【臨時休館の裏側】歴史資料の写真撮影

以前、このブログで地質分野と民俗分野の資料撮影について紹介しました。歴史分野も同じく、臨時休館期間中にプロの写真家による撮影を進めています。

歴史資料の収集対象は形状や材質などが多岐にわたりますが、その中でも「紙資料」は最も多くを占めるといっても過言ではありません。博物館の歴史資料をイメージするとき、真っ先に古文書(こもんじょ)が思い浮かぶ方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
ただ一口に‟古文書”といっても種類は様々で、代表的なのは日記や帳簿のように冊子状になっているものや、手紙や契約書のような一紙ものが存在します。これらは形態によって、「冊(さつ)」(=冊子状のもの)や「状(じょう)」(=一紙もの)などと呼び分けられています。

カメラと同じ視点。ドキッとする高さです。

状ものの中でも比較的大きい絵図や書画が表装されて掛軸になると、さらに大きな資料になります。ほとんどの歴史資料の撮影は地質分野のように写真室という専用の部屋で行いますが、この日の撮影対象は掛軸ということで民俗分野の神楽資料撮影同様、広々と地階のホワイエを使いました。

下から見ると、このようにカメラをセッティングしています。

撮影した資料は本市出身の偉人・尾崎行雄(雅号:咢堂)筆の掛軸で、最近新たに寄贈を受けたものです。尾崎行雄の生誕地としてゆかりの資料を積極的に収集していることが多くの方に知られつつあるのか、嬉しいことに近年はこのような寄贈のご相談をいただく機会も増えました。
幼少期から書を嗜(たしな)んでいた尾崎は生涯でかなりの点数の作品を残しており、昨年開催したミニ企画展でも当館の所蔵資料の一部を展示しました。

日光は紙資料の大敵。直射日光を避けて撮影します。

この撮影作業が完了した暁には、プロの写真家による美麗な画像とともに歴史資料を紹介できればと思います。

(歴史担当学芸員)

【休館のお知らせ】相模原市立博物館は館内エレベーターの改修工事のため、令和6年2月29日まで休館となります。休館期間中も職員は出勤しております。電話や電子メールなどは通常どおりつながります。また、休館期間の学芸員の活動の様子などはこのブログや、SNSなどで発信してまいります。ご迷惑をおかけしますが、ご理解とご協力をいただきますようお願いします。

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下溝八幡宮の不動尊

市内の神社の中には、境内に仏像が祀られていることがあります。

鳥居の横にあるのが不動堂

南区下溝の下溝八幡宮の境内にある不動明王は、八幡社の別当寺であった大光寺の本尊であったものが、明治初期に神仏分離が行われた結果、大光院が廃寺となって、下溝八幡宮の境内に祀られるようになったものです。

大光院は現在、社務所がある場所に建っていたといわれています。

式典の様子

不動尊の祭りは1月8日と10月8日に近い日曜日に実施されており、いつもは扉で閉ざされている不動尊が、この時だけ御開帳されます。

今年は1月7日に行われ、近くの清水寺の住職がお経をあげる中、線香焼香が行われました。式典は約30分ほどなので、ご開帳は年2回、各日約30分だけということになります。

お札

今回、お堂の中を拝見したところ、隅に神職の名前が書かれたお札の束を見つけました。

現在、下溝八幡宮では、上溝の亀ヶ池八幡宮が神事を担っていますが、以前は神職が住んでいました。お札に書かれていたのは、その頃の神職の名前でしたので、かつては不動尊に祝詞を上げていたのかもしれません。

不動尊

不動尊は胎内銘によれば享保9年(1724年)に鎌倉仏師の後藤左近藤原義貴により制作されたことが分かっており、相模原市の市指定有形文化財となっています。

今年はちょうど仏像が作られてから300年の節目にあたります。

この300年の間に少なくとも3回、明治43年(1910年)、昭和20年(1945年)、平成24年(2012年)の火災から難を逃れた歴史があります。このような来歴から火難除けの信仰があるように思われますが、地元の方にうかがうと、特にそのようなことはなく、ごく一部の人だけがそのような信仰をしているとのことでした。

 

磯部八幡宮の不動尊も、明治初期の神仏分離の結果、神社の境内に祀られるようになったものです。しかしこちらは現在、祭りの日には神職が祝詞を上げ、玉串を奉奠(ほうてん)するなど神式の作法に則った式典が行われます。

このように、地域の神社に仏像が残されていることから、神仏習合や神仏分離といった日本全体の大きな歴史の流れを知ることができますが、その後の地域での位置づけについては各地域で異なります。今後とも、各地のさまざまな事例を集めていきたいと思います。

南区の磯部八幡宮の不動尊についての記事はこちら
(民俗担当学芸員)

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「昔の道具」を使った出前授業

先日、市内の小学校へ民俗担当学芸員と学習指導員が出前授業に行きました。

校舎前は春の気配

体育館で複数クラス集まっての2時間続きの授業です。

昔の道具がずらり!

