雨上がりの小倉山

今日は市内緑区の小倉山へ調査に行きました。小倉山は相模川右岸のなだらかな山塊の中心にそびえる山です。山頂には三角点もありますが、一般的な山歩きコースからはちょっと外れて、マイナーな存在です。しかし今、この小倉山の山頂を含む北斜面に建材の骨材となる採石場の拡張計画があり、このまま計画が進めば30年後には山頂がごっそり削られることになります。そんな山の現状を確認しておくための調査です。

相模原植物調査会のみなさんと、標高のわりに歩きがいのある道を登ります。山頂はこのとおり、眺望もなく、ちょっと残念な雰囲気・・。

でも、植物相はかなり特異です。絶滅危惧種や特徴的な植生も見られ、そこはしっかりと調査しておく必要があります。希少種などの情報はここでは公開できませんが、印象的な写真をいくつかアップします。まずは、立派なフジの幹。つる植物ですが、数十年をかけて、ごぶとい幹を形成しています。

ミズヒキの花。さりげなく美しいですね。

途中、冬虫夏草(菌類)に侵されたカミキリムシの亡骸をみつけました。

今朝はかなりしっかりと雨が降っていました。でも、近場の山歩きなら「楽」観天望気。たいていの雨模様は、現場で覚悟を決めちゃえばなんとかなります。今日も最初にちょっと傘をさしたくらいで、あとは気温がさほど上がらず快適な調査となりました。本格的な山登りなら「悲」観天望気で大事を取りますが・・。

雨もけっこういいものです。たくさん汗をかいたけど、ここ紹介した以外にもすばらしい成果がありました。返りにちょっと寄った水田では、ミソハギが美しく咲いていました。

たくさん歩いたけど、心地よい疲れが満足感につながる一日になりました。

(生物担当学芸員 秋山)

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