玄関から20歩の自然 その25 幼虫もカッコイイ!セスジスズメ

玄関から20歩、どころか、玄関のすぐ脇にこんな蛾が止まっていました。

セスジスズメの成虫

セスジスズメです。スズメガの仲間はどれもシャープなフォルムをしていて、見ていると惚れ惚れしてしまいます。

横から見たセスジスズメ

垣根や街路樹などあらゆるところにはびこるつる植物、ヤブカラシについてはこのシリーズのその8でご紹介しました。セスジスズメの幼虫の主要な食草の一つは、まさしくこのヤブカラシです。
幼虫がまたなかなか派手でおしゃれ。若齢幼虫の間は、マットブラックの地に、黄色い斑点模様。

逆さになってヤブカラシにとまっているところ 右が頭

終齢幼虫になると、頭部側が大きくなり、見事な目玉模様を見せながらヤブカラシを食べています。

目玉模様を見せながら食べるセスジスズメの終齢幼虫

以前、草刈り中にこのイモムシに遭遇した方が「新種のヘビを見た!」と博物館に駆け込んでこられたことがありました。お話を伺って、写真を見せたら「確かにコレだ!」と一件落着。人間にもヘビを連想させる擬態ってすごいですね。
住宅地で普通に見られるスズメガです。これから秋にかけて長く見られるので、ぜひヤブカラシのつるを探してみて下さい。

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おかいこさま飼育中(16日目 4齢も終盤)

6月3日の掃き立てから16日目、4齢に脱皮して4日目です。4齢期はだいたい5日間なので、明日までには眠に入り、日曜日にかけていよいよ5齢(終齢)に脱皮する予定です。

4齢4日目のカイコ

日に日に食べるクワの量が多くなっていて、餌の確保が大変です。博物館お隣の樹林地などからも採ってくるのですが、その時、ちょっと気をつけないとよく似た違う木と間違えます。それは、クワと近縁のヒメコウゾです。下の写真は、ヒメコウゾとクワが隣り合って生えているところです。どちらがクワかわかりますか?

葉の色が濃い方がヒメコウゾです

左がヒメコウゾで、右がクワです。陽当たりなどにもよりますが、ヒメコウゾの方が濃い緑色です。クワと同じく、葉の切れ込みは様々で、切れ込まない葉もあれば、深く切れ込んだ葉もあります。慣れてくると、葉の質感や微妙な切れ込み方の違いなどでもわかりますが、慣れないと難しいですね。
わかりやすいのは若い枝の色です。ヒメコウゾは紫がかった茶色をしています。

ヒメコウゾの若い枝

クワの若い枝は緑色です。

クワの若い枝

さらに今の時期なら、果実が実っているかもしれません。ヒメコウゾは、明るい朱色の果実が枝の下にきれいに並びます。キイチゴに似て美味しそうに見えますが、クワと比べるとぜんぜん美味しくありません。

ヒメコウゾの果実

クワは黒紫色に熟します。

クワの果実

間違えてヒメコウゾをカイコにあげると、始めからヒメコウゾをあげているとある程度育つようですが、クワで育ったカイコに途中からヒメコウゾをあげても、少しかじりますが、すぐに食べなくなります。味が違うのでしょうね。

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カルガモの親子

先日、市内のある公園の水場でカルガモの親子を見ました。

カルガモの親子

ふ化してまだ1週間程度でしょうか。ピィピィと鳴きながら水際で藻類などを食べたり、時には水中に潜ったりしています。親鳥は完全に潜水することはまず無いのですが、ヒナはジャポンと水に潜ります。

水際で採食するヒナ

かわいらしい姿に、多くの人が足を止めてスマホなどで撮影していました。
ただ、中に餌を用意してきて、ずっと親鳥やヒナに与えようとしている人がいました。最初は警戒していたヒナも、次第に近くに寄って食べているようでした。親鳥は少し離れたところで警戒しています。この公園では飼育はしていませんので、このカルガモ親子は野鳥です。
野鳥への給餌(きゅうじ)は、食料事情の厳しい冬期に自宅の庭など、ごく限られた条件で行われるべきです。繁殖期の親子の野鳥への給餌をしてはいけません。それはなぜかというと、ヒナの警戒心や、食物の探索能力が正しく育まれないからです。下の写真は、この親子の全体を写しています。

