昨年の秋は、相模原付近のドングリの生り年でした。つまり、豊作年ということで、鳥や動物も食べきれないくらいたくさんのドングリが実り、今もまだ博物館の駐車場の、コナラの木の下に落ちています。
ということは、芽生えたドングリも多く・・。
かなりの数のドングリが、根を地中に伸ばしています。外殻が割れて、中身が出ています。これを見ると、ドングリの中身の白いものが(甘栗で言うところの、食べる部分)、双葉ということがわかります。白くて緑色の部分が無いということは、光合成をせず、ひたすら養分を根などに供給する貯蔵器官に徹しているということです。春に伸びてくる葉っぱは、いきなり本葉です。さて、かわいそうですが、一つ抜いてみました。
根はすでに10センチくらい伸びていました。冬の間に着々と、春に地上部を伸長させる準備を進めているんですね。
ただしこのドングリの芽生えは、成木まで成長することはまずありません。親の木から離れた日当たりのよい場所で、水分条件や土壌条件がよく、病害虫の被害も受けなかったものだけが、木として大空へ枝を伸ばしてゆくことができます。親の木の真下に落ちて芽生えてしまったこのドングリには、すでに生き残る可能性がほとんど無いという、厳しい世界なのです。
(生物担当学芸員 秋山)