寄生植物の中の寄生植物

「好きな植物は?」と尋ねられると、いろいろありすぎて困ってしまうのですが、「気になる植物は?」と聞かれれば、迷わずこの植物を挙げます。
ネナシカズラ。ヒルガオ科の寄生植物です。写真のネナシカズラは、イタドリにとりついていました。紫色のヒモのようなものが茎で、黒っぽいブツブツが果実です。
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この時期、突如その種子植物らしからぬ異形を表します。先日(11/7)、相模川の河原でみかけた時は、ご丁寧にネナシカズラと隣り合って、アメリカネナシカズラまでありました。こちらはノイバラやコセンダングサなど複数の植物にからみついています。まるで、ラーメンをぶちまけたみたい。
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4ミリほどの花は、拡大して見ればなるほどヒルガオ科と言われて否定する材料もありません。茎はしっかり右巻きですし…。
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自ら光合成することはないので、茎に葉はなく、そもそも葉緑素もありません。そしてあるのは、寄生根。茎にある、歯のようにごつごつしたものがそれです。
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発芽して、取りついた植物にしっかり寄生根を食い込ませて栄養を吸収できるようになると、根が溶けて無くなってしまいます。まさにネナシカズラ!!
私はもともとつる植物全般が好きなのですが、この刹那的な生き様のつる性寄生植物、もっとも気になる、そして密かにもっとも好きな植物です。
(生物担当学芸員 秋山)

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