ちょっと怪しいクモ

今朝ちょこまかと忙しそうに網を張っていたのは、シロカネグモの仲間。

白金グモの仲間(幼体)


体長3mmほどの、まだ幼体です。シロカネ(白銀)という名前の通り、腹部が銀色をしています。
これのどこが怪しいのかというと、もしかしたらまだ市内で記録されていない「チュウガタシロカネグモ」かもしれないという事。
まだ幼体なので、はっきりと種を区別するのは難しいのですが、よく模様を見ると…

腹部の肩の部分に黒い斑紋があります。これはチュウガタシロカネグモの特徴です。他の斑紋もなんとなくそれっぽい感じです。特に珍しい種ではありませんが、いわゆる「南方系」といわれる種で、比較的暖かい地方や海に近い地域などで見られます。もしかしたら、相模原にも分布を広げつつあるのかもしれません。
ただ、成体になったら見慣れたクモでした、ということも十分にあり得るので早とちりは禁物です。しばらく注意して見守りたいと思います。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , , | ちょっと怪しいクモ はコメントを受け付けていません

フデリンドウがそろそろ見ごろです

博物館周辺に自生する春の花、フデリンドウの花がだいぶ目立ってきて、見ごろを迎えつつあります。

フデリンドウ

高さ5センチメートル前後の小さな植物なので目が慣れないと見つかりませんが、見つけやすい場所をお知らせします。
それは、博物館正面の、屋上に天体観測室の半球型のドームが見えるあたりの歩道沿いにあります。
当館の守衛さんが、踏まれないようにと、小枝を挿してくれています。

それぞれの株のまわりに、小枝を3本ほど挿してあります

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、博物館は4月13日まで臨時休館となっています(4月3日現在)。外出もままならない中ですが、公共交通機関など使わずに来られるお近くの方は、お散歩がてら探してみて下さい。
なお、フデリンドウは花が咲いて結実すると根ごと枯れてしまう越年草です。採ったりせずにその場所でお楽しみ下さい。また、晴れていないと花が開きませんのでご注意ください。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: | フデリンドウがそろそろ見ごろです はコメントを受け付けていません

春爛漫

前日の冷たい雨から一転、4月2日は爽やかな春の日差しが地面の隅々にまで行き渡るような一日でした。
緑区の早春植物の開花状況と、台風などによる生育地の被害状況を確認する調査を行いました。まずは植物ではありませんが、石砂山(いしざれやま)のギフチョウです。

サクラの花で吸蜜するギフチョウ

石砂山はギフチョウの生息地として県の天然記念物に指定され、県内で唯一残る発生地です。ちょうど満開になったサクラの花などへ吸蜜に訪れていました。
足もとでは、アマナが咲いていました。陽当たりの良い場所ではピークを過ぎていますが、ちょっと日陰の法面だったので花がまだ残っていたようです。

アマナ

場所は変わって、こちらはピークを過ぎたカタクリです。どうにかきれいに咲いている花を一つ見つけましたが、多くの株は花がすでにしおれていました。

カタクリ

写真を撮影した場所は植栽などされていない自生地で、訪れる人もなくひっそりとしていました。
カタクリを撮影してふと頭を上げると、斜面の上にシュンランが咲いていました。仲良く2つの花が並んでいました。

シュンラン

こちらは、オキナグサ。この場所は私たちが“楽園”と呼んでいる場所で、県内でもわずかに残る自生地です。昨年の台風による崩落痕が近くにありましたが、楽園は無事でした。

オキナグサ

同じ場所に咲く、オカオグルマです。

オカオグルマ

さらに別の場所へ移動して、こちらはイチリンソウです。

イチリンソウ

ここはスギ林ですが、やはり昨年の台風で倒木が多くあり、自生地が狭まってしまいましたが、木もれ日を受けてしっかりと咲いていました。
同じ場所で、もうヤマブキソウが咲いていました。

ヤマブキソウ(樹木のヤマブキとは異なる植物です)

例年より早めに咲いた花、例年どおりの花が入り交じり、いろいろな植物の開花を確認できました。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , | 春爛漫 はコメントを受け付けていません

