博物館周辺に咲く花

4月18日、外は春の嵐です。
博物館は5月13日まで臨時休館中(4月18日現在)ですが、こんな日は、館内で雨漏りが無いかなど点検の必要があり、職員もバタバタと館内を歩き回ることになります。
さて、この風雨では文字通り家にこもらなくてはならない週末となっていますので、気分転換に今週、博物館周辺で撮影した植物の写真をご紹介します。
まずは、ヤマブキです。

ヤマブキ

本来なら、この花が咲くと春まっさかり、と言えるのですが・・。
こちらはジュウニヒトエです。数は少なくなりましたが、この株はしっかり今年も咲いてくれました。

ジュウニヒトエ

こちらはタチツボスミレ。花期が長く、早春から初夏まで咲き続けるたくましいスミレです。

タチツボスミレ

季節は滞ることなく着々と進みます。焦らずに、ゆく春を眺めていきたいですね。

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もう一つのサクラ

博物館のお隣の樹林地では、ソメイヨシノより3週ほど遅れて花盛りを迎えたサクラがあります。
ウワミズザクラという名のこのサクラ、ちょっと見たところではサクラに見えないかも知れません。

ウワミズザクラ

「もう一つの」と表題に付けたのはそのためです。サクラの仲間はもう一つどころか、数え切れないくらいたくさんあります。しかし、園芸用に改良・作出されてきた歴史が古く、それらと野生種との交雑などもあり、識別は困難を極め、そもそも研究者によっても分類の見解が大きく異なります。
そんな中で、れっきとしたサクラの一種であるウワミズザクラは、県内に類似種はイヌザクラという同じ時期に咲く種類があるくらいで(この樹林地にも両方あります)、花期がワンテンポ遅いことも含めてなんだかスッキリした気持ちになれるサクラです。

ウワミズザクラ

花のアップです。

ウワミズザクラの花のアップ(ミツバチと大きさを比べてみて下さい)

アップにしても今ひとつサクラっぽくないですね。コップを洗うブラシのようなこのサクラ、新緑の木もれ日が似合うせいか、爽やかな気分になれる花です。

※相模原市立博物館は5月13日まで臨時休館中です。(4月16日現在)

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ホウチャクソウとオオミズアオ

博物館お隣の樹林地で咲く植物情報です。
樹林地のある一画に、ユリの仲間のホウチャクソウがたくさん生育しています。ちょうど今、花盛り。

ホウチャクソウ

と言っても、この仲間の花の多くは下向きにぶら下がるように咲き、しかも花被(かひ=花びら)がパッと開きません。ずいぶん控えめな咲き方ですね。
ホウチャクソウの写真を撮り終えて立ち上がると、視野の隅に何か美しいものの残像が残りました。

写真の左よりに・・

画面の左の方をクローズアップすると・・

草につかまる三角の物体が・・

大きな蛾の仲間の、オオミズアオでした。

オオミズアオ

なんという美しさ!
住宅地の公園などでも普通に見られる蛾ですが、夜行性ということもあって出会うのは夜が多く、外灯の下で見ると白く輝いて見えます。しかし、昼間樹林内で見たオオミズアオは淡い黄緑色に見えました。
目立ちすぎる色の蛾だと思っていましたが、昼間はこんなふうに新緑に溶け込むのですね。オオミズアオの意外な一面を知りました。

※博物館は5月13日まで臨時休館中です。

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民俗分野ブログ「写真で見る相模原~昭和・平成の生活と民俗~」(No.1)

市立博物館は、平成7年(1995)11月20日に開館し、今年(2020年)で開館25年目を迎えました。正式に建設準備が始まったのは昭和56年(1981年)4月なので、開館まで実に14年7か月もの時間がかかりましたが、長い準備期間にも、調査や資料の収集など、建設に向けての諸活動が行われていました。
特に民俗分野では、地域の祭礼や行事をはじめ、そのほかにも畑や養蚕の作業、うどんや酒まんじゅう作り、社寺及び石仏など、さまざまな内容の調査とともに写真の撮影もしており、現在では見ることのできない貴重な写真が多く含まれています。

保管されているアルバム。実は保管する書庫はもう一つある

現在、この膨大な写真類の一層の活用を図るためにデータ化の作業を行っており、これから「職員ブログ」に、季節的な話題も含めながら写真を紹介していきたいと思います。さまざまなものを取り上げていく予定ですのでお楽しみに。

