市民学芸員かわら版第4号「帰ってきた冬の使者」を掲示中!

博物館の中に、市民学芸員によるかわら版が掲示されている場所があるのをご存じでしょうか。
場所は1階のベンチのあるコーナーです。
かわら版の内容は二ヶ月ごとに更新されており、現在は第4号が掲示中です。
今回のテーマは「帰ってきた冬の使者」
この時期に市内で見られる鳥と、おすすめスポットを紹介しています。

博物館へお越しの際は、ぜひこちらもご覧ください!

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アズマイチゲと40年の歳月

2月29日、市内南区と大和市の境にある境川の斜面緑地に集う人々がいました。
今から40年ちょっと前のこの場所でアズマイチゲを発見した、県立上鶴間高校生物部のOBたちと、当時の顧問の先生です。

アズマイチゲの群落を囲んで談笑する上鶴間高校OBのみなさんたち

今は、地元のNPO法人境川の斜面緑地を守る会が管理・整備を行い、保全している場所です。上鶴間高校生物部と守る会に直接のつながりはなく、それぞれにこの場所の貴重な生きものを発見し、保全への熱い思いを抱きながら見守ってきました。それがこの日、いくつかの偶然と必然が絡み合った結果、現地を訪れた生物部OBのみなさんを、守る会の創立メンバーが案内することになったのです。
折しもアズマイチゲが例年よりだいぶ早く開花のピークを迎えていました。

アズマイチゲ

ヒメウズやジロボウエンゴサクも早春の木もれびの中、開花しています。

ヒメウズ

ジロボウエンゴサク

遠くは岡山県から駆けつけたOBの方もいて、いとおしそうにアズマイチゲの花を見つめていました。
40年以上も遡る発見のいきさつと、そこに関わる方々がつながったのも、発見時の標本が採集データと共にしっかりと残されていたからです。
生物標本を残すということは、その生物の存在だけでなく、関わる人間の歴史も残すものなのだということを改めて感じました。

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クサグモ現る(2020)

今朝、歩いていると視界の隅にキラキラ光るものが映りました。

クサグモの網。朝日を浴びて光っています。


クサグモの網です。

クサグモ幼体


このクモは卵で越冬するので、今年生まれた個体です。街中でも普通に見られ、春先に真っ先に姿を現す生き物のひとつです。2月中に出現を確認したのは、ちょっと早い気もします。

アップで。半分隠れています。


むやみに接近すると、さっと隠れてしまうので、そーっとカメラを近づけます。体長は1-1.5mm程度。これが夏頃には1.5cm位になるのですから、驚異的な成長スピードです。

寒い日が続く中で、生き物が動き出すのを見つけると、いつも楽しくなります。
春は着々と近づいています。

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日本の野鳥、最小対決!

2月27日、市内中央区の段丘崖(だんきゅうがい)沿いの斜面緑地で、アズマヒキガエルやヤマアカガエルの産卵状況を調査してきました。
例年、3月初旬から中旬にかけて産卵するアズマヒキガエルが、すでに産卵後3、4日以上経っているものがありました。
さて、そんな調査をしながら野鳥の様子も見ていたのですが、この日は地面近くと樹上で、日本の野鳥最小対決を見ることができました。まずは地面近くのミソサザイです。

ミソサザイ

嘴の先から尾の先まで(全長)、10cmほどしかない鳥です。小さい上に、短い尾をピンと上向きに上げるのがミソサザイのかわいらしい基本姿勢です。
そして、小ささなら負けない!と針葉樹の枝先をこまごま動き回っていたのはキクイタダキです。あまりにも小さくて撮影するのにとても苦労する鳥です。実は、ミソサザイと対決しているわけではなく、こちらが勝手にそう言っているだけなのですが、

キクイタダキ

図鑑などでは、キクイタダキが日本で一番小さな野鳥と書かれています。全長はだいたい10cmでミソサザイと変わらないのですが、キクイタダキの方が頭が大きく尾も長さがそれなりにあるので、胴体はキクイタダキの方が小さいのでしょう。実際に見ても、こちらの方が小さく見えます。
さらに、こちらも胴体の小ささは負けていない、エナガです。全長は約13cmですが、尾の長さが半分くらいを占めるため、胴体はとても小さく見えます。

