名古屋から犬山へ

今週20日、21日は週休日に出勤したぶんの振替休日をいただき、ドイツから来られている視察団と行動を共にして名古屋方面へ行きました。

昨年一緒に日本からの視察団としてドイツへ行ったメンバーのお一人が勤務されているトヨタ博物館へ。小学生向けのワークショップを見学しました。ドイツが誇るベンツ社の創業者が作った最初の小型自動車の復元モデルを、実際に走らせてくれます。

そのまんまのエンジン音やガソリンのニオイなど、今とは違うけど、原理をなまなましく見せてくれる印象的なワークショップでした。そしてもちろん、常設展示も。トヨタ社がつくった最初の量産型自動車の曲線美と質感の美しさに、一同歓声が上がりました。

基本的にここに展示されている自動車はほぼすべて動態展示、つまり走らせることができるそうです。その整備工場にお邪魔すると、かつての整備士さんがひとつひとつの展示車のレファレンス(始動の仕方や整備の仕方が書かれた説明書)を手描きでつくっていて、実用に裏付けられた美しさと職人さんの資料への愛情に圧倒されました。もちろん、ものづくりの伝統を持つドイツのみなさんは食い入るように見ていました。

ディスカッションの中で印象的だったのは、ドイツのみなさんから、ドイツの各自動車メーカーの博物館は自社製品しか展示していないのに、ここではさまざまなメーカーが公平に扱われているのがすばらしいという感想でした。それに対してトヨタ博の館長さんは、それは自社製品で自動車の歴史をすべて語ることができるからで、日本ではそれができないからにすぎません、とおっしゃっていました。しかしその謙虚な言葉の裏には博物館の信念が含まれており、ドイツのみなさんもそれを感じ取られているようでした。

トヨタ博の後は、国宝犬山城へ。西日に輝く天守閣

 

修復中で、一部が足場で被われていましたが、ドイツのみなさんはまったく気にかけるようすはありません。それもそのはずで、あのケルン大聖堂は、永遠に修復が続く建造物で、いつ行ってもどこかしら修復が行われています。

天守閣最上階から見た木曽川。日本ラインの別名はもちろん、ドイツを代表する河川のひとつ、ライン川になぞらえたもので、ドイツのみなさんに強い印象を残したようです。

とても充実したディスカッションもあり、濃密な一日でした。翌日訪問した美濃加茂市民ミュージアムでのようすはまた後日、アップします。

(生物担当学芸員 秋山)

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