先日、浸酸処理をして休眠打破をはかったカイコの卵は、予定のふ化日になってもいっこうにふ化せず、やきもきしていました。もしかして、浸酸した時の水温が高すぎたかな、などとあきらめかけていました。
しかし、今朝、ふ化が始まりました。どういう理由で遅れたのかよくわかりませんが、ともかくほっとしました。ふ化した毛蚕(けご)は、卵のそばでじっとしています。しかし、近くにクワの葉を持ってくると・・・。
やおらもぞもぞと動きはじめ、一直線にクワの葉へ向かいます。
においでしょうか。3ミリほどの小さな昆虫が生きて動いていること自体、不思議な気がしますが、それがこうして誰に教わるでもなくまっすぐ葉に向かい、食べては穴をあけていくのですから、驚きです。
この時期、7月下旬以降に育てるカイコを秋蚕(しゅうさん、またはあきご)と呼びます。気温が高くて成長が早いため、どうしても繭の大きさが小さくなりますが、もりもりと食べるスピードは変わりません。これからまた、カイコの日々が始まります。
(生物担当学芸員 秋山)