小山田緑地でバードウォッチング

しばらく雨模様が続いた週でしたが、一転してすっきり晴れ渡った2月24日、町田市の小山田緑地で探鳥会が行われ、お手伝いしてきました。

清々しいお天気でした!

歩き始めてすぐに現れた2羽のエナガに、みなさんくぎ付け。あまりのかわいらしさに、ため息がもれました。さらに、コゲラも全員がじっくり見ることができました。

キツツキらしい動きを見せてくれたコゲラ

今回、特に全員がしっかり観察できたのが、アオジです。ふだんはブッシュの中にいることが多く、全身をあまりじっくり見ることが無い鳥ですが、結構開けた場所に出てきてくれました。

アオジ

終了後に参加者のみなさんから伺った感想では、印象に残った鳥としてアオジを上げて下さった方が多かったです。また、メジロもそこかしこにいて、特にアンズの花の蜜を吸う姿が印象的でした。

アンズの花の蜜を吸うメジロ

鳥以外にもいろいろと春を感じさせるものがありました。池の中にあった、ニホンアカガエルの卵塊です。産卵から数日経っているものと思われます。

ニホンアカガエルの卵塊

こちらはクロモジの冬芽です。枝を少し切って、みなさんと香りを堪能しました。

香りを堪能したクロモジ

ヒヨドリがカラスウリをつつく姿を観察したので、中身を見てみました。

カラスウリの中身

中から出てきた打ち出の小づち?をご希望の方へ差し上げました。

カラスウリの中身(種子)

お財布に入れておくと、お金がたまると言われています。
鳥たちも、ひさしぶりの晴れを待ってましたと言わんばかりに活発に動いていて、いろいろな行動を見せてくれました。博物館周辺とはちょっと異なる、多摩丘陵の自然を楽しむことができました。
(生物担当学芸員)

【博物館再開のお知らせ】相模原市立博物館は館内エレベーターの改修工事のため、令和6年2月29日まで休館となっておりますが、3月1日からいよいよ再開し、通常開館となります。たくさんのイベントや展示など用意してみなさまをお待ちしております。イベント情報など詳しくはこちらをご覧ください。みなさまと博物館でお目にかかれるのを楽しみにしています!

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JAXA交流棟展示「キャンプ淵野辺の返還」

当館では、道路をはさんでお向かいにあるJAXAと連携して様々な宇宙教育普及事業に取り組んでいます。その一環として、連携企画展の開催やJAXA相模原キャンパス特別公開における一部事業を例年行っているほか、館内には多数のJAXA関連資料を常時展示しています。
また、宇宙科学研究所の歴史や最新鋭の研究について紹介しているJAXAの宇宙科学探査交流棟内に設けられている当館の紹介コーナーでは、本市の自然や歴史に関わる特徴的な博物館資料を展示しています。

「相模原市立博物館」のロゴが目印!

このコーナーは概ね1年おきに分野別で展示替えを行うのですが、今回は令和4年に当館で開催した市史ミニ展示「キャンプ淵野辺の返還」を出張展示します。2月22日、民俗分野から歴史分野にバトンタッチして展示替えを行いました。

おもに『相模原市史』編さん時に収集した資料をパネルにして展示しています。

JAXA相模原キャンパスや当館が現在建っている場所は、かつて「キャンプ淵野辺」という米軍の施設がありましたが、さらに遡って戦前は「陸軍機甲整備学校」という軍用車両を整備するための知識や技術を学ぶ旧帝国陸軍の教育施設でした。ミニ展示では、陸軍施設が終戦後米軍に接収され、現在に至るまでの歴史的背景や、その際に行われた返還活動について紹介しています。展示をご覧いただいている“まさにその場所”にゆかりの出来事を取り上げていますので、ぜひ足を運んでいただければと思います。

観覧できる日時はJAXA相模原キャンパス宇宙科学探査交流棟の開館カレンダーに準じます。詳細は同所ホームページをご確認ください。

(歴史担当学芸員)

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弥生に迫る!

