地質分野実習 ~展示・資料保存編~

こんにちは!地質分野の実習生(神戸・徳永・志村)です。

実習の一大イベントである展示制作の様子を紹介します。

はじめに、展示のレイアウトについて話し合いました。

次に、採集した石を中心に、展示に使用する写真の撮影を行いました。

写真やキャプションを構成し、印刷したら・・・

いよいよ展示室に設置したボードに、作成したパネルを配置します。

微調整をしたら完成です!

皆で協力して無事にできあがりました!

とても達成感がありました!!!!!!

実習の終わりに、採集した石に一つ一つラベルを付けて、博物館資料として保存できる状態にしました。

採集した石が収蔵品になりました。

今日(9月6日)で実習は終わりですが、是非、私たちが作った展示を見に来てください!

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シリーズ「相模原ふるさといろはかるた」でみる名所紹介⑯ ㋟

「端午の空 相模の大凧 舞い揚がる」

相模の大凧は、毎年5月の4、5日に、相模川に面した南区新磯地区で、「相模の大凧文化保存会」によって揚げられます。

現在では「相模の大凧まつり」として相模原市を代表する観光行事の一つです。

2012年5月5日撮影

当日は、新磯地区の上磯部、下磯部、勝坂、新戸地区が作ったそれぞれの凧を、相模川の河川敷で揚げます。

中でも新戸地区の大凧は有名です。八間(約14,5m)四方の大きさで、この大凧を揚げるには、80~100人の人手が必要といわれています。

かるたの絵札に描かれているように、大凧には昔から二文字の漢字が赤と緑で書かれます。
右上の赤い文字は太陽を表し、左下の緑の文字は大地を表します。

題字は人々の思いや世相を反映したもので、現在は公募で選ばれた漢字が書かれます。

新戸の八間凧(2012年5月5日撮影)

このような大凧は、この地域でいつから揚げられているのかわかっていません。

もともと市域では男子の誕生を祝って、5月の初節供に各家で凧を揚げる習慣がありました。それが次第に大型化して地域全体でおこなうようになり、豊作祈願などの地域の願いを題字に込めて揚げるようになったと考えられています。

空を飛ぶ新戸の八間凧(2012年5月5日撮影)

現在でも5月の節供の時期に合わせて、「相模大凧まつり」は行われています。
実は、5月の端午の節供に凧揚げをするのは、関東から中部地方にかけてです。

多くの方が凧揚げは正月の風物詩であると思われているかもしれませんが、現在でもこのような地域性がみられます。

これからも相模の大凧は地域の願いを乗せて、端午の空を力強く舞い揚がっていくことでしょう。

相模の大凧については次のページでも紹介していますので、ぜひご覧ください。
祭り・行事を訪ねて(35)勇壮に舞った相模の大凧~南区新磯地区の「相模の大凧」~

*このかるたは当館のボランティア「市民学芸員」が2017年に制作したものです。
*このかるたは相模原市立博物館にて貸出し可能です(当面の間、貸出しを休止しております)
*貸出しの詳細やその他このかるたに関心のある方は、博物館までお問い合わせください(042-750-8030)
*貸出し使用時には感染症予防のため、事前・事後の手洗い・消毒などを必ず行ってください。

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キツネノマゴの蜜標

夏の終わりになると、博物館の駐車場にキツネノマゴという植物がたくさん咲きだします。
名前が特徴的で、小さいながら花もかわいらしいので、ついしゃがんで眺めてしまいます。

キツネノマゴ

こういう形の花の多くには蜜標(みつひょう)と呼ばれる模様があり、花粉を媒介してほしい虫などへ向け、蜜ののありかへ誘導する機能があるといわれています。

特徴的な蜜標

前からちょっと気になっていたのですが、キツネノマゴの蜜標は、あばら骨のような形で、立体的に見えます。見方によっては、あばら骨状の花弁がもう1枚のっかっているようにも見えるので、いつか解剖してみようと思っていました。
身近すぎる花なので、つい確かめないままでいたのですが、ふと思い立って先ほど解剖してみました。すると・・

下側の花弁を取り出して縦に裂いたところ

やはり下側の花弁があばら骨状に隆起して浮き出ているだけで、もう1枚のっかっているわけではありませんでした。
なんのオチも無い結果でしたが、自分の目で確かめてみたら、やはりスッキリしました。

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学芸員実習生(考古分野)ミニ展示開催中

学芸員実習生(考古分野)によるミニ展示「田名塩田遺跡群から見つかった古代の土器たち」は、実習最終日の8月28日(金)、夕闇迫る中なんとか無事に完成しました。

ミニ展示「田名塩田遺跡群から見つかった古代の土器たち」

解説文の修正が発生したり、初めて経験する解説パネルの壁面への打ち付けなど、うまく行かず手間取ったところがありましたが、4人の実習生が幅160cmの小さな小さな展示ケースの中で、自分たちが伝えたいことをどのように表現したらよいか悩みながら作り上げた展示です。

パネル設置作業

展示を前に記念撮影

展示は常設展示室出口で開催中です。若き学芸員の卵たちの展示をぜひご覧ください!

