玄関から20歩の自然 その24  にぎやかなムクドリ

今、周りを木々に囲まれた公園の芝生や、団地のまわりの草地などで、ムクドリがとてもにぎやかです。

クチバシと足がオレンジ色です!

ムクドリというと、白黒のちょっと地味な鳥という印象があるかもしれませんが、よく見るとクチバシと足がオレンジ色で、飛ぶと腰は白く、なかなかおしゃれな面もあります。

飛ぶと腰が白く見えるのも特徴

ただし、鳴き声はお世辞にも美声とは言えません。リャーリャー、あるいはギュルギュル、時折、ピィッピィッガチャガチャ・・など。そんな鳴き方で大騒ぎしているのは、巣立ちビナを連れた家族群だからです。下の写真のように、地面を歩きながら蛾やコガネムシなどの幼虫を捕まえてはヒナへ与えます。

毛虫やイモムシが大好き

ヒナは羽を振るわせて大きな声でおねだりします。1家族で5、6羽のヒナを連れているのが普通で、しかも近隣の家族同士で群れを作るため、20羽以上になっていることもあります。夕方になると、それがあちこちから集まり、市街地の街路樹などで数百~数千羽以上のねぐらを作ることもあります。これが今、各地で起きている「ムクドリ問題」です。ムクドリは通常、年に2回繁殖します。これから7月末にかけて2回目の繁殖で巣立ったヒナも合流すると、一気に数が増えていくのです。相模原市内でも、中央区富士見付近の国道16号線沿いで毎年7月頃に大きなねぐらができています。

日なたで翼を虫干しするムクドリ

夕焼けをバックに飛ぶムクドリの群は、生きもの好きからすると、季節の風物となる良い風景です。しかし、フン害や騒音、そもそもそうした鳥が群れることに恐怖を感じる人もいることを考えると、あまり牧歌的なことを言っていられないのかもしれません。昼間の家族群を見ていると、懸命な子育てや、時折見せるユーモラスなしぐさなど見ていて飽きないのですが・・。人間と都市の生きものの関係は、なかなか難しいですね。

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東京2020大会 公式アートポスター【オリンピック版】を展示中!

当館は、6/9(火)よりエントランスと常設展示の自然・歴史展示室のみですが、一部開館いたしました。この再開館に合わせ、エントランスでは、「東京2020大会 公式アートポスター展」【オリンピック版】の展示を行っています。

実は、当館でもオリンピック関係の企画展の開催を予定しておりましたが、東京オリンピック・パラリンピックが来年に延期となり、企画展も1年延期することとなりました。
そこで、今年は大会への機運醸成を図るため、エントランスでミニ展示を開催します。
その第1弾が、「東京2020大会 公式アートポスター展」【オリンピック版】の展示です。

この公式アートポスターは、国内外のアーティストが制作した20枚のポスターで、今回はこのうちオリンピック版12枚を展示します。これらのポスターは、大会組織委員会に希望した自治体等にのみ配布され、今回展示したB1判ポスターは本市では当館にしか保管されていない大変貴重なポスターです。

今回のポスターは、絵画、グラフィックデザイン、写真のほか日本が世界に誇る文化である漫画や書などのポスターもあります。中には有名漫画家もいますのでぜひご覧ください。

「YAWARA」や「20世紀少年」などの作品がある漫画家 浦沢直樹氏の作品

この展示は、8/16(日)まで開催予定ですので、ぜひご来館ください。
また、8月後半からはパラリンピック版8枚の展示を行う予定です。

なお、現在当館の開館時間は9時30分から16時までとなっております。

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おかいこさま飼育中(8日目 3齢に脱皮中!)

前回、ブログで2齢に脱皮、とお伝えしました。その後、週末と月曜日を挟んで、もう眠(みん)に入り、今朝、一部が脱皮して3齢になっていました。

3齢に脱皮したカイコ

頭が大きく、しかも3齢への脱皮の最大の特徴である、頭の色の変化がわかります。
下の写真は2齢の眠のカイコですが、すでに前方へ外れかけた古い頭の黒い殻が乗っています。

2齢の眠のカイコ

3齢から、カイコの頭はアイボリーになるのです。
次の写真は、脱皮したばかり。白っぽい皮膚で、時間とともに少しずつオフホワイトのような色合いになり、3齢までは黒い模様も少し出ます。右下の眠のカイコとの違いがよくわかりますね。

