今日も専門業者さんが入って、土曜日から始まる松原巖樹生物細密画原画展「図鑑の生きものいっぱい」の展示準備を行いました。
私たちの業界用語で「美専さん」と呼んでいますが、運搬業者さんの中で美術品を扱う専門技術部門があります。もちろん美術品に限らず、あらゆる展示資料や作品を扱うのですが、今回の展示でも160点に及ぶ原画作品の列品をお願いしました。
まずは作品を展示額に入れます。
資料を痛めることなく、安全確実に作業が進みます。展示ケース内での列品。
高さと間隔を合わせ、平行を確保。額はタテとヨコが混在するので、それも考慮しなくてはいけません。もちろん、作品の安全は最優先です。こうしたことを同時に行っていくには、熟練の技術が必要です。こちらは壁面への列品。展示の冒頭を飾る大型作品をチラ見せしちゃいます。
単に高さや平行を確保と言っても、作業は簡単ではありません。ワイヤーで吊った可動式のフックを額の後ろにかけて、さらにそのワイヤーを壁に固定します。そして結果的に、作品の中央の高さが140センチになるように調整しています。シロウトがこれをやろうとしても、途中で高さを合わせたつもりが手順を踏むたびにずれていってしまいます。後ろから見ていると、まさに神業です。
一つ一つの所作に作品への安全配慮があり、動きには無駄がありません。こうした専門的な技術を見る楽しみが、展示の準備にはあります。
(生物担当学芸員 秋山)