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キシダグモの仲間(幼体)

最近、通勤路の植え込みが剪定ですっかりきれいになり、クモの観察がしづらくなっていたのですが、先日ちょっと珍しいものを発見しました。一箇所にごちゃっとかたまってまっているはクモの幼体。

子グモが一か所にまとまっています。

このように卵のうから出てきた子グモが集団で過ごしている状態を「まどい(円居)」と呼びます。それ自体は珍しくありません。首を傾げてしまったのは、いつもこのあたりで見かけるクモで、この時期に幼体まどいを見かける種類を思いつかなかったからです。

体長は2mmほど

拡大してみると、徘徊性の種、おそらくキシダグモ科のクモだとわかりました。
この仲間は、母グモが出のうが近づいた卵のうを、糸を張り巡らせた中に置き、出てきた子グモが分散するまで近くで見守る習性を持つものがいます。こういった習性から、ヨーロッパにいる近縁の種には「Nursery web spider(保育網グモ)」と呼ばれているものもいます。日本ではイオウイロハシリグモやアズマキシダグモでそのような行動が知られています。剪定のおかげで空間が広くなり、「保育網」を設置する場所ができたのかもしれません。今回、近くに母グモが見当たらなかったのですが、きっと近くにいると思うので、機会をみて探してみようと思います。

雨の後nursery webに水滴がついて光っていました。中央右寄りにぼんやり写っているのは、子グモが出た後の卵のうです。

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博物館実習日誌 生物分野 9/2 最終日!

こんにちは!生物分野の実習生(青山、藤村、水野、村田)です!
今日9月2日は、9月19日から開催する企画展「神奈川の植物、相模原の植物 植物誌から考える生物多様性」のうち実習生が担当するミニ展示を仕上げました。

解説パネルの最終的な詰めを行っています

午前中は、パネル作成やレイアウトを決定するなど慣れない作業でしたが、段々形になりワクワクしました。

パネル切りも博物館以外ではあまり体験しない作業です

午後は、実際の会場(特別展示室)に設営しに行きました。

実際の展示ケースへ列品

パネルや資料を並べてみるとイメージと異なる部分も多くありました。

被災標本の実物も展示

完成した展示とともに記念撮影!

企画から考えるのは大変でしたが、学芸員の仕事を体験でき、得るものが多い実習となりました。
今日で実習は最終日です。新型コロナウイルスの影響で例年通りとはいきませんでしたが、今年ならではの工夫を凝らした9日間になりました。

ありがとうございました!

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No.24・職人の道具と技術)

しばらく行事関係の内容が続きました。今回は職人に関するいくつかの写真を紹介します。

市教育委員会では、昭和57年(1982)度に職人・諸職調査を実施し、報告書を刊行しています(『諸職調査報告書』1984年3月刊。ただし、調査対象は相模原地域です)、その中では、大工などの建設関係・15種、桶屋など道具関係・20種、醤油しぼりなど生活関係・15種、その他・9種というように、多くの職種と携わった職人について報告しています。
それは数代前の先祖がやっていたとする、かなり古い時代のものから、調査当時も現職というような方も含まれていますが、それにしても相模原にも大勢の職人が活躍していたことが分かります。

今回取り上げる写真は、いずれも昭和59年(1984)9~10月の撮影で、当時、職人に関するちょっとした展示会を実施する計画があり、その準備のための調査を行いました。なお、写真はすべてモノクロで撮影しました。

最初の写真は中央区上溝の桶屋関係です。プラスチックなどが普及する以前、桶は容器としてさまざまなものを入れました。それぞれの職人は製品を作るのに必要な道具を使いますが、桶屋は道具が多く、仕事場の一角に整理された道具が置かれ、木を伐る各種のノコギリや削るカンナなどが見えています。
また、桶は板を丸みをつけて削り、曲げた板をつなぎ合わせていくため、その寸法を計る型がたくさんあります。

次の写真は、桶の内側に底を入れるための溝を彫っているところです。そして、底廻しカンナで底板の周囲を整えて底を入れます。桶は液体を入れることが多く、水漏れしないことが大切です。

桶と同様に、物を入れるのに必要だったものに籠があります。この写真は中央区田名で籠屋の経験がある方に、皮の付いたままの里芋を洗う際に使うイモフリメカイを作っていただき、その工程を撮影したものです。
籠作りの道具は、竹を割り、竹皮と身の部分を分けるためのものが主になります。籠を編むには底の部分から始め、次第に編み上げていって縁を作ります。製品には、こうした大小の籠類のほか、養蚕の盛んだった相模原では、蚕を載せて飼うエビラを作ることも多く、さらに熊手などさまざまな竹細工を行いました。

最後は緑区下九沢で、包丁などの金物のほかに、鍬や鉈(なた)・鎌などの農具を中心に作っていた鍛冶屋の写真です。鍛冶屋は金属を叩いたりするための各種の道具が必要ですが、写真では大きな鞴(ふいご)が目に付きます。
鞴は金属を扱う職人にとって重要な道具の一つで、材料の金属をハンマーなどで叩いて伸ばしたりする際に、金属を炉の火の中に入れ、鞴で風を送って火力を高めます。また、この時には金属の割り方など、いくつかの技術について再現していただきました。