脱皮中のカイコ

少し引いた写真で見ると、まだ半分くらいは眠の状態です。動画ではないのでわかりにくいのですが、眠のカイコはもちろん動いていませんし、脱皮したばかりのカイコもほとんど動きません。

乾燥した葉の上でじっとしています

おそらく、今日中にはほとんどの蚕が脱皮を済ませるでしょう。
それまでは、給桑をしません。脱皮したカイコから順次クワをあげてしまうと、どんどん成長の幅が開いてしまいます。そうすると管理しにくくなるので、だいたい脱皮して出そろうまでは給桑を控えます。もう一つの理由は、眠の間に湿気が多いと、皮膚の状態が弱いためにカビなどによる感染症にかかりやすくなります。実際に飼育していると、1眠や2眠で大量死してしまう事例があるのですが、原因の多くはそこにあります。
3齢への脱皮を乗り切ると、その後は管理も楽になり、ひたすらたくさん新鮮なクワをあげ続ければよく育ちます。
※カイコの成長の様子は、昨日から1階エントランスで飼育展示しておりますので、ぜひご来館いただき、間近でご覧ください。

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博物館ホームページについて

現在、相模原市立博物館ホームページに接続できない状況が続いています。
原因を調査中ですが、復旧には時間がかかる見込みです。
ご迷惑をおかけしますが、状況の変化があり次第お知らせします。
なお、博物館からの情報発信は当面このブログとツイッターで行います。

相模原市立博物館
TEL:042-750-8030
E-mail:hakubutsukan@city.sagamihara.kanagawa.jp

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今日(6/9)から開館しました!

3月2日から臨時休館中だった相模原市立博物館は、休館からちょうど100日目の6月9日、再開します。
常設展示室(自然・歴史展示室)など一部のみの限定的な開館ですが、やっとお客様をお迎えできることになりました。
開館前の準備です。

入口の準備 検温を実施します

導線や、シールドのチェックをしています。

総合案内にはシールドを設置しています

入館にあたり、検温をさせていただきます。入口で、一旦立ち止まっていただき、

検温のようす(職員によるデモです)

非接触式の体温計でこのように測ります。

検温は非接触式の体温計で行います

なお、予定されていた企画展をはじめ、講演会や講座など主催のイベントは当面、中止となります。
来館されるみなさまのご理解とご協力をお願いいたします。

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「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No.12・相模原のワサビ作り)

相模原でワサビが作られていたことはご存知でしょうか。昭和3年(1928)に神奈川県から出された資料によると、当時の麻溝村(南区当麻・下溝地区)で50戸、上溝町に13戸のワサビ栽培が記され、家によっても異なりますがおおむね昭和40年(1965)代頃までワサビ作りが行われていました。

南区下溝の古山(こやま)地区では、幕末に養蚕の糸商人をしていた人が伊豆からワサビの苗を持ち込み、それが麻溝や上溝・田名などの周辺に広まったと言われ、古山地区は特にワサビを作る家が多かったようです。

ワサビ田は、きれいな水が沸いて地に砂利があり、日陰になる場所がよく、例えば写真のような段丘崖の下などで作られました(平成10年[1998]11月撮影)。

次の三枚の写真は中央区上溝で使われていたワサビ作りの道具で、ワサビを収穫した跡の砂利を洗ったり、平らにするためのジョレンと、苗を植えるための畝(うね)を作るワサビ用の鍬です。ワサビ用の鍬の刃は、畑の鍬に比べてかなり小ぶりです。この鍬で砂利を洗うこともありました(いずれも平成2年[1990]4月撮影)。

                     

また、古山では、こうしたワサビ用の鍬は昭和初期に県が主催した講習会で使われたのが最初で、それまでは下のようなカギ型のものを使ったとされています(平成5年[1993]7月撮影)。

              

 

そして、先が尖ったコテで砂利を突き刺すようにして穴を掘り、ここに苗を植えていきました(平成5年[1993]7月・古山撮影)。

 

ワサビ作りは、結構良い収入になるということで一時期は熱心に栽培する家もあり、各地から買い付けのワサビ屋が回ってきたとか、東京の市場から品物を送れとの電報が来たなど、さまざまな話がありました。

かつての相模原では、畑作と養蚕に加え、津久井地域では山での作業などが主な仕事でしたが、実際にはこのほかにもいろいろな生業がありました。これからも、地元に伝えられてきたさまざまな話とともに紹介していきたいと思います。

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おかいこさま飼育中(5日目 脱皮して2齢に)