雨の年度初め

4月1日、雨。博物館は臨時休館中の中、新年度を迎えました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で今年度の事業予定が定まりませんが、いつでも開館できるよう、職員も体制を整えています。
さて、野外では季節がどんどんと進んでいます。今日は雨なので、数日前に撮影した春の写真をご紹介します。
まずはカタクリ。緑区の各所で開花のピークを迎えています。

カタクリ(3月30日撮影)

同じ場所で負けじと咲くのは、ナガバノスミレサイシン。

ナガバノスミレサイシン(3月30日撮影)

さらに、ヤマエンゴサクも。

ヤマエンゴサク(3月25日撮影)

植物だけではありません。相模川で越冬していたカンムリカイツブリも夏羽に換羽し、間もなく北帰行が始まります。

カンムリカイツブリ(3月25日撮影)

雨が上がったら、もっともっとたくさんの春をお伝えできることと思います。

※博物館は4月13日(月)まで臨時休館となります(4月1日現在)。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , | 雨の年度初め はコメントを受け付けていません

春の雪

3月29日、博物館は休館中ですが、職員は出勤しています。
前日までの春爛漫の陽気から一転、春の雪が降っています。気温も低めなので、雪の結晶の撮影にチャレンジしてみました。

雪の結晶は六角形が基本です

マクロ(近接)撮影に強いコンパクトカメラを片手に持ち、もう片方の手には背景を黒くするための板を持っての撮影です。
六角形の結晶の形がハッキリ残ったまま地上へ到達するものは少なく、まして春の雪で結晶同士がたくさんくっつき合ったぼた雪なので、撮影はなかなか難しかったです。それでもいくつか、美しい結晶の形を撮影できました。

見とれてしまうような美しさです

上から降ってきた雪に当たってつぶれなければ、しばらくこの形を保っています。「雪の結晶は天からの手紙である」と名言を残したのは、北海道大学低温科学研究所の故中谷宇吉郎博士です。美しい六角形を見ていると、自然の不思議を感じます。

数千メートルの上空からの手紙・・

道路脇で咲き始めていたナガミヒナゲシの花は、春の雪に迷惑そうな様子で下を向いていました。

雪にうなだれたナガミヒナゲシ

博物館は4月13日(月)まで休館が続きます(3月29日現在)。今後の休館、再開の情報についてはホームページで随時お知らせ致します。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , | 春の雪 はコメントを受け付けていません

フデリンドウ開花!

博物館お隣の樹林地で、フデリンドウが開花していました!

今年最初の開花を確認したフデリンドウ

例年より少し早めですが、まだほんの数株だけなので、見つけるのは至難の業です。
見ごろは来週後半くらいになりそうなので、その頃にまた開花状況をお知らせします。

※相模原市立博物館は4月13日(月)まで臨時休館期間が延長しました(3月26日現在)。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: | フデリンドウ開花! はコメントを受け付けていません

ちょっとお引っ越ししたスライム

ここは博物館お隣の樹林地で、駐車場に隣接した一画。昨年の台風で幹が折れてしまったミズキに近づいてみると・・

幹が折れたミズキに近づくと・・

幹の様子がヘンです。あり得ない色(蛍光色のオレンジ色!)が幹にこびりついています。

幹に蛍光色のオレンジ色が!

と、不穏な書き方をしてしまいましたが、これは博物館の駐車場では毎春の季節の風物、スライム・フラックス(スライム状のかたまり、フラックスは溶剤の意味)です。正体は、菌類のコロニーなのですが、ミズキは水分の多い樹木で、枝が折れたりするとそこからポタポタと水滴を落とします。台風で痛んだ枝や幹から、春になって樹液がしみ出て、そこに含まれる糖分などを栄養に樹液酵母と呼ばれる菌類などがコロニーを作る現象です。

近づくとますます異様です

見た目の色や形状が異様なのでちょっとビックリしますが、毒があるわけでもなく、樹勢の衰えた木や、強剪定されたり、台風などで枝折れが生じたりするとできやすくなるようです。じつは、一昨年までは駐車場の真ん中あたりのミズキにできていたのですが、一昨年、台風で倒れかけて伐採されました。今年は少し離れた場所の木に再び鮮やかなオレンジ色のスライムが形成されたということになります。

