相模川のカワラノギク開花

11月6日、相模川へ行き、相模原を代表する絶滅危惧植物、カワラノギクの開花の様子を確認してきました。
今年は少し遅めの開花でしたが、しっかり咲いていました。

開花したカワラノギク

市民・事業者・行政のパートナーシップによる水環境保全を進める、桂川・相模川流域協議会の方々が、草刈りなどを熱心に続けられている結果、維持されている保全圃場です。この圃場のカワラノギクは、もともとこの河原に自生していた種子から増やしているため、周辺にも広がった株はそのまま生育させています。そんな中には、一つの株に薄紫と白の二色の花が咲いているものもありました。

二色ありますが、一つの株から咲いています

少し下流ではカワラハハコも咲いています。

ドライフラワーのようなカワラハハコの花

ただ、昨年の台風19号の出水によりカワラハハコの大群落があった場所は流失し、残った株はわずかでした。

この場所は一昨年までカワラハハコの大群落がありました

でも、こうした環境にあえて生育する植物です。きっとまた大群落を復活させてくれると信じています。
ところどころに生えていたヌルデはすっかり紅葉していました。

ヌルデの紅葉

河原の秋も深まりつつあります。

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「歴代五輪ポスター展-1896~1976-」が始まりました!

10/31からミニ展示「歴代五輪ポスター展-1896~1976-」が、常設展示の自然・歴史展示室出口付近にて始まりました。

ポスター展 中央部分

東京2020オリンピック・パラリンピックが1年延期されたことに伴い、当館でも予定していたオリンピック関係企画展が延期となってしまいました。そのため、大会への機運を盛り上げることを目的に、今年度はこうしたミニ展示を開催しています。

10/30閉館後の展示準備

今回の「歴代五輪ポスター展」は、1896年(明治29年)の近代オリンピック第1回アテネ大会(ギリシャ)から1976年(昭和51年)の第21回モントリオール大会(カナダ)までの、18枚の夏季五輪大会ポスターを展示しています。

はじめにミニ展示の概要説明

幅5.4mのパネルにポスター18枚を展示

21回なのに18枚?と思われた方もいるでしょうか。3枚足りないのは、実は、1916年(大正6年)の第6回ベルリン大会、1940年(昭和15年)の第12回東京大会、1944年(昭和19年)の第13回ロンドン大会が、戦争により中止になったためです。
昨年の大河ドラマ「いだてん」をご覧になった方は、主人公たちがオリンピック中止に悲しむシーンがあったことを思い出されたのではないでしょうか。

中止になった夏季五輪説明と1900年開催のパリ大会ポスター

今回展示したポスターは、市民の方から寄贈された貴重な資料で、18枚のポスターのほか、各大会の概要などがわかる資料とセットになっています。
そこで、各大会の参加国数、出場選手数及び日本人選手の活躍などもあわせて解説パネルで紹介していますので、ぜひご覧いただければ幸いです。

解説パネル作成中!

ポスターと解説パネル①

ポスターと解説パネル②

このミニ展示は12月20日(日)まで開催予定です。

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No32・麦蒔き)

サツマイモや陸稲(リクトウ・オカボ)の収穫に忙しいこの頃は、冬作の麦類(大麦・小麦)の種蒔きの時期で、10月下旬から11月上旬にかけて小麦を蒔き、その後に大麦を蒔きました。かつては、次回取り上げる予定の11月20日のエビス講までに蒔き終えるのを目安としていました。

今回も昭和62年(1987)度制作・文化財記録映画第六作「相模原の畑作」において、中央区田名で撮影された麦蒔きを中心とした写真を紹介します。

最初の写真は陸稲を植えていた畑に小麦を蒔くために、畑を耕しているところです。陸稲は畑にまだ麦が残っている時に蒔きますが、麦は陸稲収穫後の畑をうなって(耕すこと)種を蒔きます。

