今日の「博物館のまわりのミニ観察会」は、室内で実施しました。雨、そして雷・・。
通常、少々の雨だけなら外で実施するのですが、雷となると無条件で野外中止です。そこで・・
実習実験室に実体顕微鏡を出して、事前に採っておいたセミの抜け殻をじっくりと観察。種類やオス、メスを見分けました。でも、せっかくなので、もう1つネタを。最近、こんな感じでクヌギの枝が落ちていることがよくあります。
枝先ごと落ちて、枝の切り口には必ず若いドングリがついています。まず、その切り口を観察します。
試しに剪定バサミで切って、切り口を比較してもらいました。参加者の少年が「のこぎりで切ったみたい」。すばらしい表現ですね。そうです、折り取ったような跡ではないものの、鋭利な刃物で切った切り口と比べると、ギザギザとしています。
そして次に、枝についている若いドングリの側面に空いている穴を探してもらいます。
こちらは木工具の「きり」でぐりぐりと空けたような穴です。では・・いよいよ、この穴に沿って、カッターでドングリを割ってみます。
左側の断面の右上、茶色くなった部分に注目してください。なにかポチッと粒が見えています。拡大すると・・
卵でした!これは、シギゾウムシのなかまの卵と考えられます。母親が口吻(細長いくちばしのような形の口)でドングリに穴を空け、その中に産卵します。そして、そのそばの枝をやはり口吻で切断し、枝ごと地面へ落とします。卵はやがてふ化し、幼虫はドングリの中身を食べて育ちます。いよいよ蛹になろうというとき、幼虫は中から穴を空けてドングリを出ると、土の中へもぐって蛹になり、しばらくすると成虫へ羽化する・・母親が枝を落とした理由はそこにありました。身近な小さな世界に秘められた物語に、みなさん関心をもっていただけたようです。たまには室内の実施もよいものですね。
(生物担当学芸員 秋山)