ヒナは6羽 すでに半分ほどに減っているようです

ヒナの数は6羽。カルガモは1回の繁殖で10個以上の卵を産みます。1週間ほどの間に、すでにヒナの数は半分ほどに減っています。人間が餌を与えようと与えまいと、ネコやカラスなどさまざまな外敵に襲われて減っていきます。しかし、餌を与えられると、その場所に依存し、警戒心も低くなり、襲われる確率が高まります。もちろん人間がそばにいる間は襲われることはまずありませんが、四六時中ついているわけではないので、早朝や夜間に襲われてしまいます。
人間と野生動物が適度な距離感を失うと、必ず軋轢(あつれき)が生じ、野生動物の生存に危機的な状況を招きます。繁殖期の野鳥を餌付けしてはいけません。

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チュウガタシロカネグモ

先日、博物館の入り口前でせっせと網を張っているクモを見かけました。逆光に映えてちょっと透き通って見えます。

博物館前で網を張るクモ

最初はその辺によくいるコシロカネグモかオオシロカネグモだろうと思ったのですが、なんとなく雰囲気が違います。
そこで思い出しました。4月5日のブログで言及した「チュウガタシロカネグモ」。
早速採集してアップで撮影。

チュウガタシロカネグモ

体長は1cm程度。腹部前方のいわゆる「肩」の部分にこぶ状の隆起と黒い斑紋があるのが他のシロカネグモ類との識別点です。どうやらチュウガタシロカネグモで間違いありません。
念のため顕微鏡で生殖器の形状も観察しましたが、残念ながらあと1回脱皮しないと成体にならないようで、正確な確認には至りませんでした。このため、正式な記録としては次の機会に譲りますが、今まで市内で見つかっていなかったこのクモが進出してきているのは間違いなさそうです。
因みに「進出してきている」と言っても人為的に持ち込まれた外来種ではなく、もともと国内で北上傾向を示している種ですので、気候の変化に伴い生息域を広げているものと思われます。
4月5日ブログ「ちょっと怪しいクモ」

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シリーズ「相模原ふるさといろはかるた」でみる名所紹介⑥ ㋷リニア中央新幹線

リニア中央新幹線 新駅が 橋本に

リニア中央新幹線の神奈川県駅(仮称)が橋本駅周辺に建設予定であることは、皆様ご存じかと思います。

橋本駅周辺は大型商業施設や高層マンションも多く、津久井・城山方面から橋本へ向かっていると、橋本のビル群が一際よく見えます。

橋本駅上空 西から(市ホームページより引用) (https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/area/koikikoryu/nowthen/index.html)

 

建設予定地はここ!(下の写真 赤矢印)

アリオ橋本にはよく出かけるので、付近を通るたびに工事現場の状況をみています。今日は何をしているのか・・・外からはよく見えません。最近見かけた状況では、相原高校の旧校舎はまだ残っており、南側に新規の鉄塔を建設していました。

橋本駅上空から 神奈川県駅(仮称)建設予定地 ※おおよその位置です。

リニア中央新幹線のHPではこのような感じ。 (同HPから引用) (https://linear-chuo-shinkansen.jr-central.co.jp/plan/)

私は三重県に両親が住んでおり、専ら新幹線での帰省です。リニア中央新幹線の開通により、かなりの速さで帰省できることになりますので、今から期待しています。

そのほか、神奈川県駅以外にも緑区の鳥屋地区では関東車両基地が整備予定とのことです。品川~名古屋間の開通は2027年予定とのことです。

リニアの開通という歴史的な出来事の到来により、橋本駅周辺の景観も大きく変わりそうです。

*このかるたは当館ボランティア「市民学芸員」が2017年に制作したものです。

*このかるたは相模原市立博物館にて貸出し可能です(当面の間、貸出しを休止しております)。

*貸出しの詳細やその他このかるたに関心のある方は、博物館までお問い合わせください(042-750-8030)。
*貸出し使用時には感染症予防のため、事前・事後の手洗い・消毒などを必ず行ってください。