麦の種も陸稲と同様に肥料と混ぜて蒔くのが普通で、別々に蒔くよりも手間が省けるとも言われました。肥料と混ぜた種を、ツミオケと呼ばれる桶に入れて蒔いていきます。それが後には、種を入れて振るように蒔く播種器が出てきて、先に肥料を撒いて後から種を振ることも行われるようになりました。写真では、奥のツミオケで蒔く手前で播種器を振る様子が見えます。

 

 

麦は陸稲だけでなく、サツマイモ畑にも蒔きます。サツマイモは芋を鍬で掘り出して収穫するため耕した状態と同じになるため、蒔き溝を付ければ播種できます。写真では、前回の職員ブログで紹介した、サツマイモを保存するために畑に掘った穴の目印に差した藁束が左奥に見えています。

そして、麦を蒔いたところに陸稲と同じく、足で土を蹴るようにして種の上に掛けていくホウリモノの作業を行います(以上、昭和62年(1987)11月8日撮影)。

冬場の寒い時期に畑にある麦は、霜柱などで根が浮き上がらないように何回か麦踏みをする必要があります。映画では昭和63年(1988)1月15日に麦踏みを撮影しましたが、この頃の小麦は写真のような様子で、麦の状況を見ながら踏んでいきます。

 

また、やはり寒い時期なので、麦株の北側に土を寄せて風をよけ、太陽がよく当たるようにしたり、さらに、刈り取っただけで畑に残ったままの陸稲の根を掻き出す作業などもありました(以上、1月15日撮影)。なお、陸稲を蒔いた後の麦の根上げについては、職員ブログNo.30の「陸稲の収穫」で触れています。

 

この後もいくつかの作業を経て、これも職員ブログNo.13で紹介したように6月に麦の刈り取りと脱穀調製が行われました。収穫された大麦は米などと混ぜて主に自家の食事の麦飯に、小麦は粉に挽いてウドンや酒マンジュウの材料にするほか、出荷して売ることもありました。

畑が圧倒的に多かった市域にとって、大麦や小麦は日常食はもちろん、行事の際の食物の材料や販売用の現金収入源としても、この地域の生活を支える非常に重要なものの一つだったのです。

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リュウキュウサンショウクイ参上

※11月4日は祝日翌日のため休館です。

博物館周辺の樹林で実施している野鳥の調査中、エナガの群に遭遇しました。小さくてかわいいエナガの群は、見ているだけで幸せな気持ちになります。

エナガ

すると、エナガのチリリリという声より明らかに鋭いビリリリという声が聞こえてきました。4、5羽でエナガの群と行動を共にしているリュウキュウサンショウクイでした。

リュウキュウサンショウクイ

以前、このブログでも道保川公園(相模原市中央区)で撮影した写真をご紹介しましたが、この鳥も近年生息分布を急激に広げています。名前のとおり、琉球列島に生息するサンショウクイの亜種で、この10年ほどの間で越冬期にどんどん北上を続け、緑区の山中でも見られるようになりました。分布拡大の要因はまだよくわかっていません。

カメムシの仲間を捕まえたリュウキュウサンショウクイ

博物館周辺ではこれまで見られませんでしたが、この日は林内をずっと鳴きながら飛びまわっていました。なぜかエナガの群と一緒にいることが多く、どうも鳴き声が似ているということでなんとなくついていってしまうのかもしれません。今後、もともと本州の夏鳥である亜種サンショウクイとの亜種間関係がどうなるのかなど、何かと興味が尽きません。

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ヒガラの飛来

10月末から、博物館周辺の樹林地で野鳥の調査を行っています。11月2日、カラ類混群(シジュウカラを中心とした複数の種の群)の中に、こんな鳥がいるのを見つけました。

ヒガラ

ヒガラです。シジュウカラ科の小さな鳥で、少し高い山から亜高山帯で繁殖する鳥ですが、冬は低山へ下りてきます。しかし、博物館周辺の樹林で見られるのは稀です。
今年はヒガラが沿岸地域にも移動しているという情報もあり、それを裏付けるようなヒガラの出現でした。
カラ類混群には、シジュウカラのほかにヤマガラやメジロ、コゲラなどがレギュラーで、たまにエナガの群も合流します。

