カイコは掃き立てから今日で26日目、昨日、かなりの数が熟蚕となりました。熟蚕とは、繭を作り始める直前、体が少し縮み、黄色っぽくなった状態です。
ほかにも、それまで食べ進む以外にほとんど動かなかったのに、あちこち動き回る、頭を降るといった行動をし始めます。そうしたら、まぶし(繭をつくる部屋)へ。博物館では通常の格子状のまぶしのほかに、展示用に、小さな食品パックをまぶしとして使うことがあります。
最初はつるつるして落ち着かないのですが、自分のはいた糸で足場がかたまってくると本格的に糸をはきます。半日くらいでしだいに繭の形になります。この時の透き通った繭を見ていると、なぜかコクーン(cocoon)という単語を思い出します。
この方法、繭の形成過程をつぶさに観察できるのですが、一つ注意点があります。底の部分に前もって内側から千枚通しで穴をいくつかあけておきます。そうしないと、繭をつくりはじめた時にカイコが出す黄色い尿で繭がよごれてしまうのです。
今年の繭の出来具合、明日には判明しそうです。
(生物担当学芸員 秋山)