以前、エントランスで展示していたアシダカグモ、実はまだ飼育しています。
「成体になってからも脱皮をするか」という事を確かめるためです。
ところがところが、思いもよらない事が…
なんと、卵を産んでしまったのです。
大事そうに抱えている白い物体は、卵を包む卵のうです。アシダカグモは子どもが出てくるまで、卵のうを抱えて歩きます。以前に記録されたものを見ると、約1か月間抱えていることになります。その間何も食べないとの事ですが、これは確かめてみる必要がありそうです。
腹側から撮った写真。触肢(一番前の肢。歩くのに使う肢は歩脚といいます)で抱え込んでいます。卵のうの中にはおそらく200~400個位の卵が入っています。それが一斉に出てきたら?今から考えておかなくては…
アップで。まるで紙のように見えますが、クモの糸でできています。クモは用途に応じて色々な糸を使い分けています。体を壁面に固定している糸とその付着面も見えます。
実はこの個体、4月中に一度産卵に失敗しています。卵を包むシートがうまく作れずに、卵が全部こぼれ出てしまったのです。驚くべきことに、普段動くものしか食べないクモが、卵を食べて全部回収してしまいました。つくづく無駄の少ない生き物です。
しかし、懸念事項がひとつ。これは果たして有精卵か?
この個体を採集したのは2012年1月25日。オスと接触しているとしたらそれ以前です。もし無精卵だったら、子グモは出てこず、その間エサをとらないとしたら…あわわ…心配事が増えました。(学芸班 木村)
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プロフィール
神奈川県相模原市中央区にある市立博物館です。1995年に開館して以来、相模原の歴史や自然を扱う総合博物館として市民に親しまれ、2019年には入館者数が300万人を超えました。また、2010年7月には、小惑星探査機「はやぶさ」の、2021年3月には後継機「はやぶさ2」の再突入カプセルの世界初公開を行うなど、お向かいにあるJAXA相模原キャンパスとの連携も深めています。
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