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おかいこさま飼育中(14日目 4齢 葉のコンディション)

6月3日に掃き立てしてから6月16日で2週間が経ちました。14日(日)には3回目の眠(みん)に入り、15日(月)朝にはほとんどのカイコが脱皮して4齢になっていました。

4齢のカイコ 3センチメートルを超えました

4齢になると食べる量もだいぶ多くなり、葉を噛む音もメリメリ、パリパリと大きく聞こえてきます。

すっかりカイコらしい色と体つきになりました

といってもこれは終齢、つまり5齢の序章のようなものです。5齢期に食べる量はすさまじく、カイコが一生の間に食べるクワ(といっても幼虫期しか食べませんが)のうち、8割を5齢の1週間で食べると言われています。5齢でどれほどたくさんのクワを食べられるかで、繭の大きさは決まるのです。
ところで、カイコにあげるクワの葉はどんな状態のものが良いのでしょうか。それは、一言で言えば、2年生枝(にねんせいし)についた葉です。

桑畑のクワ 二年生枝が長く伸びている(市内緑区)

クワの枝は、伸びてから2年目くらいまでは緑色で、まだ木化(もくか)が進んでいません。2年生枝は前年から枝をするすると伸ばし、たくさんの葉芽(ようが)をつけています。

横向きのベージュ色が3年生枝、左斜め上に伸びた緑色が2年生枝

さらに2年生枝の葉は柔らかくて水分が多く、カイコが食べやすいのです。特に若齢幼虫(1齢~3齢くらい)は、枝の上の方の、開いて間もない葉、あるいは1年生枝のまだ伸びきっていない枝に着いた、特に柔らかい葉を選んであげます。

2年生枝の枝先の瑞々しい葉 1齢幼虫にはこの部分の葉をあげる

一方、伸長して年月の経った枝についた葉は、大きくて餌としての量的には良いのですが、堅くて5齢幼虫くらいにならないと食べる速度が落ちてしまいます。

大木の古い枝についたクワの葉

かつて市内にもたくさんあった桑畑では、刈り取りしやすいようにという意味もありますが、株を低く刈り込みます。春の給桑時に2年生枝を切っておくと、その年の内に脇から1年生枝が伸びていきます。そうすると、来年の2年生枝として準備ができるわけです。また、この2年生枝に大きく切れ込みの少ない葉(つまり、カイコが食べる面積の大きな葉)をつける品種も開発されてきました。良い繭を作るには、餌となるクワも研究されていたのです。
今はなかなかそうしたコンディションの良い葉をとるのが難しく、博物館のクワの木だけでは賄(まかな)えず、5齢になると飼育担当者は良いクワの葉を求めてあちらこちらへ飛び回る日々となるのです。

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No.13・麦の収穫)

 この職員ブログNo.4「サツマイモ植え」でも記しましたが、5月から6月はかつての農家にとってもっとも忙しい時期でした。5月上旬から始まる春の蚕の飼育は、一か月もすると蚕が繭を作り、No.6「養蚕②」で取り上げたように、マブシから繭を取り出す作業があります。

 畑では、前年の秋に蒔いた大麦や小麦の収穫がまっています。麦類は冬作として大量に作られている上、梅雨の時期で雨が降らない時に天気を見計らっての作業になるため、連日続く刈り取りから脱穀等の作業は大変な忙しさでした。

 今回紹介するのも、教育委員会が制作した文化財記録映画第六作目の「相模原の畑作」の際に撮影したもので、次の三枚は小麦の刈り取りの写真です。
 刈り取りには鎌を使い、一人が隣り合って植えてある二列を一度に刈り取り、そのまま並べておきます。そして、二抱え分を一束にまとめて家で脱穀しますが、なかなか家に持って来れない際には、畑の隅に五~六束をまとめて立てかけて干しておくこともありました(昭和62年[1987]6月17日・中央区田名)。

                   

