先日見かけた風景。
アリを捕食するオオヒメグモです。
多くのクモはアリを食べません。恐らく、硬くて、丈夫なアゴを持つアリを、危険な相手と見なしているのではないかと思います。
逆に、ごく少数のクモは、アリを好んで捕食します。
このオオヒメグモグモはその中間の「アリも食べる」クモです。
その網は地上を歩く虫を釣り上げる特殊な構造をしていて、クモは釣り上げた餌にすかさず糸をかけて、がんじがらめにしてしまいます。
さすがのアリも、身動きがとれなくなるようです。
また、この種は建物の中から山地まで、様々な環境で見られる「普通種」です。あまりにもどこにでもいるので、観察会の時に、記録するのをつい忘れてしまうほどです。
そして、その分布は世界中に広がっています。こうした世界規模で分布する種を「コスモポリタン種」などといいますが、考えてみると、そこまで普通にいる、というのはすごい事です。もしかしたら、アリですら餌にしてしまう逞しさが、分布を広げる原動力なのかもしれない、とふと思いました。(学芸班 木村)