この写真、ネコハエトリが葉の裏側に逆さまにぶら下がって、お尻の先(それっぽく言うと「腹部先端」)から糸を出しています。クモは、生活のいろいろな場面で糸を使いますが、これもその一つ。地面に下りずに空間を移動するために糸を流し、どこかに引っかかったところで、それを伝って移動するのです。似たような行動は、網を張るクモが、最初の足場をつくるときにも行います。
お尻の先にある「糸疣(いといぼ)」と呼ばれる(「しゆう」と読むこともあります)器官を一生懸命動かしている雰囲気がわかるでしょうか?
そして、移動開始。お尻で糸を出しながら、頭のがわの糸はくるくるとまるめて回収します。最後には食べてリサイクルまでしてしまいます。
前の写真はコントラストが強すぎて、糸を丸めているのが見づらいので、これ。
うーん。ピンボケです。でも、糸のふわふわした玉を抱えている様子は伝わると思います。
この直後、後ろから来たジョギングの方に糸を切られ(ゴール!)、ターザン(いや、スパイダーマン)のように糸にぶら下がったまま反対側の草むらに落下しました。
結果的に、さんざん糸を流して待って、2mほどの距離を10秒程度で渡った、というだけの事。それなら地面を得意のジャンプで跳ねていけばいいじゃないか、とも思うのですが、クモなりの事情が何かあるのでしょう。
私としても、そうしょっちゅう出会う場面でもないので、なかなか楽しめました。皆さんも、日差しの暖かい日に、植込みをじーっと眺めながら散歩すると、見ることができるかもしれません。(学芸班 木村)
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プロフィール
神奈川県相模原市中央区にある市立博物館です。1995年に開館して以来、相模原の歴史や自然を扱う総合博物館として市民に親しまれ、2019年には入館者数が300万人を超えました。また、2010年7月には、小惑星探査機「はやぶさ」の、2021年3月には後継機「はやぶさ2」の再突入カプセルの世界初公開を行うなど、お向かいにあるJAXA相模原キャンパスとの連携も深めています。
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