昨日に引き続き、植物学教室「花の観察と植物画」の2日目を開講しました。今日のお題は木本。写真は講師の豊田路子さんのお手本作品です。
昨日の草花とは違った質感、色合いに挑戦です。昨日は紙のどこから描き始めたらいいのかも戸惑っていた受講者のみなさんも、今日は着々と(?)描き進めます。先生の手ほどきで、立体感や光沢を表現していきます。
午後の着彩に入ると、すでに立派な植物画になっている方もいらっしゃいます。
葉の表と裏の色合いの差、果実の一つ一つの濃淡などが、立体感や奥行きを出す要素となります。
ちなみにこの講座では、絵の具の白と黒を使いません。白は透明水彩の透明度を帳消しにしてしまいますし、真っ黒という色は、生物の色として自然界にほとんど存在しないからです。白は地の紙色を残し、陰の暗い色は、いろいろな色を混ぜて若干の色味のある黒やグレーを作ります。
さて、そんな2日間の長い講座の最後に、向かいの席の人に自分の絵を持ってもらって少し距離を置いて眺めてみました。
グッと間近で見続けては「ダメだ、うまく描けない」なんて嘆いていた人が、「あら?意外とがんばったじゃない」となるのがフシギです。それにしても、初めて会った人ばかりなのに、2日目の最後には旧知の仲のようにみなさん和やかにおしゃべりしながら過ごされています。お互い2日間、植物画に苦労しあった同志、といったところでしょうか。
1日5時間を2日間、ひとつの植物に向き合うという貴重な体験の中で、植物画の大変さとおもしろさの両方を味わっていただきました。受講生のみなさんには、今回そろえていただいた画材を無駄にしないよう、これからも絵に親しんでいただければと思います。お疲れさまでした。
(生物担当学芸員 秋山)