                   

                   

 次の写真は脱穀の様子で、まず金属の刃を櫛(くし)状に並べたカナコキ(センバコキ)に麦穂を差し込み、手前に引いて籾(もみ)をこき落とします。次に、クルリボウと呼ばれる、回転する棒が付いた竿で籾を叩く「ぼうち」の作業を行って粒にします。写真は大勢の人数でのぼうちで、共同作業の際に皆の調子を合わせるために唄われたのがぼうち唄です。

                   

                   

 クルリボウで叩いた粒は、フルイで振るった後に、内部の扇を回して風を起こすトアオリ(トウミ)にかけてゴミを飛ばし、実入りのよくないものを選別します。その後にムシロに広げてさらに干し、俵などに入れて保存しました(昭和62年[1987]6月28日・中央区上溝)。

                  

                  

                  
               

 ところで後半の写真では、作業をされている方が昔風の服装をされていることに気づかれたでしょうか。実はこれらは、上溝地区のぼうち唄保存会の皆様に再現をお願いして撮影したもので、映画の中ではここで紹介したさまざまな作業のほかにぼうち唄も唄われ、相模原の代表的な仕事唄として収録されています。
 博物館では文化財記録映画だけでなく、実際の農家での脱穀作業の様子を撮影した写真も保管しており、次回はそうした写真を紹介したいと思います。

  ※文化財記録映画は博物館でビデオテープの視聴が、また、視聴覚ライブラリーでDVDでの視聴・貸し出しができますが、臨時休館等、ご利用に当たっては事前にHPなどでご確認ください。

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シリーズ「相模原ふるさといろはかるた」でみる名所紹介⑧ ㋠

力湧く 神輿くり出す 上溝夏祭り

 

現在の中央区上溝の夏祭りは、毎年7月第4週の土日に行われます。

相模原市を代表する祭りのひとつであり、「かながわのまつり50選」にも選ばれています。

江戸時代時代後期には、すでに祭りが盛大になっていたと考えられており、現在では毎年30~40万の人が訪れる県北最大の観光行事です。

祭りの最高潮が訪れるのは、本宮(ほんみや)と呼ばれる2日目で、夕方に行われる、神輿(みこし)と山車(だし)の巡行の時です。上溝の通りに、各地区の神輿と山車が一同に集まり、激しく揉み合います。

薄暗くなると、神輿に提灯が灯され、絵札にはこの時の様子が描かれています。

四ッ谷の神輿

古くは、上溝夏祭りを「オテンノウサマ」といい、今でも天王祭自体や神輿自体をオテンノウサマと呼ぶことがあります。

このオテンノウサマ(天王祭)は、京都の八坂神社(祇園社)の祇園祭が地方に伝播したものです。

オテンノウサマは市内各所で行われている(写真は下九沢九沢のもの)

平安時代、都での疫病流行は怨霊のたたりが原因とされました。

中でも、牛頭天王(ごずてんのう)は特に強い力を持つとされました。
この牛頭天王が、オテンノウサマ(お天王様)です。

牛頭天王はもともとインドの祇園精舎の守護神で、疫病をはやらせる神とされてきました。
そこで人々は疫病流行がおこる夏の前に、牛頭天王を祀り、病が流行らないようにしようとしました。
この祇園御霊会が祇園祭の発祥です。

牛頭天王は、素戔嗚尊(スサノオノミコト)と習合します。
荒ぶる神である素戔嗚尊もまた、疫病を起こす強い力があり、丁寧に祀ることで、疫病を退けることができると考えられてきました。

のちに明治の神仏分離によって、仏教ゆかりの牛頭天王は除かれ、祇園社も八坂神社と改称されます。

亀ヶ池八幡宮の境内末社(左から二番目が八阪神社)

上溝では現在、亀ヶ池八幡宮の社殿裏手に、京都の八坂神社からお迎えしたといわれる八坂(八阪)大神が祀られています。

この八坂大神のミタマが夏祭りの時には神輿に遷されます。

上溝の夏祭りは時代によって形を変えてきましたが、今でも町内の疫病除けを祈願する祭に変わりはありません。

 

