12月星空情報①

12月に入り、コートやマフラーが手放せない時期になってきました。
今年の冬は例年と違い、マスクも常備する毎日になりそうです。
そして、その格好は冬の星空観察をする時の対策としても効果的ですので、
ぜひ風邪をひかないような暖かい服装でお楽しみください。
観察準備ができたら、いざ!星空観察です。

これからの時期は、冬の代表的な星座や天体を楽しむ絶好のチャンス。
まずはオリオン座を探してみましょう。
夜9時頃なら、東よりの低い空で輝いています。
赤い星ベテルギウスと青白い星リゲルを見つけて、その周りの星々を線で結ぶと
砂時計のような形ができます。それがオリオン座です。

オリオン座
(撮影:当館プラネタリウム解説員)

ベテルギウスとリゲルの間には三つの星が規則正しく並んでいますが、
それは「三ツ星」と呼ばれます★★★

オリオン座の三ツ星
(撮影:当館プラネタリウム解説員)

また地域によっては、この三ツ星のことを
お団子に見立てて「団子星」と呼ぶこともあります。

その三ツ星の南側には「オリオン大星雲」という、美しい天体があります。

オリオン大星雲
(撮影:相模原市立博物館天文クラブ)

ここは別名「星のゆりかご」と呼ばれ、中では今この瞬間にも
新しい星が次々と生まれている天体です。
街明かりの少ないところで肉眼や双眼鏡で眺めると
もやっとした雲のように見えます。満天の星の下へ行きましたら、
ぜひ、ご覧になってみてください。

また、望遠鏡でオリオン大星雲の中心部分を覗くと
「トラペジウム」と呼ばれる赤ちゃん星たちを見ることができます。

オリオン大星雲内のトラペジウム
(©NASA)

 

 

そして毎年12月の中旬は、「ふたご座流星群」が見頃を迎えます。
今年は12月14日の未明から夜明け前がピークです。

ふたご座流星群
(2015年撮影)

この日は月明かりがないため、沢山の流れ星が見られると期待されています。
流れ星は「ふたご座」の方向から四方八方に飛ぶため、空全体を眺めると
より沢山の流れ星が見える可能性があります。

図:ふたご座流星群の放射点
(12月14日午前0時 南東の空)

 

防寒マットなどを敷いて寝転んで観察するのも良いかもしれません。
車などに気を付けて、安全な場所で星空観察を楽しんでくださいね。

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No36・炭焼き)

 前回に引き続き、昭和61年度文化財記録映画「相模原の炭焼き」制作の際の炭焼きの写真を紹介します(いずれも昭和61年[1986]12月~62年1月・南区東大沼撮影)。

 炭焼きには、カマヅメといって窯の中に槙(マキ)をつんできます。前回見たように、窯は地面より下にありますので、窯の中にもぐるように入って作業をします。写真では、少しわかりにくいのですが窯の中にいる人の足が見えています。

                                  

 槙は二段にぎっしり積み、上には木の枝の部分を伐ったナグリを差し込みます。

                                  

 そして、窯に火を付けますが、勢いよく煙が噴き出します。

                                  

 しばらくして煙が透き通ってくると、煙が出る穴に土を掛けてふさいで中の火を消してしまいます。早すぎると生焼けの炭になり、遅れると灰になる部分が多くなるためタイミングが難しく、勘によるところが大きいと言います。この時には夜になりました。

                                  

 そのまま2日ほどおいて炭を取り出します。やはり作業をする人は、もぐるように窯に入って炭出し籠に入れ、それを外で受け取っていきます。窯の中はまだ非常に熱く、薄着ではやけどをするので古い着物や被り物を充分着て備えます。

                                  

                                  

 取り出した炭は並べておき、俵に詰めて完成です。炭俵は四貫目(約15kg)ほどの重さでした。

                                  

                                  

 こうして文化財記録映画「相模原の炭焼き」では、地域の多くの皆様の協力をいただきながら、できるだけ昔の形で炭窯作りから炭焼きまで再現することができ、大変貴重な記録となっています。

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No35・炭焼きの窯作り)

 今回紹介する写真は、昭和61年度文化財記録映画「相模原の炭焼き」に関わるもので、いずれも昭和61年(1986)12月~62年1月の南区東大沼での撮影です。

 市内では、山間部に位置する津久井地域はもちろん、相模原地区でも江戸時代から炭焼きを行っていた記録が残り、特に盛んだったと言われるのが大沼地区で、相当量の炭を焼き、昭和40年(1965)前後までは行われていました。

 映画では、炭焼き窯(かま)を作るところから、その窯を使って実際に炭を焼くまでが記録されました。ちなみに映画で撮影の中心となられた方は、実に33年ぶりに窯を作られたとのことでした。

 窯作りは、窯の大きさにあわせて土を掘ることから始まります。大沼をはじめ相模原地区で焼かれた炭は窯を密閉して消火する黒炭(くろずみ)で、石を組む窯ではなく土を固めたドガマで焼きます。白炭に比べて柔らかく、点火しやすい炭です。

