博物館の駐車場の一角には市域の絶滅危惧種を保存用に栽培している鉢がいくつかあります。その中の、カワラノギクがもう間もなく開花を迎えます。
今日はそのうちの2株が旅立ちました。昨年度、市内の小学校6年生の1グループが総合的な学習の一環として、絶滅危惧種であるカワラノギクについて熱心に調べてくれました。学校でも栽培を試みたのですが、ご本人たちは中学校へ進学したこともあり、なかなかうまくいかなかったそうです。そこで、博物館で成育中の鉢を差し上げることにしました。今日、グループの中心メンバーだった吉川さんとお父さん、そしてもう一人のメンバーが鉢を取りに来られました。
河原の外で栽培した株は、じつは博物館で育てていても園芸種との交雑などの危険性があるため、実った種子は河原へ戻しません。もちろん、引き取っていただいた鉢も、種子が実っても河原へ戻さないことをお願いしました。博物館で栽培しているのは、洪水などで生育地が完全に流失してしまったときなどの最後の最後の保険と、こうした教育目的なのです。今年の株は、とてもよい行き先へと旅立っていきました。来週にはきっと美しい花を咲かせてくれることでしょう。
(生物担当学芸員 秋山)