樹液が滴るスライム・フラックス

樹液がスライムを伝ってぽたりぽたりと落ちていました。スライムはまだまだ増殖していきそうです。

※博物館は3月31日(火)まで臨時休館の予定です(3月24日現在)。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , , | ちょっとお引っ越ししたスライム はコメントを受け付けていません

意外に身近な多様性(クモ)

クモというと、網を張って獲物を待ち構えるイメージが強いと思いますが、網を張らずに獲物を捕らえる種類もいます。
例えば、今日見かけたのはウヅキコモリグモ。
通勤途中、目の前を走っていました。

ウヅキコモリグモ。車道を走って横切っていました。


コモリグモの仲間は英語で’wolf spider’と言います。いかにも狩りをしそうなイメージですね。この仲間は、卵のうを腹部につけて持ち歩いたり、子グモを背中に乗せて歩くことで知られています(それで「子守グモ」という名前がつきました)。

そしてこれはキシノウエトタテグモ(の住居)。

キシノウエトタテグモの住居


この写真では何だかわかりませんね。
棒でちょっとめくると、扉になっていて土中に住居が続いています。

住居の扉。トタテグモは「戸を立てるクモ」という意味です。


このクモは主に夜間、扉付近に待機していて、獲物が近くを通りかかると住居から飛び出して、あっという間に中に引きずり込んでしまいます。
掘り出せばクモを見ることもできますが、気の毒なので今回はそこまでやりません。

実はこの場所、駅前のロータリー脇。地面を覗き込んでいると、周囲からけげんそうな視線が飛んできます。
でも、こんな面白い習性を持つ生き物が身近にいるのですから、ぜひ皆さんに知っていただかなければなりません。多少の痛い視線は気にせず、断固としてしゃがみ込み、棒を拾い、扉をめくりながら写真を撮影しました。ちょっとそんな風景も思い浮かべていただけると幸いです。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , , , , , | 意外に身近な多様性(クモ) はコメントを受け付けていません

春のキノコと言えば

博物館お隣の樹林地では、コブシの花が満開です。

コブシの花

コブシが満開を過ぎ、サクラが咲き始める頃、あるキノコの仲間もシーズンを迎えます。

アミガサタケの仲間

アミガサタケの仲間です。樹林地内のある場所にまとまって発生していました。
欧州ではアミガサタケはモリーユなどと呼ばれて食材にもなるそうです(写真のキノコは近い仲間の別種と思われます)。それはともかく、この仲間の傘のヒダはハエをおびき寄せるようで、よく見るとたいていハエがとまっています。

傘にとまるハエ

やや近い仲間のスッポンタケのような強烈な臭いはしないのですが、なんとなく臭いが漂っていました。
キノコというとなぜか秋のイメージが強いのですが(おそらくマツタケの季節感に引きずられていますね)、真冬以外はいつでも何かしら発生しています。キノコのシーズンも本番を迎えつつあるようです。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , | 春のキノコと言えば はコメントを受け付けていません

妖怪の芽生え

閉館中の博物館内は静まりかえっています。中庭は風の音ばかりが響いてちょっと寂しげです。
地面をよく見ると、今年もまた、あの妖怪が頭をもたげてきました。

毛むくじゃらの頭をもたげています

近くにはもう少し立ち上がって、正体を現しつつあるものも。

破れた傘のようなものが・・

・・と、ついそんな言い方をしてしまいたくなるのは、その植物名「ヤブレガサ」(キク科の多年草)のせいです。実際は白い綿毛が気持ちよさそうでかわいらしい芽生えです。

ヤブレガサの芽生え

植物の芽生えや崩芽の様子はなんだか動物っぽいものが多く、近くに植栽されているミヤマガマズミの崩芽も・・

ミヤマガマズミ

春の訪れにバンザイをして喜んでいるようですね。
こちらは、合わせた手を上に伸ばしているような崩芽の様子です。

合わせた手を上に伸ばしているような芽

ヤツデでした!

ヤツデの成葉

博物館は今月いっぱいまで閉館となります(3月21日現在)。中庭の元気な植物たちも、お客さんの視線を早く浴びたいだろうなと思ってしまいます。

カテゴリー: 生きもの・地形・地質 | タグ: , | 妖怪の芽生え はコメントを受け付けていません