第1回目となる今回は、今から37年以上前の昭和58年(1983)3月5日に中央区淵野辺本町で撮影されたものです。保管されている写真は昭和57年からありますが、準備が始まった最初の頃のものは少なく、昭和58年3月はかなり早い時期に当たります。
ここで問題です。柄杓(ひしゃく)で茶色い液体を汲んでいますが何の作業を行っているのでしょうか。ヒントは今でも食卓に欠かせない調味料です。

正解は醤油(しょうゆ)作りです。かつて農家では味噌や醤油を自家で作りましたが、撮影した昭和58年当時では、自家で醤油しぼりをする家はかなり少なくなっていました。
醤油の原料は、小麦と大豆、塩、水で、炒った小麦にこうじ菌を混ぜ、蒸した大豆を加えた後、水を入れて一年間ほど仕込んでから、専門の業者を頼んで自家に来てもらってしぼりました。

フネで醤油をしぼり出す。フネの横側からしぼった醤油が注ぎ出ている。

しぼった醤油を火入れで鍋に入れて煮て出来上がり

醤油しぼりを専門にする人は各地にいて、醤油をしぼると独特の匂いがするため、近所でもどの家で醤油しぼりをしているかがわかりました。
こうした写真は、かつての生活において調味料まで自家で作っていたことを物語る貴重な資料と言えましょう。

 

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目立つ花も目立たない花も

博物館周辺の植物開花情報です。
以前、つぼみをこのブログでご紹介したシロバナハンショウヅルは、綺麗に花を咲かせています。

シロバナハンショウヅル

こんなふうに、目立つ花もたくさん咲いていますが、人知れず咲いている目立たない花もたくさんあります。
こちらはクワの花です。この木は雌株なので、雌花だけが咲いています。

クワの花(雌花)

一昨年、近くにあった雄株の大木が台風や降雪で傷んだため伐採されてしまったので、風で花粉が飛んでくるかちょっと心配です。
こちらはドングリのなる木のコナラです。コナラは雌雄同株で、こちらは雄花です。

コナラの花(雄花)

よく見ると、雄しべが見えますが、花弁はありません。

コナラの雄花

雌花はこちらです。

コナラの雌花

拡大しても花なのかどうかもわからないほど小さく目立たない花です。

コナラの雌花

でも、これが秋にはドングリになるなんて、ちょっと驚きですね。

※当館は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、5月13日まで臨時休館となっております(4月15日現在)

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今年のキアシドクガ情報(その1)

相模原市内で大発生が続くキアシドクガは、博物館周辺では2014年に大発生が始まり、昨年にはもう終息といえるレベルまで発生数が減少していますが、それでもまだそれなりの数は見られました。今年はどうでしょうか。昨年は4月9日に若齢幼虫を確認したのですが、今年は今日、4月12日に確認しました。

キアシドクガ(若齢幼虫)2020年4月12日撮影

食べ痕は数日前には確認していたのですが、1本の木の中でも食べ痕のある場所に偏りがあり、手の届く高さにはあまり見られませんでした。キアシドクガは本来、若齢期はあまり低い位置にはいないのではないかと思われます。

ミズキの枝を下から見上げても、食痕はあまり見られません

こうした点からも今年も発生数は少ないものと考えられます。見える範囲で探しても、このように数匹がいる程度です。

2匹のキアシドクガの幼虫が葉裏にいます

ただ、木によって、ある程度食痕が目立つ場所もあり、そうしたところをよく見ると、葉を半分に折って縫い合わせたようなものが見られます。

キアシドクガの脱皮室(2018年撮影)

これは、キアシドクガの幼虫が脱皮の前に作る脱皮室です。おそらく、中では眠(みん:脱皮前の休眠状態)の幼虫がいるのでしょう。
これまでの発生状況と比較して考えると、今年はそれなりの発生は見られるものの、大発生は終息期の延長上(末期)に達していると予測されます。
大発生は博物館周辺や木もれびの森など市域中央部から始まり、徐々に周縁部へと拡大した経緯があります。そのため、市域北部や高尾周辺などは今年も相当の発生が見られるでしょうが、これもおそらくピークは過ぎていると考えられます。
今後の推移を見守り、また報告していきたいと思います。

※当館は新型コロナウイルス感染拡大防止のため、5月13日まで臨時休館となっております(4月12日現在)

