冬の果実の消費動向その1

博物館前庭には、冬に果実が実る植物が何種類か植えられています。こうした木の実の特徴は、派手で大きくて、でも栄養価が少ないこと。冬鳥たちがこれもせっせと食べなくてはいけないのかどうかで、その年の冬鳥たちの食糧事情が推察できます。毎年、このブログでも状況をご紹介していますが・・今年はどうでしょう?まずはマンリョウです。

まだたわわに実っているな、と思って近づいてみたら・・

半分近く食べられていました。例年、1月いっぱいくらいは食べられずに残るのですが、今年はちょっと早いようです。マンリョウの次に食べ出すヤブランはどうでしょう。

ほとんど残っていて、食べられている形跡があまりありません。写真ではだいぶ果実がもぎとられているようにも見えますが、この果実は落下しやすいので、食べられたとは限りません。食べられている場合は総に残る果実がもっと少なくなるはずです。
そういえば、自宅の近所のピラカンサ(トキワサンザシ)に最近ちょくちょくヒヨドリやムクドリが来ています。下の写真は食べられる前のものですが、この果実は残る年では春先まで食べ残されます。

昨年はカキの実りが良かったようで、今でも木に残っている果実が多く、メジロやムクドリ、ヒヨドリなどが群がっています。
そんなことを考え合わせると、カキなど一部の栄養価の高い果実は実りが良かったものの、新年早々マンリョウやピラカンサに手を付けだしたということで、若干食糧事情が悪いのか、冬鳥の飛来が例年よりやや早いか多いか、ということかもしれません。今後も注意深く見ていきたいと思います。
(生物担当学芸員 秋山)

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