弥生時代:縄文時代に後続する時代で、古墳時代の前の時代です。おおよそ稲作がはじまった時代ともされます。

現在、旧石器ハテナ館では「遺跡の宝庫さがみはら~実はあるんだ弥生時代~」を開催しています(4/8まで)。考古担当学芸員も展示を見てきました。

展示の様子

 

今回の展示は「神奈川県指定重要文化財と市指定文化財の共演」が目玉です。
神奈川県指定重要文化財は「津久井郡三ヶ木遺跡出土品」であり、県立津久井高校の校庭造成工事の際に発見されたものです。市指定文化財は「中野大沢出土の弥生土器」で、道路工事中にみつかったと記録が残っています。

三ヶ木遺跡出土の弥生土器 その1(この土器はロビーにて展示しています。)

左:三ヶ木遺跡出土の弥生土器 その2 右:中野大沢出土の弥生土器

市内でも弥生土器は出土していますが、この2件はかなりの優品で全体の形がよく残っています。

 

川坂遺跡の弥生土器

また、令和5年3月~4月に開催していた「新発見!さがみはらの遺跡」で展示した川坂遺跡の弥生土器をはじめとして、市内の弥生土器(破片)が集合しています。

縄文時代や、奈良・平安時代の遺跡が特に多い本市ですが、弥生時代はどうなのか?
よくご質問いただく項目ですので、このように答えます。
「弥生時代の人は確実にいました。しかしどのような生活をしていたのか、よくわかりません。」

なんとも歯切れが悪いですが、具体的には弥生時代の住居、水田跡などが見つかっていないのです。つまりどんな住まいに暮らしていたのか、根拠がなく説明できない状況です。当館常設展示に弥生時代がないことも同様です。

今回の旧石器ハテナ館の展示は、市内出土の弥生土器が観察できる絶好の機会ですので、ぜひご覧ください。
(考古担当学芸員)

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いっしょにバードウォッチング

先月、鳥のお話しをしに行ったご近所の大野村いつきの保育園のみなさんが、博物館へ感想を綴った冊子を作って届けてくれました。

みなさん一人ずつの感想が綴られていました

こちらが驚くほど、話の内容を細部まで理解してくれているのがよくわかり、感激しました。
せっかくなので、お隣の樹林地でいっしょにバードウォッチングをしました。地面から飛び立ったツグミを見たり、明るい声で鳴くシジュウカラを観察したり。

姿を見るのは難しいけど、鳴き声を聴くことができたシジュウカラ

また、キジバトは羽づくろい中で、全員がじっくり望遠鏡で観察できました。

望遠鏡でじっくり観察(写真:大野村いつきの保育園)

図鑑で確認(写真:大野村いつきの保育園)

そして、樹林地の中にあるヤドリギを見て、ヒレンジャクという鳥との関係を話していると、ヤドリギへ飛んできた鳥の影が・・ヒレンジャクがとうとう来たのか!とみんなで観察しましたが・・

ヤドリギとヒヨドリ

ヒヨドリでした。ヤドリギの黄金色の果実を食べています。
レンジャクの仲間以外がヤドリギを食べるのはあまり見られないので、かえって珍しいシーンを観察できました。
足元の日だまりではオオイヌノフグリが咲いていました。

オオイヌノフグリ

春が確実に近づいています。
(生物担当学芸員)

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2月星空情報②「ふたご座とひな祭り」

暖かい日が多くなり、梅の花や長くなった日脚に春の訪れを感じます。

この時期は、夜空にふたご座が高く昇っています。
今回はふたご座に注目してみましょう。

ふたご座の星座絵

ふたご座はギリシャ神話に登場する大神ゼウスの息子たち、兄カストルと弟ポルックスの姿だと伝えられています。
兄弟の名はそのまま星の名前になっていて、カストルは少し暗い2等星、ポルックスは明るい1等星です。二つの星は色の違いがあるのも特徴で、カストルは白っぽく、ポルックスは黄色っぽく輝きます。

ふたご座のカストルとポルックス

カストルとポルックスには、他にも様々な呼び名があります。
並んでいる様子から“目”に例えられることが多く、二つ合わせて「猫の目」や「犬の目」、「眼鏡星」などと呼ばれます。

その他にもカストルとポルックスには、これからの時期にぴったりの「ひな祭り星」と
いう呼び名がつけられています。

ひな祭り当日に、ふたご座の二つの星が高く昇ることが由来とされていますが、
カストルとポルックスが並ぶ様子は、まるでひな人形のお雛様とお内裏様のようですね。

春の気配を感じるようにもなってきましたが、夜空の主役はまだ冬の星座です。
この時期はふたご座にぜひ注目してみてください。
(当館プラネタリウム解説員)