上溝の夏祭りについては次のページでも紹介していますので、ぜひご覧ください。

祭り・行事を訪ねて(18)~上溝のオテンノウサマ(天王様)~本町自治会のシメ縄張り
祭り・行事を訪ねて(19)~上溝のオテンノウサマ(天王様)~本町自治会
祭り・行事を訪ねて(20)~上溝のオテンノウサマ(天王様)~五部会
相模原の民俗を訪ねて(72)~上溝のオテンノウサマ(天王様)・久保の神輿と山車(平成26年7月)~※ページの下の方にあります

上溝夏祭りの開催場所はこちらです。

*このかるたは当館のボランティア「市民学芸員」が2017年に制作したものです。
*このかるたは相模原市立博物館にて貸出し可能です(当面の間、貸出しを休止しております)
*貸出しの詳細やその他このかるたに関心のある方は、博物館までお問い合わせください(042-750-8030)
*貸出し使用時には感染症予防のため、事前・事後の手洗い・消毒などを必ず行ってください。

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インコが公園を飛び回る

市内南区の相模大野中央公園に、インコが群で飛び回っている。
そんな情報が市民の方から寄せられました。早速調査に行ってみると、到着してすぐに「ケイッケイッケイッ・・」などと大きな声で鳴きながら飛び回るインコに出会いました。

ワカケホンセイインコ(オス)

ワカケホンセイインコです。インドやスリランカ原産で、国内では比較的古くから飼い鳥として輸入されていましたが、1970年代頃から東京を中心に野外でも見られるようになった外来種です。神奈川県でも同じ頃から川崎や横浜で観察されるようになり、横浜市緑区には大きなねぐらが知られています。
市内でも境川沿いなどいくつか繁殖地が知られていますが、比較的小規模で、数はそれほど多くありません。しかし、相模大野中央公園では10~20羽が飛び回っているとのことで、今後の動向が注目されます。
ワカケホンセイインコは植物食で、果実や木々の若葉、つぼみなどを食べます。公園には様々な植栽木があり、生活の基盤を支えているようです。この日はヤマモモの果実を食べていました。

ヤマモモの果実を食べるメス

巣は、キツツキの古巣や樹洞、巣箱などを利用します。同じような営巣の仕方をするムクドリなどと競合するのですが、ムクドリは競争相手という意識があまりないのか・・すぐ近くの枝に止まっていてもお互い平然としています。

ムクドリ(左)とワカケホンセイインコ(右)

尾が長く、全身が若草色で見た目は美しいのですが、在来の鳥類への悪影響が懸念されています。

尾が長く、体はヒヨドリより一回り大きな鳥です

博物館では、今後も市内の分布状況を注意深く見守っていきたいと考えています。

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おかいこさま飼育中(10日目 雌雄がわかる!?品種の特徴)

飼育中のカイコは掃き立てから10日目、3齢になって3日目となりました。食べる量もどんどん増えていて、体長はすでに2センチを超えました。

3齢の3日目、2センチを超えました

そして、現在飼育中の品種は、一般財団法人大日本蚕糸会蚕業技術研究所(茨城県)が作出した「ひたち×にしき」というものです。この品種にはとてもおもしろい特徴があります。それは、幼虫時代の斑紋が、濃くでるのがメスで、薄いのがオスという違いがあるのです。これは、幼虫期に雌雄を選別できるため、遺伝学の実験などに用いるには大変便利な性質です。下の斑紋が濃くでているのがメスです。

体の斑紋が濃いメス

次の写真の個体はほとんど斑紋が見えないくらい白く、これがオスです。

斑紋が薄いメス(この特徴は品種特有のものです)

3齢くらいにならないとこの違いはわかりにくいのですが、4齢、さらに5齢になるともっとはっきりしてきます。
カイコは遺伝学の実験材料や教材としてだけでなく、ゲノム分析が進んで遺伝子を構成する地図がほぼ完成しているため、現在も遺伝子レベルで様々な研究が進んでいます。じつは、最先端の昆虫と言える生きものなのです。

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