フクロウの風切羽

1月4日に市内で拾得したフクロウの死体については、この前の前の記事で紹介しました。
その記事の中で予告したとおり、飛翔時にほとんど音がしないフクロウの羽の構造についてご紹介します。
まず、今日、たまたま標本作製作業に使っていたコジュケイ(キジ科)の初列風切羽(しょれつかざきりばね)です。

風切羽とは、翼の前方を除く外縁を構成する羽で、飛翔する時の推進力や浮力を得るために最も重要な役割を担う羽です。次に、フクロウの同じ部分を見てみましょう。

外弁(写真の上側)のギザギザに注目してください。

このギザギザ構造をセレーションと言い、ほかの鳥には見られないものです。これが、飛ぶ時に気流の逆流を防ぎ、いわゆる「風を切る音」を小さくしているそうです。これは日本の新幹線のパンタグラフに応用され、走行音の軽減に役立っています。このように生物のからだの仕組みや形態を応用した工学技術を生物模倣技術(バイオミメティクス)などと呼びます。
フクロウの羽のこんな構造にも驚きますが、それに気付いて新幹線に応用した鉄道技術者もすごいですね!
(生物担当学芸員 秋山)

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