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冬の鴨川地質調査

1月中旬に千葉県鴨川市の海岸沿いで地質調査を行いました。2月に行われる日本地質学会関東支部アウトリーチ巡検(申し込みは終了しました)の下見を兼ねています。

JR太海駅から鴨川漁港にかけて調査を行いました。

まずは枕状溶岩を観察しました。

この写真では枕状とはいっても枕の様には見えません。枕状溶岩は実際はチューブ状をしており、チューブをいくつか積み重ねた断面が枕を積み重ねたように見えるので、その名前が付きました。上の写真は縦に伸びるチューブを横から見たところです。

実際の枕状溶岩のイメージとしては下の写真のような感じです。断面が枕を積み重ねたように見えます。

近くには鴨川松島と呼ばれる景勝地があります。平日でしたが何人かの方たちが写真を撮りにきていました。

鴨川松島のバス停から八岡(ようか)海岸に降りて、浜辺の岩石を観察しました。

写真では良くわかりませんが、種々の岩石があり、石好きにはたまりません!

鴨川漁港に向かい、千葉県唯一の変成岩(結晶片岩)を観察しました。

鴨川漁港近くの弁天島で岩石の観察をしていたら、穿孔貝が岩石に開けた穴を見つけました。穿孔貝は岩石などに穴を開け(穿孔)てその中に生息する貝のことです。この岩石は結構硬く、こんな硬い岩石にも穴を開けることができるのかと驚きです。

天気も良く、風もない暖かな陽射しの下で調査を進めることができました。

(地質担当学芸員)

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【開催予告】近現代史講演会、今年は新一万円札で話題の人物を紹介!

相模原市立博物館では、近代から現代にかけて活躍した人物について紹介する「近現代史講演会」を例年開催しています。
新型コロナウイルス感染症拡大により途切れてしまった時期もありましたが、これまで山本五十六、福沢諭吉、犬養毅、大隈重信といった名だたる人物たちをテーマに取り上げ、来場者の皆さまから好評いただきました。
今年も近現代史講演会を開催することが決まりましたので、このブログをご覧の皆さまにその内容をいち早くお知らせします!

今回の近現代史講演会の演題は、「渋沢栄一の近代産業育成~『忠恕(ちゅうじょ)』と『公益』~」です。渋沢栄一というと、2020(令和2)~2021(令和3)年度のNHK大河ドラマ「青天を衝け」でその生涯が描かれ、今年7月に発行・流通開始となる新一万円札の肖像として話題の人物ですね。

渋沢栄一像(渋沢栄一記念館)撮影:清水勉氏、提供:河田重三氏

講師には渋沢栄一記念館資料解説員の河田重三(かわた じゅうぞう)氏をお招きし、“日本資本主義の父”と称される渋沢栄一の人物像と業績についてご紹介いただきます。また、相模原市での開催ならではということで、本市出身の政治家・尾崎行雄(咢堂)との関わりについてもお話を伺います。

開催日時は3月10日(日)午後1時30分~午後3時30分(午後1時開場)、定員100名、先着順の入場となります。詳細は当館ホームページをご確認ください。
皆さまのご来場、心よりお待ちしています!

(歴史担当学芸員)

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生態画の展示のイベントに登壇します

2月23日からオープンする神奈川県立生命の星・地球博物館の企画展「動物のくらしとかたち-薮内正幸が描いた生態画の世界-」(主催 神奈川県立生命の星・地球博物館、共催 薮内正幸美術館)では、生命力あふれる動物の生態画を数多く残した薮内正幸氏(1940-2000年)の原画作品が展示されます。

薮内作品は現在もたくさんの動物絵本で見ることができます(薮内正幸美術館ホームーページより)

じつは、当館の生物担当学芸員も薮内氏の作品に子どものころから親しみ、影響を強く受けてきました。そんな理由もあり、3月2日(土)に行われる講演会「生態画の世界へようこそ」に演者の一人として登壇します。
そして、ちょっと恥ずかしながら、水彩画を出展することになり、先日搬入してきました。

絵は素人ですが、展示させていただくことになりました(仮の列品です)

講演会では薮内作品の魅力や、生前に一度だけお目にかかった時のエピソードなどお話しする予定です。
薮内作品の特徴は、その動物の最も魅力的な一瞬をとらえた、動きのある姿勢とその角度です。