6月3日に掃き立て(給桑開始)したカイコは、6月6日、最初の眠(みん)に入りました。眠とは、脱皮の前に静止状態で約1日を過ごすもので、内部で新しい皮膚ができているため、食べずにじっとしています。下の写真が眠の1齢幼虫です。上半身(?)を少し持ち上げて、頭を下げる独特の姿勢を取ります。

1眠に入った1齢幼虫

そして今朝、ほとんどのカイコが脱皮をしていました。脱皮殻は靴下を脱いだあとのような感じです。

脱皮殻 黒くて小さいので、よく探さないと見つかりません

こちらが脱皮した2齢幼虫です。頭が大きくなっているのがわかります。

2齢に脱皮したカイコ 頭が大きく見えます

全長約8ミリメートル。1週間も経たずに、約3倍の長さになりました。

2齢のカイコ まだまだ大きくなります

これからまた2~3日くらい食べ続けて、2回目の眠に入ります。

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クサグモ(だいぶ大きくなりました)

このブログで2月29日に紹介したクサグモ。約三ヶ月の間にぐんぐん成長して、体長1cmを超えそうな大きさになっています。

クサグモ。管状住居の入り口で獲物を待っています。

クサグモはシート状の網に管上の住居を組み合わせたものを作り、住居の入り口で獲物が落ちてくるのを待っています。植え込みなどにごく普通にいるクモなのですが、ちょっとでも危険を感じると住居内に逃げ込んでしまうので、その姿を見かける事は少ないかも知れません。
天気の良い朝は、なんとなく住居外に出ている事が多いようです。歩きまわって網の補修をしている事もあるので、観察の狙い目です。

幼体の頃は赤い頭部に黒っぽい腹部という単純な色をしていますが、体が大きくなると同時に、斑紋がはっきり出てきました。ぜひ前回の記事と比較してみてください。

2020年2月29日のブログ:クサグモ現る(2020)

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6月9日からの開館に向けて

3月2日から臨時休館が続いていた当館も、いよいよ6月9日から開館の予定です。
まだ、常設展示室の自然・歴史展示室と、エントランスでの展示のみの部分的な開館となります。閉館時間も通常より早くなりますので、詳しくはコチラをご覧下さい。
館内では、総合案内にシートを設置。

総合案内(受付)にシートを設置

来館者のソーシャル・ディスタンスが確保できるように、エントランスなど、調整をしています。

ついたてなど使って観覧の順路を作っています

また、この休館中に展示室内の安全点検も進めました。専門の業者さんが高所の展示物を点検、補修しています。

専門業者による展示物の点検・補修

状況によって開館の範囲を広げられるか、しばらくは手探りになりそうですが、しっかりと準備を進めていこうと思います。

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玄関から20歩の自然 その23 芒種のころ

二十四節気の芒種とは、イネ科の穀類などの種子を蒔く頃、という意味で、今年は6月5日からです。芒(のぎ)は、イネ科植物の穂に見られる針状の突起物です。下の写真は小麦です。たくさんの芒が左右に飛び出しています。

コムギ

ただ、現在のイネの種まきはもっと早い時期ですし(今はもう田植えのシーズンの終盤です)、小麦も収穫期で、麦秋も過ぎようとしています。
芒種の季節の意味あいはともかくとして、今は道端にも芒を持つイネ科植物が元気に開花中です。以前にも紹介しましたが、イネ科の花粉症のピークといえる季節でもあります。
そんな中で、色とりどりの花も咲いています。こちらは、ヒナキキョウソウ。

ヒナキキョウソウ

このシリーズの「その18」で紹介したキキョウソウにとても近い仲間で、花だけ見るとそっくりです。
違うのは葉で、キキョウソウは丸い葉が茎をとりまくようについていて、その付け根に花が咲きます。

キキョウソウ

それに対して、ヒナキキョウソウはてっぺんに一つの花が咲きます。今はどちらも花が見られるので、比べてみると違いがわかります。
そして、庭先から道へ飛び出すように咲くのがこちら。

チェリー・セージ

チェリー・セージというシソ科のハーブです。いわゆる帰化植物というほど路傍などに逃げ出してはいないのですが、時々思い出したように道端で元気よく育っていることがあります。

チェリー・セージの花

在来の植物にはあまり見られない、かわいらしい色合いの花ですね。
気温が高く、時々しとしと雨が降る・・植物が一番よく育つ季節です。

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