 そして、土を掘った穴にカタマキと呼ばれる槙(まき)を並べていきます。このカタマキは二段積みます。

 次の写真は、手作りの杵(きね)で粘土(ねんど)を搗いているところです。カタマキを積んだところをゴザで縛って固定し、粘土をのせて叩いています。この作業の際に唄われたのが「土窯搗き唄(どがまつきうた)」です。

 この後は窯の乾燥で、落ち葉や枯れ木を窯の上で燃やします。一週間は乾燥させる必要がありました。

 乾燥が終わった窯の様子です。ドガマは地面を掘るので、炭の材料の木を入れる口が地面より下になります。また、窯の天井部分の保護のため、小屋を作りました。

 この時には、ドガマの完成まで正月を挟んで約一か月かかり、撮影のため炭焼きが二回行われました。次回は、「相模原の炭焼き」の炭を焼いている様子を取り上げます。

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生きものミニサロン「落ち葉の色と形をたのしもう!」

11月28日、毎月恒例の生きものミニサロンを実施しました。今回のテーマは「落ち葉の色と形をたのしもう!」です。
今は落葉樹の葉が一番色鮮やかな季節です。地面の落ち葉も見ているだけでうっとりしてしまいますが、ミニサロン的に観察も交えて楽しむことにしました。その前にまず、お隣の樹林地で触ってはいけない葉っぱを紹介しました。

ヌルデの紅葉

ヌルデです。

ヌルデの説明にみなさん聞き入っています

色は美しいのですが、ウルシの仲間なので、人によってはかぶれます。
そして、博物館の駐車場へ戻り、落ち葉を集めて似た色が隣になるように並べて環(わ)を作る、“落ち葉の色相環”を作ったり、落ち葉を使って顔を作ったりしました。

スチレンボードを配り、そこに落ち葉を並べてもらいました

風が吹くと飛んでしまうので、すばやく作ります

顔には表情を付けてもらいました。まずは困った顔。

困った顔・・でもかわいいですね

続いて、怒った顔。

起こった顔

そして最後に、笑った顔。

にっこり!

それぞれ個性的な落ち葉の顔ができました。
気に入った落ち葉を持ち帰れるように、シリカゲル入りのチャック袋を配って終了しました。この袋に入れると急速に乾燥するため、色が残りやすいのです。
参加者のみなさんの笑顔のおかげで、スタッフも楽しい時間を過ごすことができました。次回は第3週の12月19日(土)に実施します。お楽しみに!

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全国博物館大会

11月25日~26日、横浜市開港記念会館などを会場に第68回全国博物館大会が開催されました。

会場の横浜市開港記念会館 国の重要文化財でもある重厚な建物です

全国博物館大会は、年1回博物館関係者が集まり、博物館をとりまく状況や課題、展望を話し合います。今回は(公財)日本博物館協会と神奈川県博物館協会が共催し、「変化の中の博物館-新たな役割と可能性」をテーマにフォーラムや分科会、シンポジウムなどが行われました。

講堂でのシンポジウムの様子

折しもコロナ渦によって、休館をはじめ博物館にとっても初めて直面する問題にさらされた1年でした。博物館は何ができるのか、何をすべきか、公立、私立、そして美術館から動物園、水族館を問わずいろいろな館園が取り組んだことが発表され、議論が交わされました。

会場もディスタンスを保って席を配置

コロナ渦による経営上の危機や人員・資金不足など深刻な状況がある中でも、学芸員をはじめ博物館職員が様々な工夫を重ねてこの社会状況に対応していることがわかりました。

横浜市開港記念会館の夕景

まだ、コロナを逆手にとって、と前向きに総括するには時期尚早ですが、社会の中での博物館の役割を見つめ直す機会であったことは間違いありません。たくさんの刺激をいただいた2日間の議論を糧に、当館も活動を進めていきたいと思います。

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シリーズ「相模原ふるさといろはかるた」でみる名所紹介 21 ㋤

 夏プール 冬はスケート 銀河アリーナ

                         

 絵札に描かれた淵野辺公園の中にある銀河アリーナは、市民が気軽にアイススートを楽しめる施設として平成3年(1991)1月20日に開館しました。一般はもとより、例えば子ども向けのスケート教室など、さまざまな教室や催しが実施されています。
 ※なお、夏場にはプールが開設されていましたが、現在は行っていません。

                         
                         

ところで、銀河アリーナのほかに博物館や野球場、JAXAをはじめ、小・中・高校もある淵野辺公園周辺はかつて米軍基地だったことをご存じでしょうか。
 元々、第二次世界大戦以前には陸軍機甲整備学校があり、戦後は米軍がキャンプ淵野辺として使用して、広大な基地内にはアンテナが立ち並ぶ通信基地のほか、約50戸の米軍家族の住宅やスポーツ施設・ピクニックエリアなどがありました。
 写真は昭和50年(1975)8月・キャンプ淵野辺正門を写したものです。

                         