職人は鍛冶屋に限らず、職種によっていろいろな神仏を信仰しており、鍛冶屋は仕事場の鞴の上に金山様を祀っていました。そして、11月の鞴祭りのほか、正月の仕事始めには鎌・鍬・鉈などの製品のミニチュアを作り、金山様の祠に供えます。この写真では、実際のものはないため、段ボールを切って作ったミニチュアで当時の様子を示していただきました。

このほか別の機会に撮影した職人関係の写真なども、今後、折に触れて紹介していきたいと思います。

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博物館実習日誌 生物分野 9/1

こんにちは!生物分野の実習生(青山、藤村、水野、村田)です!
今日(9月1日)は、8月24日に採集した植物を標本にしました。

乾燥した標本を台紙に貼りました

はんだごてを使ってマウント作業を行い、標本ラベルを貼りました。これらの植物標本は博物館に登録・収蔵されました。

博物館の植物標本データベースへ登録

実習の記念に、お持ち帰り用として小さめに作った標本をラミネート加工してもらいました。

実習の記念に、A4サイズの標本(記念写真入り)をパウチ!

午後からは、「わぉ!な生きものフォトコンテスト入賞作品展」の撤去作業を手伝いました。

好評だった写真展も終了、撤収

そして、企画展の実習生が担当するコーナーの準備もいよいよ大詰めとなりました。
今日は展示する資料の選定やパネルの作成を行いました。

解説パネルの文章を考えて、レイアウトを作成

明日で実習も最終日を迎えます。企画展に向け、悔いのないよう頑張ります!

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おかいこさま飼育中 9/1 飼育展示再開しました!

7月中旬にカイコの飼育が一旦終了し、映像のみの展示となっていましたが、8月29日から夏秋蚕(かしゅうさん)の飼育を始めたので、飼育展示を再開しました。

かわいいお子さんたちが早速見てくれました

まだルーペ越しでないと見えないくらい小さい!

今回の品種は、なんと黄緑色の繭を作る「緑繭2号」です。
今日(9月1日)はすでに掃き立て(給桑開始)から4日目となるため、そろそろ1眠(みん:脱皮前の休眠期間)に入り、9月3日には脱皮をして2齢になる予定です。

もうすぐ眠に入ります

黄緑色の繭は笹繭とも呼ばれ、とても美しいので成長が楽しみです。なぜ黄緑色なのかについては、またこのブログでご紹介します。今月末には繭ができているはずですのでお楽しみに!

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9月の星空情報①

夕方の気温が過ごしやすく感じる日も増えてきました。

本来であれば星空観察にもちょうどよい季節となってきましたが、
博物館で月に約2回のペースで実施してきた「星空観望会」は、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、今年度はしばらくお休みしています(投稿日現在12月末まで中止)。

みなさんと一緒に星空を見られないのは寂しいですが、
少しでも皆さんが星空を見上げ続けてくださるように、星空観望会が再開するまで、この職員ブログで少し、星空や天文現象、本当だったら目にしていただくはずだった天体の姿などをご紹介していきます。

日が沈んで、夕焼けがまだ空に残る頃、南の空にひときわ明るい星が見えてきます。
よく見ると、その星はほとんど瞬きません。瞬かない星は、太陽系の惑星のどれかです。その正体は木星。望遠鏡で観察すると、表面の縞模様などが見えます。

博物館にある口径40㎝望遠鏡を使って撮影した木星(2020/08/18撮影)

そして、木星の向かって左側に、もう1つ明るめの黄色い星が見えます。それが土星です。よく知られた環のある姿は、望遠鏡を使うと確認できます。

博物館にある口径40㎝望遠鏡を使って撮影した土星(2019/08/04撮影)

月は、今週水曜日(9月2日)に満月を迎えます。また、月の通り道(白道)と、惑星の通り道(太陽の通り道「黄道」とほぼ同じ)は接近しているため、惑星と月は時折近づいて見えます(9月は25~26日がチャンス)。月と星が近づいてみえる・・・それだけなのに、華憐で繊細な芸術品のごとく感じられるのは不思議です。

残念ながら街の中で満天の星は見ることができません。しかし、都会の空でも頭の上を見てみると、明るい星3つでできた「夏の大三角」を見つけることができると思います。やがてこの三角は西へ傾き、シーズンを終え、かわって東の空に見え始めている「秋の四辺形」が高い空に昇っていきます。かつて親しまれたわらべ歌“さよなら三角 またきて四角~”を「地」でいっています(あ、「空」でしたね)。

実は夜空は星座でビッシリです。もし、夜空の星座を見てみたくなりましたら、
博物館ホームページ内に掲載している星図を、参考にしてみてください。

最後に、星空観察をするときは、安全や防虫対策など万全の準備でケガや事故に気を付けて楽しんでくださいね。

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