浮き出る秋の色

野外の植物たちの風景が、だんだんと水気を失ってくすんできました。
低地では、紅葉までまだ少し時間があります。落葉樹は今頃、光合成業界シーズン最後の在庫一掃セールの準備に余念がないはずです。
さて、そんな風景の中で、目が覚めるように浮き出た「色」に出くわすことがあります。
まずは、カワラナデシコ。青空を従えて堂々たる咲きっぷり。私たちが最近、日常的に使う「なでしこ」とはこの花が本家本元です。
111028神沢05S
もう花期も終わりましたが、ヒガンバナ。突然のように咲き始めて、あまりの色合いの濃さにびっくりします。
101006三井82S
果実も負けてはいません。ハダカホオズキ。葉の下側に垂れ下がるぶん、強烈な彩度と明度の果実で自己主張します。
101101宮ヶ瀬03S
最後はマルバハギ。それほど明るくない林内で出会うと、灯火のように浮き出て見える花です。
101006三井77S
もうあと1月もしないうちに、低山まで紅葉が下りてきます。そのころには落葉樹に主役の座を譲ります。
ひとときの輝きを今のうちに楽しみたいと思います。
(生物担当学芸員 秋山)

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