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カラフトオニグモ

カラフトオニグモ


この写真は一週間ほど前、博物館近辺で撮ったものです。
毎年のようにヤエンオニグモが網を張る場所だったので、ああ今年も出て来たのか、と思っていたのですが、よく見ると網に帯状の装飾(「隠れ帯」と呼びます)がついています。
改めてクモ本体を確認すると、カラフトオニグモでした。
垂直の網で、隠れ帯をつけていて、細長い腹部にこういう波型の模様がついていたら、ほぼこの種だと思って間違いありません。
と、偉そうに書いていますが、実は写真を拡大して見るまで気が付きませんでした。てっきりヤエンオニグモが隠れ帯をつけているのだと思いこんでいたのです(実際に幼体の時にはつける事があります)。ちゃんと見ればわかる事なので「ここにはアレがいるはず」という先入観はいけませんね。反省です。

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フデリンドウとビロードツリアブ

博物館は5月13日まで臨時休館中です(4月9日現在)。
そんな中でも博物館周辺の自然は着実に春の営みを進めていますので、このブログでも引き続きお知らせいたします。なお、不要不急の外出や3密(密閉・密集・密接)を控えるなどの要請が出されています(相模原市ホームページなど)。身近な自然観察を行われる場合も、こうした点にご注意いただきますようお願いいたします。

今、博物館周辺の樹林ではフデリンドウが花盛りを迎えつつあります。それに合わせるかのようにやってきている昆虫がこちら。

フデリンドウの花を訪れたビロードツリアブ(花の左上)

ビロードツリアブです。モフモフの毛に覆われた丸い体がとてもかわいらしいですね。
長い口吻(こうふん:ストロー状の口)で蜜を吸うのですが、フデリンドウは花が細長いラッパ状です。こんなふうに、モゾモゾ潜り込まないと蜜にありつけません。

蜜にありつくには花の中に体を突っ込まなくてはいけません

しかもラッパはビロードツリアブの体がやっと入れるくらいの直径です。その結果、ビロードツリアブのモフモフの毛に花粉が付き、別の花を訪れた時に花粉が媒介されるという仕組みです。

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博物館は5月13日まで臨時休館延長です

相模原市は新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、市の施設の休止期間を5月13日まで延長することを決定しました。
博物館もこれに伴い5月13日まで臨時休館を延長いたします。

不要不急の外出はお控え下さい!!(写真はタカの仲間のツミ)

相模原市の公式ホームページでは、市の施設や主催イベント等休止情報の他、市民のみなさまへのお願いが掲載されております。
そちらもご覧頂き、感染拡大防止へのご協力をお願いいたします。

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走る春

春がますます加速しています。
博物館のお隣の樹林地では、いろいろな花が咲いています。まずはキイチゴの仲間のニガイチゴ。

ニガイチゴ(花は上向きに咲きます)

花を枝から上向きに咲かせます。名前に反して果実は特に苦みがあるわけではありません。
こちらが日本の山野でキイチゴと言えばコレ、と言える種類です。ただし、種名はモミジイチゴ。

モミジイチゴ(花は下向きに咲きます)

ニガイチゴは赤い果実ですが、モミジイチゴは黄色い果実が実ります。ただしキイチゴ(ラズベリー)とは、黄色いイチゴという意味ではなく、木イチゴ、つまり木になるイチゴという意味で、果物として売られている草本植物のオランダイチゴ(ストロベリー)と区別した呼び方なのです。
こちらはアケビ。秋に実る、紫色の大きな甘い果実が有名ですが、花も紫色でかわいらしい形をしています。

アケビ

こちらは花ではありませんが、ヌルデの若芽です。冬の初めの紅葉が美しい樹木ですが、若芽も同じような色に染まっています。

ヌルデの若芽

黄金色に光る常緑樹の若芽は、シロダモです。

シロダモの若芽

黄金色の正体は、若芽の時にだけある長く柔らかい毛です。この毛は葉が展開するうちに抜け落ちて、成葉になると照葉樹らしいツヤのある表面になります。

長い毛に覆われたシロダモの若芽

こちらはつぼみ。数年前にこの樹林では初めて生育に気付いた、シロバナハンショウヅル。

シロバナハンショウヅルのつぼみ

もうすぐ、清楚な白い花が楽しめそうです。
春の加速はまだしばらく続きます。

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