シジュウカラ

ヤマガラ

コゲラ

この季節、出会うとちょっとお得感のある鳥たちです。

※明日(11月4日)は、祝日翌日の休館日となります。

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11月の星空情報①

 

最近は朝晩に加え、昼間もだいぶ冷え込むようになりました。
それもそのはず、今年は11月7日が「立冬」です。
暦の上では冬の季節が始まり、空気が澄んで、星々が綺麗に見えます。

夜9時頃は、南の空でまだまだ秋の星空を楽しむことができます。
秋の星空は明るい星が少なく、星座を探すのには少し苦労をします。
(11月の星図はこちらをご覧ください。)

しかし「秋の四辺形」を目印にすると、星をたどって見つけることができます。
秋の四辺形の近くには、「アンドロメダ銀河(M31)」があります。

図:アンドロメダ銀河(M31)の探し方

アンドロメダ座の方向に見えるため、そのような名前が付けられました。

アンドロメダ銀河は約230万光年彼方にあります。
光年とは、光が1年かけて進む距離のことで、1光年=約9兆4,600億kmです。
つまり、この世で一番速いと言われている光でも、
アンドロメダ銀河に届くのに約230万年かかるということです。

そんな遠いところにある銀河ですが、
街明かりの少ない所であれば肉眼でも雲のようにぼんやりと見えています。

秋の四辺形とアンドロメダ銀河(M31)
撮影:当館プラネタリウム解説員

望遠鏡を使い、拡大して撮影すると、
銀河のうずをまいた形まで捉えることができます。

アンドロメダ銀河(M31)
撮影:相模原市立博物館天文クラブ

秋の四辺形を目印にして、探してみてください。

 

そして、夜明け前の東の低い空では、水星と金星に注目です。
特に水星は11月11日に見頃を迎えます。

水星が西方最大離角
図:国立天文台 天文情報センター

また、11月13日に月と金星、
11月14日に月と水星が接近して見えます。

月が金星、水星に接近
図:国立天文台 天文情報センター

早起きをしたら、ぜひ、ご覧になってみてください。

 

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朝のクモ、夜のクモ

通勤途中に、毎年同じ場所で見かけるクモがいます。
ヤエンオニグモです。
このクモの寿命は一年限りなので、毎年違う個体です。

朝のヤエンオニグモ

朝の様子。
木のこぶと一体化した見事な擬態で、ちょっと見ただけではどこにいるのかわかりません。
体長2cm程ですが、かなり大きく感じます。偶然見つけたら、ぎょっとするかも知れません。

夜のヤエンオニグモ

そしてこれは夜。
網の真ん中に陣取って、獲物を待っています。
このクモは昼間は目立たないように隠れていて、夜になると動き出します。つまり「夜行性」という事ですね。
クモの糸は光をよく反射するので、実は夜間の方が観察しやすかったりします。

カメラのフラッシュで、網がはっきりと写っています。

※「朝のクモは縁起が良い。夜のクモは縁起が悪い」などと言いますが、地方によって逆だったり、様々なようです。

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No31・サツマイモの収穫)

 前回記した陸稲(りくとう・おかぼ)と並んで、サツマイモは夏場の畑での中心的な作物です。今回のサツマイモに関する写真は、やはり昭和62年(1987)度制作・文化財記録映画第六作「相模原の畑作」において中央区田名で撮影したものです。

 サツマイモは5月中旬に、まだ麦を刈り取る前の畑の中に苗を植えていきます。最初の写真は、職員ブログNo.4の再掲ですが小麦の間に植えているところです。

                               

 麦を刈り取った後のサツマイモの作業は、陸稲と同様に除草などのために苗の間を耕し、追加の肥料を施します。これをサツマコシラエと言ったりしました(7月19日撮影)。

                               

                               

 さらに、8月のお盆前に、草をむしりながら伸びているサツマイモの蔓(つる)を地面から離していくツルカエシをしました。ツルカエシをしておくと、収穫の際に楽に芋が掘れます(8月9日)。