体育館に並んだ「昔の道具」

班ごとに道具を渡し、何に使われたものか考えてもらいます。

こんなところが開くよ!?

触ってみると…何かを発見!

黒いものがある。これは石炭では?いや、炭かも!?活発な意見交換で盛り上がります。

この道具はなんでしょう?

特にこちらの道具は、フライパン?刀を作る道具?何かを潰すための道具?などなど、みなさんの想像や推理を働かせたたくさんの意見が出ました。

答えを書くのも野暮ですが、これらの道具は、市のキッズページに掲載しておりますので、興味のある方はぜひご覧ください。該当ページはこちら

そして、これらが今では使われなくなった理由を考えてもらうと、「炭を用意するのが大変だから?」という声が。

と、ここで昔の生活の様子のイメージ図を見てもらい、この中で炭が何ヶ所登場しているか考えてもらいました。

写真ではわかりにくいかと思いますが、どのくらいあると思いますか?

プロジェクターで映し出します

囲炉裏、かまど…ほかにもある???

まだある…???

火鉢や七輪以外にも、あれもこれもと正解を示され、解説を聞いてみなさんびっくり。昔の生活に炭はなくてはならない、生活に密着したものだったんだね、という発見ができました。

長丁場でしたが、熱心に取り組んでくれた小学生のみなさんに感激しました。

博物館では学校へ「貸出しキット」として資料を貸し出しているほか、このような出前授業も行っています。

豊かな学びのため、これからもさまざまな活動を展開していきたいと思っています。

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(館長)

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いささか旧聞となりますが、「カプセル帰還3周年&プラネタリウム100周年記念イベント」開催しました。宇宙イベントはこれからも続々と

このブログをお読みの方はご存じのとおり、博物館は現在、設備改修のため休館中です。
このイベントは、休館中ではありますが、工期に入る前のタイミングで実施したものです。

打ち上げ前から応援していた小惑星探査機「はやぶさ2」。そして打ち上げ後、小惑星リュウグウへ到着するまでは「はや2トークライブ」を長きにわたって開催、カプセル帰還に際してはパブリックビューイング開催・・・からの帰還カプセル世界初公開・・・と、はや2プロジェクトのみなさんには本当にお世話になってきました。
今回のイベントはその集大成ともいえる内容になりました。

会場は事前申し込みの皆さんで満席


YouTubeで見られるのは14:00からの内容ですが(動画はこちら  ※プラネタリウム100周年のYouTubeチャンネルに遷移します)、実は相模原会場では、「IES兄」こと、細田先生による前説も(久しぶりに!)行われ、講演会における質問の極意を伝授されました。(「質問の極意」については、この回のものは録画していないのですが、数年前の様子はこちらで公開されています。開始3分半あたりからご覧ください。※星空公団さんのYouTubeチャンネルで公開されています)

講演会の内容はアーカイブのとおりですので割愛しますが、相模原会場のみの質問大会は、司会者の名采配により、質問したいと手を挙げた人は全員に質問をしていただけることとなりました。やや時間はオーバーしましたが、みなさん大満足だったのではないでしょうか。

ノートパソコンの画面にもご注意を!


最後は先生方の記念写真を撮影!
「最近相模原市では、写真を撮るときの掛け声は「えすでぃーちーず」なんですよ」とお声掛けしたところ、「え、それは言いにくいね!?」というようなやり取りの途中で撮影できた、みなさんの笑顔です。(笑顔のきっかけをくれたえすでぃーちーずくんはこちら
オンライン参加だった三枡先生が画面の奥でシャープマークを作っているところにもご注目ください!(ハッシュタグじゃなくて、これははやぶさ2♯の♯です!)

当日はかなり遠方から来てくださった方もおいでだったようです。現地参加のみなさん、オンライン参加のみなさん、そして講師の先生方、スタッフのみなさん、ありがとうございました。

寄せ書きしていただきました!


さて、「宇宙を身近に感じられるまち さがみはら」では、これからも宇宙をモチーフにした各種事業を展開してまいります。

博物館の再開館に合わせ、いくつかの事業を計画していますが、そのうちの一つが情報解禁されました。

すでに恒例になった中央区との連携事業です

中央区こどもカレッジです。対象は市内在住・在学の小学校3~6年生とその保護者です。詳しくはこちらをご覧ください。

盛りだくさんの内容になっています。ぜひご参加ください。

そしてこれから情報解禁する他の事業もどうぞお楽しみに!

