以前、似たようなタイトルで「関東ブロック会議」というのを紹介しましたが、今回は全国規模の研修会。静岡科学館「る・く・る」で2月15日(日)・16日(月)に開催されました。
現在「る・く・る」では「しずおか自然体験ミュージアム~みて・きいて・さわって・おいしく!?自然を楽しむ企画展~ 」を開催中です(2月22日(日)まで)。
会場を深海、森、水辺、山などのゾーンに分け、体験しながら静岡について学ぶ企画展で、実験コーナーあり、水槽の生き物あり、動物の剥製あり、はたまた富士山の形をした滑り台や、富士山頂の気温体験コーナーまで盛り沢山の内容です。一角に特産品のコーナーも有り、特産品をテーマにトークライブを開いていたり、楽しい展示でした。
会場視察の次は事例発表。今回のテーマは「ユニークな実験ショー」。発表はそれぞれ工夫をこらしたものばかり。
残念ながら当館では実験ショーというのはあまり開催する機会がないのですが、「見せ方」「ひきつけ方」という点で、非常に参考になりました。
こういった事例発表は、館によってはそのまま使える材料もあり、情報交換の場として非常に有効です。
2日目は東海大学海洋科学博物館と自然史博物館視察。
ここは日本ではじめてカクレクマノミ(アニメキャラにもなった、あの魚です)の繁殖に世界で初めて成功した施設だそうで、いたるところにクマノミがいました。
もちろん、研究施設ですのでいたずらに増やしているわけではありません。水槽にはいつ産卵したか、いつ孵化したかなどがメモされています。
こうした強みがあると、他の館と動物を融通し合うこともできて良いのだそうです。
また、駿河湾を中心にさまざまな標本を所有しており、特に保存が大変な大型の標本を研究するために訪れる人も結構いるのだそうです。展示室にも様々な標本(駿河湾の特徴である深海生物が多いようです)が展示されています。
この海洋科学博物館が「魚の博物館」とすると、隣接する自然史博物館は「恐竜の博物館」。
展示室には大型の恐竜骨格が所狭しと並んでいます。
これに合わせて設計したのではなく、元々あった建物に展示物を入れたため、搬入や展示には大変苦労したそうです。
こちらはマンモス。牙が天井につきそうな、絶妙なポーズで展示されています。
実はこれらの骨格はレプリカなのですが、現生の生物と違い、絶滅した生物は、たまたま見つかった化石が研究対象になります。従ってそう簡単に誰もが現物を調べるというわけにはいきません。「正確に作られたレプリカは、本物と同じ意味があるのです」と、力説されていました。
まったくそのとおりで、分野や研究対象によって「本物」の意味も違ってきます。こういった事が実感できるのも、自分の職場とは違ったタイプの博物館の視察だからといえます。
こちらは現代の風景。かなりの部分を手作りしているそうです。
普段事務に追われる事が多く、外になかなか出られないのですが、たまたま日程が合ったので参加した研修は、実り多いものでした。この経験を自分の館に生かせればと思います。
これは少し時間に余裕があるからと案内して頂いた三保の松原でのひとコマです。富士山がきれいに見えて、皆、思わず写真を撮っていました。私自身も写真を撮りながら富士山がこんなに近くで毎日見える、というのはどんな感じなのだろう、とふと考えていました。今回、開催館スタッフの皆さんの地域への愛情をいろいろな面で強く感じたのですが、もしかしたら富士山というシンボルが地域愛を育てるのに一役買っているのかもしれないな、と思います。(学芸班 木村)