7月13日,日曜日.曇り時々雨.
真鶴町へ石材と石切り場跡の調査へ出かけました.相模原地質研究会,相模原青陵高校地球惑星科学部,横浜市歴史博物館民俗に親しむ会の皆さんと一緒に出かけました.
真鶴は小松石と呼ばれる石材が切り出されていたところで,現在でも採掘されています.小松石というのは石材名で,地質学的な岩石名は安山岩になります.
午前中は真鶴町の岩地区の調査です.
兒子神社では流理構造(マグマの流れによってつくられる模様)が見られる小松石が使われていました.
如来寺跡では凝灰角礫岩をくりぬいて造った石窟に石仏が安置されています.この凝灰角礫岩は酸化されて赤色化しています.
岩海岸の砂浜は近くの赤色化した岩石が砂粒となって含まれているため,赤みがかった色をしています.
午後からは真鶴半島に行きました.小松石でも,東海道本線よりも山側で採れるのが本小松石,真鶴半島で採れるのが新小松石と呼ばれており,岩石の性質が異なります.これは,それぞれの小松石が異なる噴火によって形成された溶岩であるからです.本小松石は本小松溶岩グループ,新小松石は真鶴溶岩グループと地質学的に名付けられた岩体から採掘されています.どちらの溶岩グループも23〜13万年前に形成されました.
貴船神社で見られた新小松石の石造物は風化により,溶けるようにえぐれていました.
この地域の石造物はほとんど小松石でできていますが,貴船神社にあった一対の狛犬だけは砂岩でできていました.台座の部分は小松石です.
山下浜では海岸沿いに採石場跡が見られます.クサビの跡が残っています.
この後,番場浦の採石場跡へ行く予定でしたが,雨が強く降ってきたので,断念しました.別の機会に訪れたいと思います.
(地質担当学芸員 河尻)