(館長)

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市の至宝を展示中です!【田名坂上遺跡出土の三彩小壺】

現在、旧石器ハテナ館では、考古市宝展を毎月開催しています。これは市の遺跡から見つかった「これぞ!」という考古資料を月替わりで展示しているものです。

今回は田名坂上遺跡でみつかった市指定文化財「三彩小壺」が展示されています。
いつもは当館の常設展示にありますが、2月28日まで旧石器ハテナ館で展示されています。

奈良三彩とも呼ばれ、唐(現在の中国)で作られた唐三彩陶器をベースに日本で模倣したもので、釉(うわぐすり)がかけられています。この釉は緑釉(りょくゆう)、白釉(はくゆう)、褐釉(かつゆう)を用いるので、「三彩」と表現されます。

鏡で底の様子がわかります。

 

高さが4.1㎝と小ぶりで「小壺」と呼ばれるのも納得です。この小壺の出土例は畿内に集中しており、古代のお寺や役所から出土する事例が多いことから、当時の政府の祭祀や、仏教行事に使われたものと推測されています。東国では出土例が少なく大変貴重なものです。

展示の様子

展示は2月28日まで開催していますので、この機会にぜひご覧ください。
(考古担当学芸員)

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雪の後の快晴

2月5日から6日にかけて降った雪が残る2月7日朝、快晴の博物館、天体観測テラスです。

天体観測テラスから西側を見たところ

西には雪をまとった丹沢の山塊がくっきりと見えます。

丹沢の山並 右端が丹沢最高峰の蛭ヶ岳(標高1372m)

丹沢の雪景色の写真は、朝しかこのようにくっきりと撮ることができません。それは、朝のうちは太陽が東にあって順光(写真の用語で、光を正面から受ける向き)ですが、日が昇るにつれて太陽が南側へ回り、次第に逆光に近くなっていくからです。
ほかの仕事をちょっと後回しにして、朝のうちに写真を撮影しておきました。
(生物担当学芸員)

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無口な考古資料

考古分野の重要な仕事に、資料の図化があります。

例えば、近年刊行された『川坂遺跡第3次調査』(相模原市教育委員会・相模原市立博物館2022)では、以下の縄文土器、石器の図面があります。
この土器、石器の特徴から何時代なのか、どのような土器や石器が主体なのか、遺跡の内容を知る根拠となります。

川坂遺跡の縄文時代住居出土の土器(一部)

川坂遺跡の縄文時代住居出土の石器(打製石斧、磨製石斧など一部)

 

ここでは石器の図化について説明します。
下の石器は、考古担当学芸員が黒曜石を用いて石の欠片(剥片:はくへん)を打ち剥がしたもので、方眼紙に作図しました。これはすべて手作業です。

黒曜石製の剥片(はくへん)(方眼紙小メモリ:1mm)

石の割れを表現したもので、以下の図のように「リング」、「フィッシャー」を読み取り、剥離方向を特定します。特定したのち、剥離の順序に沿って剥離面を描写します。

田中英司2004『石器実測法 情報を描く技術』雄山閣より引用、一部加筆

現在、当館研究報告に掲載予定の石器が9点あり、最近まで図面を作成していました。
下の石器はそのうちの一つで、狩りの道具である石槍です。安山岩という種類の石で作られており、真ん中から下は折れて無くなっています。

安山岩製の石槍(方眼紙小メモリ:1mm)

 

実測図が完成したら、スキャンし、描画ソフトでトレースします。

トレース後の実測図 両側から打ち剝がされたことが分かります。

トレースが完了したら出来上がりです。考古担当学芸員が学生のころは、製図ペンや丸ペンといった製図用具でトレーシングペーパーにトレースしていました。

石器がどのような剥離方法で作られているのか、丹念に読み取らなければ、実測図として成立しません。大学生のころ、指導教官に「手にした石器のきれいな実測図が書けなければ、どんな石器を見ても全く分からない」と言われました。
はじめて実測に取り組んでいた私は何気なく納得していましたが、この言葉の重みは今でも痛感しています。

土器よりも見栄えせず、何を以って石の道具なのか、いろんな方に聞かれます。こちらが読み取る意思を持てば持つほど、石器はおしゃべりになってくれます。

展示室では見やすい資料ではありませんが、機会があればぜひ石器の割れ口を観察してみてください。

(考古担当学芸員)

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「市民学芸員かわら版」バックナンバー展を麻布大学いのちの博物館で開催中!

