春分

3月20日は二十四節気の春分(しゅんぶん)です。それに合わせた祝日でもあります。
毎年春分の頃、開花のピークとなるシロバナタンポポが博物館お隣の樹林地で咲いています。

シロバナタンポポ

この真っ白なタンポポは、もともと西日本で普通に見られる在来種のタンポポですが、どういうわけか、博物館周辺ではぽつりぽつりと株が見られ、急激に増えるわけでもなく、でも数年にわたって同じ株を見ていると、枯れて消滅していきます。関東地方ではあまり長生きしない植物なのかもしれません。

真っ白な花弁に、黄色い柱頭と雄しべがおしゃれです

在来種のカントウタンポポも時々花色の薄いものがありますが、それは透けるような黄色になり、こちらのシロバナタンポポは絵の具の白で塗ったような白さです。黄色く見えるのは柱頭と雄しべです。
こちらが同じ場所で咲いているカントウタンポポです。

カントウタンポポ

博物館の駐車場のフデリンドウは、だいぶ立ち上がってきましたが、まだ少しつぼみが固いようです。

フデリンドウ(つぼみ)

ほかの早春植物が早め早めに咲き始めているのに比べると、フデリンドウは意外と頑固で、例年とあまり変わらない開花となりそうです。

※博物館は3月31日(火)まで臨時休館のため、考古企画展は4月1日(水)から開催の予定です(3月20日現在)。

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カントウタンポポも開花

3月31日まで休館中の博物館ですが(休館期間は3月18日現在)、周辺の生きものはすっかり春の様相です。前庭のカントウタンポポも開花しました。

開花したカントウタンポポ

在来種のカントウタンポポと、外来種との雑種の分布が拡大しているタンポポですが、博物館の前庭やお隣の樹林地内には在来種のカントウタンポポが生育しています。ただし、駐車場や道路際には雑種のタンポポが多いので注意が必要です(最終的には花粉を顕微鏡で観察しないと確定できません)。
公用車の駐車場で栽培しているオキナグサも満開です。

栽培しているオキナグサ

オキナグサは、市内でわずかな場所で自生している絶滅危惧種で、博物館でその系統を保存する目的で栽培しています。
例年よりもだいぶ早めの開花となり、市内の自生地の様子も確認に行かなくてはと、ちょっと焦っています。

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早春植物の生育環境調査

3月13日、相模原市緑区の希少な植物の生育環境を調査しました。これは、昨年の台風19号などで甚大な被害を受けた植物の生育地が多かったため、この時期でないと確認が難しい早春植物を中心に調査を行ったものです。
まず1カ所目は、自生のカタクリがある緑区の、とある渓流です。林内は倒木が多く発生していましたが、生育環境に大きな問題は無く、つぼみがたくさん見られました。

カタクリのつぼみ

カタクリの開花時期は、ソメイヨシノとほぼ重なります。つぼみの状況から判断すると今年はやはり早く、今週中には開花が始まりそうです。
沢沿いにはヨゴレネコノメがひっそり咲いていました。

ヨゴレネコノメ

続いて、フクジュソウの自生地へ。さすがにフクジュソウはほとんど花が終わっていたのですが、日陰の北斜面でわずかにまだ咲いていました。

フクジュソウ

ここも自生地の環境は問題ありませんでしたが、この地域へ向かう道の脇の植林地はあちらこちらで土砂崩れの跡が見られました。
次に向かった場所は県道沿いの植林地ですが、倒木を片付ける作業がアズマイチゲやキクザキイチゲの自生地で行われていて、重機と、小分けに切られた幹に被われていました。その脇でわずかにアズマイチゲが咲いていました。来年以降、復活してくれることを願います。

アズマイチゲ

その奥ではニリンソウが咲き始め、カタクリも1輪、開花していました。

ニリンソウ

カタクリ

この他にも、現地へ向かったものの復旧作業中で近づけない場所もありました。
帰りがけに相模川の河原に寄ると、ヒレンジャクが飛来していました。

ヒレンジャク

先月のブログでレンジャクとヤドリギについて書き、相模原市内にも飛来するかもと予測しましたが、やっと来てくれました。ちなみに、このヒレンジャクのフンはねばっていませんでした。すでにヤドリギを食べ尽くし、ほかの果実などを食べているのでしょう。間もなく、好物?のヤナギも開花するので、そこまでがんばって滞在してほしいですね。

※博物館は3月31日(火)まで臨時休館のため、考古企画展は4月1日(水)から開催の予定です(3月15日現在)。

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今年も見損ねたジグモのバルーニング

先日、このようなものを発見しました。

何の糸?


