今朝、相模川沿いの段丘崖で見かけたコバノタツナミソウです。この時期、淡い青紫色のかわいらしい花を咲かせます。
上の写真の株は生えている環境から自生のものに間違いありませんが、このところ、住宅地の庭先に真っ白な花のコバノタツナミソウが咲いているのをよく見かけます。
野外でもまれに白花のコバノタツナミソウは見られるのですが、これは明らかに園芸由来です。プランターや花壇ではなく、アスファルトの隙間からモサモサ生えていることもあります。おそらく、種子にエライオソームというアリの誘引物質がついていて、アリがご丁寧に種子を地面に運んでくれるタイプの分散をする植物なのでしょう。
野外に逃げ出した園芸植物でも、その地域の自生品に近縁種が無ければ問題ないのですが、この白花品の場合はほぼ同じ種類と言える自生品があります。そうなると、遺伝子の浸透という生物多様性の保全上、非常にやっかいな危機要因となってしまいます。
路傍で美しく咲いている白花品にはちょっと申し訳ないのですが、そんな憂鬱な気分を抱かずにはいられない花なのです。
(生物担当学芸員 秋山)