 その後、キャンプ淵野辺の米軍施設としての役割は縮小し、昭和49年(1974)11月30日に全面返還されましたが、その前の昭和46年(1971)12月から施設の一部が開放され、あまり利用されていなかったピクニックエリアは市民が利用できることになりました。
昭和47年(1972)3月・ピクニック広場で遊ぶ子どもたちを撮影したこんな写真も残っています。

                         

 現在では、さまざまな施設が建設され、多くの人々が集う淵野辺公園は、軍都や米軍施設など、相模原の歴史を知る上でも大切なところでもあるのです。

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ほんとうのオシャレさん

市内緑区のダム湖で、水面に浮かぶカルガモを見つけました。

カルガモ

カモ類は全般的に、オスが美しい色彩の羽を持つのですが、カルガモはオスもメスも同じ羽色で、一見すると地味です。
でも、カルガモは玄人(くろうと)好みの鳥です。薄いベージュにダークブラウンの同系のスマートな配色に加えて、翼にはこんな“隠し技”も。

羽づくろいで翼鏡を見せるカルガモ

ちょうど1枚目の写真の個体が近くで羽づくろいを始め、美しい青色光沢の翼鏡(よくきょう)を広げてくれました。この模様は翼を構成する羽である次列風切(じれつかざきり)にある光沢部分で、光の加減で緑色にも見えます。これこそ本当のオシャレ!と言いたくなります。ただし、翼鏡は近い仲間のカモ類に共通の特徴です。カルガモは全体のトーンが地味なのでかえって目立つのかもしれません。

同じ個体の翼鏡なのに、緑色にも見える!

翼鏡の色は構造色といって、光の複雑な屈折などによって発色するため、角度によって色が変化して見えるのです。昆虫にも多い発色の方法です。
構造色といえばこちらも近くに飛んでいました。

カワセミの飛翔

空飛ぶ宝石と呼ばれるカワセミです。頭から翼、背中にかけての色は構造色で、緑色にも青色にも見えます。これだけ徹底していると、これもやっぱりオシャレですね。

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雪のように舞う虫

今日は二十四節季の「小雪(しょうせつ)」。雪が降り始める頃、という意味ですが
最近、確かに白いものが舞うのを時々見かけます。でも、どうやら雪ではないようです。
ふわふわと飛ぶ白いものをカメラで捉えました。

画面下の方に白っぽい虫が写っています。大きさは1-2mmほど。バンザイをしているようなポーズです。

不鮮明ですが、やはりバンザイポーズで飛ぶ虫が写っています。

この虫は俗に「雪虫」「綿虫」と呼ばれているもので、アブラムシの一種です。蝋(ろう)物質を身にまとっていて、それが雪や綿毛のように見えます。
トドノオオワタムシ、ケヤキヒトスジワタムシなどが知られています。
せっかくなのでもっとアップで見ましょう。

全身が綿毛に覆われているように見えます

ものすごくモフモフしているようですが、毛のように見えるのは分泌物です。

本当の雪ではありませんが、この虫が出てきたらもう冬、という気がします。

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企画展撤収完了

9月19日から開催してきた2本の企画展「無量光寺文書・山崎弁栄遺墨展」と「神奈川の植物、相模原の植物 植物誌から考える生物多様性」は、11月15日に無事に終了しました。
植物誌展には実習生の展示も設置されていて、生物実習生の有志も撤収作業に来てくれました。

実習生展示の撤収作業を行う実習生

企画展示の撤収は、あっという間です。あっけないようですが、それでよいのです。設営、製作作業と同じくらい手がかかっていたら、作るのも片付けるのもいやになってしまいます。アッサリと片付くのがむしろ気持ちよいのです。

きれいさっぱり片付いた特別展示室内

借用していた資料の返却も完了し、すでに特別展示室のケース内もがらんどうです。
今日(11月20日)からは、もう次の企画展「色々な石展」と学習資料展「道具が変えるわたしのくらし」(12月5日~令和3年1月31日)の設営作業が始まります。ご期待ください!

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No34・山仕事)

 麦の種蒔きやサツマイモの収穫などが終わると農閑期を迎え、作業の中心は山仕事になりました。一般的に、平地であっても林があるところをヤマという地域は多く、市域でも山仕事として平地林から落ち葉を集めたり、燃料とする木を伐ったりしました。

 落ち葉は燃料用の松の葉をはじめ、特に大量に作るサツマイモの苗床やさまざまな作物に肥料として用いる堆肥(たいひ)の材料になり、落ち葉を掻くことを「クズハキ」といいます。写真はヤマでクズハキの作業をして、集めた落ち葉を堆肥とするために積み込んでいるところです(昭和63年[1988]1月16日・中央区田名)。

 次の写真は、木を伐採し、マキにして荷車で運搬している様子です。この写真は、昭和61年度文化財記録映画「相模原の炭焼き」撮影の際の再現ですが、ガスなどの燃料が普及する以前には、冬場の大事な仕事としてこうした作業が行われていました(昭和61年[1984]12月16日・南区東大沼)。

 次回も引き続き文化財記録映画「相模原の炭焼き」の写真を紹介します。

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