一見なんの変哲もない「クモか毛虫が出した糸」に見えますが、春先である事と、執拗に何度も重ねられたように見える外見等から、どうやらジグモの幼体がバルーニングをした痕跡だと推測されます。
「バルーニング」というのはクモが糸を空中に吹き流し、その糸にぶら下がったまま上昇気流に乗って空中を移動する行動を指します。そう、気球(バルーン)に乗るようにして空を飛ぶのです。
春先にジグモの幼体が、このバルーニングで拡散する行動はよく知られていて、私も二度だけ見たことがありますが、小くて頭でっかちのクモが右往左往しながら高いところに上がっていって、次々飛び立つ様は、見ていて飽きません。
ぜひ写真を撮りたいと思っているのですが、残念ながらカメラを持ち歩くようになってからは出くわすことがなく、このシーズンになるとかなり気をつけているのに、いつも空振りでがっかりしています。
今年は、痕跡に出会えたのでニアミスです全く気付かなかったよりましですが、よけいに悔しくもあります。そういえば前日は気温も高くて風も穏やかで、絶好の条件が揃っていました。今更気が付いても後の祭りですが。
それでも近くに他の個体群がいないか確認しながら歩いていると、別な種類のクモがいくつかいました。

マネキグモ


いつ見ても見事な擬態のマネキグモ。既にこのサイズという事は幼体で越冬したのでしょう。

マルゴミグモ


マルゴミグモ。水平円網の上に乗っかっている変なやつ。温暖化の影響で分布拡大しているという割には、こんな春先にしっかりと活動しています。

ギンメッキゴミグモ


ギンメッキゴミグモ。雑木林の定番ですが、庭先にも表れる銀色にきらきら輝くクモです。

今日は冷たい雨が雪に変わり、冬のような日ですが、生き物は一気に春へと向かっているようです。

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昆虫たちも動き始めています!

3月12日、資料調査のついでに寄った県西部の丘陵地では、ビロードツリアブが早くも活動していました。

ビロードツリアブ

といっても、すぐに日向の落ち葉の上で体を温めながらの活動、という感じでした。
テングチョウはもともとこの時期に越冬個体が元気に活動します。ボロボロの翅(はね)もなんのその、と飛び回っていました。

テングチョウ

植物も、モミジイチゴが咲き始めていて・・

モミジイチゴ

キブシは花穂の半分くらいまで咲き進んでいます。

キブシ

相模原とは反対側から見た丹沢南部、大山の景観です。

渋沢丘陵から見た大山

相模原より若干早い季節の動きですが、まもなく相模原市内でも同じように春が進むことでしょう。

※博物館は3月31日(火)まで臨時休館のため、考古企画展は4月1日(水)から開催の予定です(3月12日現在)。

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休館中の博物館(標本整理と企画展準備)

休館中の博物館では、例えばこんな事もやっています。

クジャクチョウ(市外産です)。


寄贈いただいた標本の整理作業です。
1点ずつ確認して目録を作り「博物館資料」として収蔵庫で大切に保存します。中には1950年代の標本などもあり、貴重なデータが日々蓄積されていきます。

パソコンは必須の道具


意外に知られていない、博物館の大切な仕事の一つです。

一方、展示に関わる仕事も進行中です。
考古企画展「真・津久井城展 ~戦国の世に黄金を生む城~」の展示準備は着々と進んでいます。

資料をどう効果的に見せるか、腕の見せ所です。

ウォールケースの中でも作業中


予定通りの大詰めです。

これ、何でしょう。ちょっと考古学の展示っぽくないですね。

これはなんでしょう?


