10月17,18日と奥多摩湖周辺とその上流の丹波山村へ地質調査に出かけました.
今回はこの辺りに分布している白亜紀の砂岩の採集が目的です.相模原周辺に分布する礫岩の中には関東山地由来の礫(石ころ)が多く含まれています.数百万年前に川の働き等により,関東山地に分布する岩石が削られ,石ころとなって当時の海まで運ばれて堆積しました.それらが押し固めれて,相模原周辺で見られる礫岩となりました.石老山の礫岩もその一つです.
関東山地といっても広く,どの辺りの岩石が運ばれてきたのか?それが分かれば,数百万年前の地形の様子が分かります.今回の調査は礫岩中の礫の“ふるさと”探しの旅です.奥多摩・丹波山は礫の“ふるさと”の候補地の一つです.
前置きが長くなりましたが,ここからが「地質調査日誌」本編です.
10月17日,木曜日.曇り時々晴れ.
奥多摩湖周辺で資料採集を行いました.
まず,旧青梅街道沿いに向かいました.最初に出迎えてくれたのは,大きなクガビル!最も長く伸びた時は30cmを超えています.
多摩川の渓谷沿に旧道は造られています.道の山側も川側も切り立った崖です.こんなところに良く道を通したものだと思います.落石が多いらしく,写真の崖も落石防止工事の準備が進められていました.崖に露出しているのは砂岩です.
吊り橋を渡って,多摩川の対岸に渡ります.この吊り橋は3人までしか同時に渡れません.板のわずかな隙間から下が覗けます.下を見ると結構怖いです.
吊り橋の上から見た多摩川の流れ.左下に写っている岩場に降りました.岩場に降りる斜面に道はなく,滑落しないよう気を付けて降りました.
奥多摩湖は前日台風が通過したにもかかわらず,かなり水位が下がっています.
奥多摩湖の南岸は車は通行できませんが,徒歩なら歩くことができます.ここも落石が多く,防護ネットが張られていました.
この辺りの針葉樹は良く手入れがされています.こんなにきれいな針葉樹林は最近,あまり見かけなくなりました.
この後,多摩川の支流の支流へ行きましたが,午後4時を過ぎると沢の中は既に薄暗くなりました.かなり日が短くなってきています.秋も深まりつつあります.
(地質担当学芸員 河尻)