2月1日から、麻布大学いのちの博物館で出張ミニ展示「市民学芸員かわら版」を開催しています。

麻布大学いのちの博物館

「市民学芸員かわら版」とは、当館の博物館ボランティア「市民学芸員」の情報発信チームが作成する壁新聞です。企画立案から情報収集、記事のレイアウトまで全て市民学芸員が行い、自然・歴史・文化に関する様々なトピックスについて、市民目線を取り入れながらわかりやすく紹介しています。
通常は数ヶ月ごとに最新号をお届けするのですが、現在、当館は臨時休館期間中ということで、「麻布大学いのちの博物館と相模原市立博物館との連携事業に係る覚書」を取り交わしている麻布大学いのちの博物館でバックナンバー展を出張展示することになりました!

展示の様子

市民学芸員が作成する「市民学芸員かわら版」の展示設営はもちろん自分たちの手で…ということで、市民学芸員情報発信チームを中心とする有志のメンバーが麻布大学いのちの博物館で出張設営しました。

それぞれ分担して…

パネルのピン打ちもお手のもの!

当館では普段、最新号のみを掲示しているため、広いスペースにバックナンバーが並ぶ様子は圧巻です。市民学芸員が選りすぐった全6点を展示していますので、これまでご覧になれなかった方や、もう一度ご覧になりたい方も、ぜひこの機会に足を運んでいただければと思います。展示期間は令和6年2月1日(木)から4月26日(金)までです。

ズラリと並ぶ「市民学芸員かわら版」

もう一度ご覧いただけるチャンスです!

なお、麻布大学いのちの博物館への入館は、電話による事前予約が必要です。開館情報や入館方法の詳細は、麻布大学いのちの博物館ホームページをご確認ください。

(歴史担当学芸員)

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2月星空情報「うるう年」

みなさんは今月のカレンダーを見て、あれ?1日多い、と思いませんでしたか?

カレンダー(2月29日)

2024年は「うるう年」なのです。それでは、どうしてうるう年ってあるのでしょうか?

それは1年の長さ(地球が太陽の周りを1回公転する時間)が、1日の長さ(地球が太陽を基準にして1回自転する時間)で割り切れないからです。
まずは、実際に地球が太陽の周りを1回公転する時間である「1太陽年」が、約365.2422日であることを覚えておきましょう。

地球の公転(イメージ図)

現在、世界の多くの国で使用されているカレンダーは「グレゴリオ暦」と呼ばれる暦です。グレゴリオ暦は、地球が太陽の周りを回る周期を基にしてつくられた「太陽暦」のひとつです。

1582年にローマ教皇グレゴリウス13世が制定しました。各国が導入した時期はまちまちで、現在も使用していない国があります。日本では明治6年(1873年)に採用しました。

グレゴリウス13世

ヨーロッパ諸国がグレゴリオ暦を導入する前に使用していたのが「ユリウス暦」です。ユリウス暦も太陽暦のひとつで、古代ローマのユリウス・カエサルによって制定され、紀元前45年から実施されました。

ユリウス・カエサル

ユリウス暦でもうるう年を置いており、4年に1度、1年を366日にします。
ユリウス暦の1年は365.25日ということですので、1太陽年と比べると、1年で11分14秒ずれることになります。これは128年で1日分のずれに相当します。

一方、グレゴリオ暦は4年に1度、1年を366日にすることはユリウス暦と同じです。
グレゴリオ暦ではさらに、400年間に3回だけうるう年を省きます。すると、グレゴリオ暦の1年は365.2425日となって、1太陽年と比べると、1年で26秒ずれることになります。これは約3000年で1日分のずれに相当し、ユリウス暦よりかなり精度が高くなっていることが分かります。

ちなみに、2月だけが他の月よりも日数が少ないのは、古代ローマで使われていた暦が、現在の3月にあたる月が1年の始まりで、2月が最後の月だったからです。

例年より増えた1日を、みなさんにとって大切な1日にしてください。
(当館プラネタリウム解説員)

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鵜野森柏木北遺跡の現地公開をおこないました。

1月27日、午後から鵜野森柏木北遺跡の現地公開をおこないました。

博物館からは平成15年度に近くで発掘調査された時の土器、鉄製品を展示しました。

平成15年度の出土遺物

 

現地公開には145名の参加があり、出土遺物、調査区で見つかった古代の住居跡などの説明がありました。多くの方に足を運んでいただき、ありがとうございました。

こちらはA地区です。文化財保護課の職員が説明しています。

調査区の説明

 

こちらはB地区です。

 

本村市長にもご参加いただき、古代の土器の特徴などを考古担当学芸員から解説しました。

出土した土器の特徴を解説しています。

遺跡の現地公開は、発掘調査の様子やどのような住居跡であったのか、現地で体感してもらい、調査状況を広くお知らせすることが目的です。発掘調査の状況や調査中の住居跡を実際に目にすることができる機会はかなり限定されます。

これからも機会を捉えて、遺跡の重要性、さらには保護していくことの大切さを伝えていきます。

(考古担当学芸員)

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