巣材の羽毛を運ぶエナガ

こちらは巣材の内材となる鳥の羽根を懸命に集めていました。
ところで、最近、エナガの群れとなぜか行動を共にすることが多い鳥がいます。リュウキュウサンショウクイです。

リュウキュウサンショウクイ

市内では夏鳥として南から渡ってくるサンショウクイという鳥と亜種の関係にあり、繁殖地は南西諸島です。この5年ほどの間に、亜種サンショウクイと逆方向の渡りをして、秋の終わりから早春まで、県内に滞在します。とても不思議な季節分布の変化は、鳥の研究者の間でもホットな話題となっています。エナガの群れと行動を共にすることも含めて、冬に北上する理由は、まだはっきりわかっていません。
あちらこちらでシジュウカラが囀り、ウグイスもまだ本調子ではありませんが、ホケキョ!と鳴いていました。春がもうすぐそこまで来ています。

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臨時休館の歴史分野展示作業~実物資料の展示替え~

2/25から2/27まで、当館は臨時休館日でした。
これは急に決まったわけではなく、展示物の清掃、メンテナンスなど、日常ではできない業務を行うため、半年に一度程度設けているものです。

模型のホコリを落としています

歴史分野の展示では、この半年に一度の臨時休館に合わせ、必ず行っていることがあります。
それは、常設展示室内の実物文書資料の展示替えです。紙資料は、長く展示していると日焼けなどで傷んでしまうため、資料保護を目的に展示替えを行っています。

江戸時代の入会地(いりあいち)関係資料を展示替え

展示替えを行ったのは、江戸時代から明治時代の展示で、新田・新開の開発関係資料、八王子千人同心の長州出兵日記、明治期の養蚕や横浜鉄道に関する資料などです。この展示替えに、歴史分野のアルバイトさんの勤務シフトも合わせ、入れ替え作業を行いました。

明治時代の養蚕、横浜鉄道関係資料などを展示替え

普段は何気なく展示をご覧いただいていることと思いますが、紙の実物資料にはこのような配慮を行っていることを知っていただけるとありがたいです。

興味を持った方は、当館の江戸時代から明治時代の展示コーナーを半年置きぐらいに注意深く確認し、展示替えを実感していただけると、なおありがたいです。

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古民家にはおひな様が良く似合う

今年も吉野宿ふじや「甲州道中-相模湖・藤野・上野原-のおひな様」展を開催しています。毎年恒例、大好評のおひな様の展示です。ホームページでのお知らせはこちら

藤野、相模湖、上野原の各家庭で大事にされてきたひな人形を展示するとともに、吉徳資料室からお借りしたひな人形の写真も紹介しています。

展示の様子を少しだけご紹介しましょう。

明治43年のおひな様とのこと

開催期間は2/15(土)から3/15(日)まで。開館時間は10:00から16:00。期間中の休館日は月曜日です。もちろん入館無料です。

ぜひご来館ください!

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博物館は2月27日(木)まで休館です

博物館は機器設備のメンテナンス等のため、当初からの予定どおり2月26日(水)と27日(木)は休館となります。
また、新型コロナウイルスの感染拡大防止のためのイベント等の中止・延期もありますので、詳しくは博物館ホームページをご覧下さい。

さて、そんな休館日、静かな館内の実習実験室から外を見ていると、ガラスの窓に不思議な模様が付いてるのに気付きました。

中央にV字形の白い模様が見えます

写真ではわかりにくいのですが、中央に白くV字形の模様があります。
見やすいように、接近して撮影した写真をさらに画像補正してみました。

画像補正しているので、肉眼ではこれほどハッキリは見えません

博物館のガラスでは、たまにこんな模様が付いていることがあるのですが、これはハトがガラスに正面衝突してできた衝突痕です。おそらく周辺の樹林に多いキジバトだと思われますが、この痕だけでは種類まで特定できませんでした。
ふつう、鳥がぶつかっただけではこんな明瞭な痕は付きません。でもハトの羽根は、粉綿羽(ふんめんう、または、こなめんう)と呼ばれる特徴があり、羽毛の一部が伸びてすぐに崩れて粉状になります。これが衝突してガラスに張り付いているのです。ちなみに粉綿羽はフクロウやインコの仲間にも見られる特徴です。
さて、気になるのは衝突したハトがどうなったかですが、外に出て確かめてたところ、地上に落下したようすはありませんでした(または、すぐに飛び立ったか)。外から見ても衝突痕が見えます。

