楽園の野みち

今日は相模原植物調査会の野外調査の日。かねてから狙いを付けていた場所へ、満を持して調査へ行きました。場所は緑区の某所です。残念ながら、県内でも数カ所しか残っていないと考えられる絶滅危惧種の調査のため、ここまでしか書けません。

でもそこは・・美しい野みちに、さりげなくその絶滅危惧種が咲き誇る楽園のような場所でした。辻には巨大なクスノキがお出迎え。

その集落に入って、庭仕事をされてた方にいろいろとお話しを伺っていると、「クマガイソウをうちの山から持ってきて家の裏に植えたら殖えたよ」とご案内いただきました。

ちょうど怪しげな袋状の花が咲き始めたところでした。家の裏手の林内でびっしりとクマガイソウが咲き誇る光景に言葉も出ませんでした。そして、野みちの法面には、お約束のようにオカオグルマが群生しています。

かつてはあちらこちらの畑や田んぼの土手を彩っていたことでしょう。しかし今は、限られた場所にしか分布していません。

さらに帰りがけ、とんでもなく珍しいものを発見してしまいました。

ホウチャクソウのようなのですが、花被がおもいきり反り返っています。こんなホウチャクソウは見たことがありません。それに、ホウチャクソウにしては小型です。付近には同じような特徴の株がいくつもあります。チゴユリとの雑種?いやいや、それでは花被の反り返りは説明つきません。謎めいたこの植物、答えはまだ出ませんが、なにやらとんでもない珍品かもしれず、植物調査会のみなさんと大いに盛り上がってしまいました。

春の調査は、とてもエキサイティングです。問題の絶滅危惧植物(写真も名前も出せずにすいません)の生育状況も良好で、充実した調査となりました。

(生物担当学芸員 秋山)

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