博物館の隣には、国立近代美術館フィルムセンター相模原分館があります。
基本的に一般公開している施設ではないので、隣で働いていてもどんなところか知らずにいました。
先日、念願かなって内部を見る機会に恵まれたのでご紹介します。
この施設の本来の機能は収蔵庫。最も多かった年度で8000本、平均すると毎年3000本程度のフィルムが持ち込まれるそうです。
収蔵庫内の温度は5度C。ちょっと寒いです。さらに2度Cで管理している部屋もありました。
収蔵状態。非常にシステマチックです。
映画フィルムや写真というのはとてもデリケートな資料なため、それだけ厳密な管理が必要とされます。でもそれだけの注意をはらってこそ、後世に伝える事ができるのだ、という事を改めて実感しました。
因みに、このフィルムは「ビネガー・シンドローム」という現象により劣化し、画像が完全に失われたものだそうです。多くの映画フィルムは、ここにやってくる以前に倉庫などに置かれているため、状態の良くないものが多いそうで、保存環境の大切さが良くわかります。(学芸班 木村)
※ビネガー・シンドローム=近年まで映画・写真に使用されていたフィルムの材質は「アセテート」と呼ばれるもので、通常でもゆっくりと分解する反応が起きています。高音・多湿の環境ではこの反応が急激に進み、画像を保てないまでに変質、変形してしまう事があります。分解の過程で酢酸が放出され「酸っぱい」においがする事から、この現象は、酢を意味する「ビネガー」の名前がつけられています。