足場の向こうには、代表的な薮内作品である実物大の原画が・・

なぜそんな一瞬を平面に表現できるのか、その秘密は、御子息で薮内正幸美術館館長の藪内竜太さんがたっぷりと解説してくれるはずです。ご興味のある方はぜひご来場ください。

登壇する鳥類画家の神戸宇孝さん(左)、藪内竜太さん(中央)、当館秋山学芸員(右)

また、この展示では原画だけでなく、そこに登場する鳥や哺乳類の標本(本剥製)がたくさん展示されます。

薮内作品(拡大複製)の前に本はく製を配置したジオラマも!

学術資料としての標本、そして生きている姿を忠実に再現する生態画の魅力を存分に楽しむことができる企画展です。相模原からはちょっと遠い場所にある博物館で開催となりますが、おすすめですのでぜひご覧ください。
(生物担当学芸員)

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さがみ自然フォーラムで講演

2月10日(土)、厚木市の複合施設「アミューあつぎ」において開催された「第23回さがみ自然フォーラム」(厚木市/特定非営利法人神奈川県自然保護協会主催 :2月8日~12日)で、当館生物担当学芸員が講演を行いました。

フォーラムの会場入口

今年の同フォーラムのテーマが「気候変動と神奈川の生物多様性Ⅱ」であることから、講演タイトルを「変わりつつある神奈川の生きもの 分布、季節、生態」としました。

講演会の様子

温暖化などの気候変動と地域の生物の変化は、簡単には結びつきませんし、安易に相関を語るのは危険です。それは、野生の生きものはもともと様々な変化を続けながら地球上に生育・生息しているからで、織り込み済みの変化と、外的な要因で起きた変化を見極めるには、長い時間と広域的なデータが必要なのです。その上で、地域の自然を見つめる私たちの役割は何か、実際に神奈川の生きものに起きている変化について紹介しながら考える内容にしました。講演が90分と、その後の質疑応答がたっぷり30分強と、みなさんの関心の高さを感じました。
ところでこのフォーラムは、幼稚園から小中高校、大学、民間のNGOやNPOまで、様々な団体が参加し、活動や調査研究の成果を発表しています。

会場内の様子

地域の「変化」を共有し合うことのできるこうした場はとても大切で、まさしく、今回のテーマとも一致します。当館の「学びの収穫祭」ともスタンスが似ているので、大いに刺激を受けました。
(生物担当学芸員)

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クヌギの伐採

博物館前庭正面に、大きなクヌギの木があります。12月にこのブログに、その根もとにナラタケが発生したため、枯死しかけている可能性が高いことを紹介しました。末枝の状態なども見極めて、2本に分かれた太い幹の建物側の方が落枝の危険が高いと判断し、伐採することになりました。残雪の残る2月7日、いよいよ伐採が始まりました。

高所作業車での伐採作業

樹木の伐採というと、チェーンソーで根もとから切れ込みを入れ、バリバリドーンと倒すイメージがありますが・・それは山林での方法です。施設内では、高所の枝を少しずつ落としていき、最後に幹を上から少しずつ切っていきます。先に切り落とす部分をロープで止めておき、ドサッと落下しないよう、慎重に下ろします。
数時間の作業で、無事に切り落とされました。下の写真は伐採前の12月の写真です。

2023年12月撮影(伐採前)

こちらは、伐採完了後の写真です。

2024年2月7日撮影(伐採後)

そして、伐採後の恒例、年輪の計測です。判読できない部分もあったのでおおよそですが、切り口部分の年輪は少なくとも75本まで数えることができました。

あらわになった年輪

このクヌギは、この場所が雑木林として利用されていたころから炭の原料として伐採を繰り返され、このようにひこばえ(株の根もとから数本が束になって幹を伸ばす状態)のまま高木に成長したと考えられます。ということは、このクヌギは第二次世界大戦中の陸軍機甲整備学校か、その後に在日米軍キャンプ淵野辺として利用されて以降、伐採されずに成長したことがわかります。向かいのJAXA相模原キャンパス沿いのクヌギも同じような幹の太さであることから、歴史的な経過とだいたい一致します。
このクヌギが、土地利用の変遷を見守ってきた木だと考えると、改めて畏敬の念を抱きます。
(生物担当学芸員)

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