衝突痕を外から見たところ

博物館周辺の樹林にはオオタカなどの猛禽類が生息しています。きっと、タカに追われたハトが慌ててぶつかってしまったのでしょう。ずっと以前、中庭のガラスに、ハトの衝突痕と一緒にタカの衝突痕(ハトほど明瞭ではありませんでしたが、大きさから判断しました)も付いていたことがあります。時間帯や天候によって、ガラス面が鏡のようになって空や樹木を映してしまうと衝突しやすいようです。そうした場合は衝突防止シールもあまり役に立たないようで、対策に苦慮しています。

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レンジャクとヤドリギ

新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、博物館の様々な行事が中止となっています。詳しくはこちらをご覧下さい。
なお、博物館は通常どおり開館しておりますので、感染防止策にご配慮の上ご来館ください。

さて、そんないつもと違う2月ですが、生きものはいつもどおりの動きを見せています。例年、1月から3月にかけて日本に飛来する冬鳥のレンジャク類が、今年は少し多めに来ているようです。市内ではまだ情報はありませんが、県央、県西などで飛来の情報があるので、市内でも遠からず飛来するかもしれません。写真は県西部のあるポイントです。右がヒレンジャクで、左は、よく似ていますが、キレンジャクです。

キレンジャク(左)とヒレンジャク(右)

キレンジャクは尾の先が黄色いのが目印です。

キレンジャク

ポイントというのは、レンジャク類は渡ってきた当初、大好物のヤドリギの果実を狙って集まります。ヤドリギは着生植物で、ケヤキなどの大木にぼんぼりのように丸く株をつくることでよく目立ちます。

ヤドリギ

ヒレンジャクが黄金色に光る果実を食べています。

ヤドリギの果実を食べるヒレンジャク

じつはこのヤドリギの生態にはレンジャク類が深く関わっています。
ヤドリギの果実は、とても粘性の強い果汁が含まれていて、レンジャク類はその粘性そのままのフンをします。

フンが粘って垂れているヒレンジャク

これは瞬間を撮影したのではなく、つるる~とゆっくり落ちていくので、肉眼でもハッキリと粘っているのが見えるのです。
こんなに長く!

粘って長く垂れているヒレンジャクのフン。ほかの枝にもたくさん垂れ下がっています

そして、そのフンに含まれたヤドリギの種子が枝について、ヤドリギはそこからまた芽生えて株を形成するのです。
実際に枝についたヤドリギの種子はかなりの粘着力で、簡単にはがせないほどです。
今年はレンジャクが多いので、ヤドリギも子孫を増やすチャンスの年ということになりますね。

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【中止となりました】今月の生きものミニサロンは、今週末です!

実施予定だった生きものミニサロンは、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、中止といたします。 楽しみにしていた皆様には大変申し訳ありませんが、ご理解いただきますようお願いいたします。

なお、そのほかのイベントの中止情報についてはこちらをご覧ください。

毎月恒例の生きものミニサロン、今週末の2月22日(土)、12時からです。
今回のテーマはズバリ「スギの花粉ってヤツを見てやろう!」と題して、野外でスギ花粉を採集し、それを顕微鏡で見てみます。
昨年の様子です。

博物館の公用車駐車場で花粉を採集

公用車から花粉を採集するのですが、方法はいたって簡単!どんな風に採集するのかは当日のお楽しみです。
そして、それを実験室へ持っていき、顕微鏡観察。

花粉を実験室に持ち帰り、顕微鏡で観察します!

スギ花粉症にお悩みの方も多いと思います。私たちを困らせるアレルゲンのスギ花粉って、実際どんなものなんだろう?と、“敵を知る”のも、対策の一つの手段かもしれません。時間は12時から約30分、お申し込み不要ですので、お気軽にご参加ください。

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毎年恒例の「繭うさぎ作り」開催しました

今年も毎年恒例の「繭(まゆ)うさぎ作り」が行われました。

カイコがつくる繭からうさぎの人形を作ります。

  

繭は、昨年の初夏に博物館で育てたカイコの繭です。

博物館ボランティアの市民学芸員のみなさんがやさしく手ほどきしてくれていたので、小さなお子さんも、ご年配の方も、楽しそうに作っていました。

 

 

 

 

 

 

 

今回もかわいいうさぎがたくさん完成しました!

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