食料を探しますが、まだまだうまくはいきません。親鳥から頻繁に給餌を受けています。

餌をねだる巣立ちビナ(左)

そして、30分近く群の様子を眺めていると、ある木の枝の中にヒナたちが集まりだしました。次々と体をくっつけ合って並び、エナガ団子が大きくなっていきます。ただし、団子の中へ入るのはかなり強引です。どの子も内側でぬくぬくしたいので、真ん中あたりへ飛び込んで無理やり入ります。

内側へ入ろうとしてきょうだいの背中に乗ってすき間をこじあけるヒナ

この家族群の巣立ちビナは10羽でした。エナガでは標準的な数ですが、一つの巣から一度にこんなたくさん巣立つというのも驚きです。ある子は目をつむって眠り、ある子はまわりを気にしてキョロキョロ。そしてもちろん、親鳥が近づくとみんな揃って餌をおねだり。

一斉に餌をねだる巣立ちビナたち

こんな様子を映像でも撮影してみました。

ところで、給餌している個体を親鳥と書きましたが、この家族群には給餌個体が少なくとも3羽いました。オス親、メス親と、もう1羽はヘルパーです。ヘルパーとは、繁殖に途中で失敗したり、つがい形成できなかった成鳥が、子育てを補佐して給餌する個体のことです。エナガではよく知られています。これだけの数を数週間のうちに育て上げるには、ヘルパーの存在が重要なのかもしれません。
(生物担当学芸員)

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