答えは…まだお楽しみにとっておきます。
企画展が始まったら、ぜひ確かめに来てください。

※博物館は3月31日(火)まで臨時休館のため、考古企画展は4月1日(水)から開催の予定です(3月12日現在)。

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カザグルマの移植

3月7日、市内緑区のある地区に、「相模原のカザグルマを守る会」のメンバーが訪れました。

カザグルマの株を掘り取る「守る会」のみなさん

ここは、リニア中央新幹線の建設予定地となっていて、この数年のうちにリニア本線建設のために一帯が10メートルほどかさ上げされる場所です。ここで相模原産の絶滅危惧植物、カザグルマ(キンポウゲ科)を増殖してくださっていた方の家も立ち退くことになり、移植作業のために集まったのです。
大切に掘り取った株をもとの自生地へと運び、移植します。

斜面地へ株を移植します

自生地はもともとあった親株以外に生育が確認できず、消滅の可能性が極めて高いため、増殖した株を植え戻しているのです。

つるをまわりのササへ結びつけます

かつてこの場所は、花の季節には遠目に見ても大輪の花が咲き乱れるのが見えたというほど、たくさんのカザグルマがあったそうです。
そこまでになるには長い年月と環境整備が必要になりますが、少しでも多くの株が生き残るように、慎重に植え付けました。
博物館にも数株持ち帰り、中庭に植えました。

博物館の中庭のコナラに巻き付けました

すでに植えてあった株と共に、ゴールデンウィーク前くらいに咲き始めるでしょうか。下の写真は、昨年の自生地での開花のようすです。

昨年の自生地での開花のようす

自生地でも根付くことを願いながら、花の季節を待ちたいと思います。

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啓蟄

3月5日は二十四節気の啓蟄(けいちつ)です。冬籠(ふゆごも)りの虫が這(は)い出るという意味で、虫とは昆虫だけでなく、カエルやトカゲなどいろいろな生き物を含むとされています。

産卵場所へ向かうアズマヒキガエル(過去の写真)

上のアズマヒキガエルの写真は過去に市内中央区で撮影したものです。例年、この場所はちょうど啓蟄から次の節気の春分の間くらいに産卵するのですが、今年は春の進行が早く、一昨日訪れた時にはすでに産卵から1週間程度経ったところでした。

アズマヒキガエルの卵紐(らんちゅう)

卵はすでに発生がかなり進行して、尾芽胚期(びがはいき)と呼ばれる状態でした。

いわゆる「だるま胚」と呼ばれる尾芽胚期の卵

急ピッチで春が進んでいるので、今年は春の花も生き物も、早めに確認しないと時期を逃してしまいそうです。

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相模原市立博物館は3月15日まで臨時休館となります

新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、相模原市立博物館は3月3日~3月15日まで臨時休館となります(3月16日は通常の休館日)。ご理解とご協力をお願いいたします。当面のイベントの情報等についてはこちらをご覧下さい。なお、3月17日以降については今後の状況により変更になる場合がありますので、最新の状況、予定については博物館ホームページでご確認をお願いします。

さて、博物館の駐車場周辺は少しずつ春が進んでいます。タチツボスミレが咲き始めました。

タチツボスミレ

また、お隣の樹林地ではショカッサイがたくさん咲いています。

ショカッサイ

博物館は休館中ですが、開館できるようになったらすぐにオープンできるように、考古分野の企画展の準備を進めています。
職員は出勤しており、お問い合わせなどの電話対応も通常どおり行っております。

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企画展の準備

博物館は、現在臨時休館中ですが次回企画展「津久井城跡市民協働調査10周年記念 真・津久井城展 ~戦国の世に黄金を生む城~」の準備が進んでいます。
昨日は、学芸班総出で、特別展示室のレイアウト変更を行いました。
展示物を並べる前に、パーティション(可動式の壁)や展示ケースの移動という肉体労働が欠かせません。
今回は少し臨場感を感じていただくため、写真ではなく動画(各10秒程度)でお見せします。

 


現時点では3月16日(月)まで休館の予定ですが、一刻も早く状況が改善し、来館者をお迎えできるように準備を進めています。

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