このところ紅葉の写真ばっかりですが・・今日もまた紅葉です。
トウカエデは、その名前(トウは唐)のとおり、中国大陸原産のモミジのなかまです。公園などの植栽木としてよく植えられています。
その特徴は、この仲間としては大木になるということと、その紅葉の美しさです。博物館おとなりの樹林地でもこのとおり。
樹林内の遊歩道はトウカエデの落ち葉の絨毯が敷き詰められています。
さて、外来種のトウカエデがなぜお隣の樹林に?
それは、この敷地がもともと戦前の旧日本陸軍の施設跡であり、敗戦による米軍の接収後もしばらくは軍用地として使用されていた場所ということと関係があります。この樹林地は一見すると雑木林(薪炭の原料をとるために育成されたコナラやクヌギの林)のように見えるのですが、植生の面からちゃんと見ると、雑木林とは似ても似つかないことがわかります。端的に言えば、畑などが放置されたあとにできる林と同じ、ミズキを中心とした落葉広葉樹の二次林に混じって、当時植栽されていたものが残っている林ということになります。
その、トウカエデやヒマラヤスギといった植栽木は、今から半世紀前のキャンプ淵野辺を眺めていたことになります。どんなようすだったのか、言葉が通じるならぜひきいてみたいものです。
(生物担当学芸員 秋山)