                               

 10~11月にかけてサツマイモを収穫し、芋掘り前に鎌で蔓を刈ります。そして、現在では、サツマイモ掘りというと手で土の中から芋を掘り出すイメージがありますが、鍬で掘り出していきます。そして、蔓はサツマイモを掘ったところに埋めて肥料にしたり、乳牛を飼う家では牛の餌にしました(10月25日)。

                               

                               

                               

 掘り上げた芋は、畑などに穴を掘って貯蔵します。穴は深いもので1mも掘り、芋を入れた後に麦藁をかぶせて土を掛けます。また、4枚目の写真のように、どこに穴があるか分かるように、隅の方に麦藁を差しておきました。貯蔵用の穴は屋敷内に作ることもあり、保存したサツマイモは冬から春先にかけて必要に応じて取り出し、食用や出荷しました(同上)。

                               

                               

                               

                               

 陸稲とは異なり、サツマイモはこの土地に合っていて、雨が少なくとも収穫できる乾燥にも強い作物として大量に作られていました。サツマイモは売るほか、オコジュウと呼ばれる午後の間食(おやつ)としてたくさん食べられました。
 次回は、この時期のもう一つの重要な農作業であった麦類の種蒔きを中心に取り上げたいと思います。

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ジョウビタキ

冬鳥のジョウビタキがやってきました。
ジョウビタキは冬の間、単独行動で越冬場所の縄張りを持つため、渡来当初は「ヒッヒッ、カタカタ」と鳴きながら飛びまわり鉢合わせた同種同士で小競り合いを繰り返します。写真のオスは10月27日に緑区で撮影したものですが、やはりちょっと落ち着かない様子でした。

ジョウビタキ(オス)

平地の代表的な冬鳥として親しまれる本種ですが、野鳥の世界も様々なイノベーション?が起きています。ジョウビタキは十数年前から山梨県や長野県の高原の別荘地などで繁殖するようになり、その数もエリアも徐々に広がりつつあるようです。

ジョウビタキ(メス)昨年撮影した写真

神奈川県ではまだ繁殖記録はありませんが、もし県内で繁殖し始めるとすれば、相模原市緑区の山麓域ではないかと推測しています。これから10年、20年と経つうちに、鳥類図鑑のジョウビタキの渡り区分も「冬鳥」から「留鳥」(一年中みられる鳥)などと書き換えられることになるかもしれません。

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生きものミニサロン実施しました!

10月24日、生きものミニサロンを実施しました。幸い?定員ピッタリの参加者となりました。
今回のテーマは「ドングリとひっつき虫」です。まずは駐車場へ出て、たくさん落ちているドングリを拾ってもらいました。

みんなでドングリひろい

拾ったドングリがなんの木のドングリなのか、その場で調べてもらいました。駐車場に落ちているドングリは、コナラのドングリでした。さらに、博物館にある標本から、クヌギ、アラカシ、マテバシイ、スダジイ、クリなどのドングリを見ていただきました。

いろいろなドングリを見ていただきました

続いてお隣の樹林地へ移り、ひっつき虫の観察です。今回も相模原市立博物館特製の「ひっつき虫採集器」が大活躍!スタッフが草むらで採集器を振り回します。

ひっつき虫採集器を持ったスタッフが活躍中

採集したひっつき虫をそれぞれ取ってもらい、これもテキストを使って種類を調べてもらいました。

ただの軍手ではありません。特製のひっつき虫採集器です

そして、最後にスペシャルゲストの登場!ひっつき虫の王様とも、悪魔の爪とも称されるイビセラ・ルテアの果実です。

最後にお見せしたイビセラ・ルテアのかぎ爪はインパクト絶大でした

おお!という歓声をみなさんからいただき、無事に終了しました。
コロナの中で、距離をとったり、使用する道具や使い方を制限せざるをえなかったりと難しい面もありましたが、参加者のみなさんと楽しく身近な自然観察ができました。
来月は11月28日(土)に実施します。お楽しみに!

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