栽培株も春の準備

今日(2月13日)も春のような陽気です。
博物館では、市内に分布する絶滅危惧植物の系統保存のために、敷地内で何種類か栽培をしています。そんな株も、春の準備が進んでいます。
こちらのプランターは枯れた草しかないように見えますが・・

枯れ草のプランター!?

オキナグサの若い毛むくじゃらの葉が、今にも展開しそうに準備中。

じつは、株の中央には今年の若芽が・・

ちなみにこちらは、保全地で2017年に撮影した花の写真です。

オキナグサの花(2017年撮影)

こちらはカワラノギク。独特の越冬株(ロゼット)ですが、緑色の葉を付けたまま冬を越しました。

ロゼットが立ち上がる独特の形の越冬株です

昨秋咲いた保全地の花の写真です。

カワラノギク(2019年撮影)

さらに、駐車場のフェンスに枯れたつるがからみついているようにみえますが・・

枯れているように見えますが・・

こちらはカザグルマです。つる性の樹木なので、冬芽がしっかりついています!

ちゃんと冬芽がついています!

保全地で撮影した2018年の開花の様子です。

カザグルマの花(2018年撮影)

いずれの保全地も、人の整備の手が入らなくなると、とたんに消えてしまうような環境でどうにか残った植物です。博物館での栽培は保険のようなものですが、今年もしっかり咲いてくれるように手入れを続けています。

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メスとオス

市内緑区の相模川で調査をしていると、回りを偵察するかのように飛び回る鳥がいます。
ジョウビタキのメスでした。

ジョウビタキ(メス)

平地の代表的な冬鳥ですが、近年、中部地方などで繁殖分布を広げている注目の種です。オスはこんな風にとても美しい色合いです。

ジョウビタキ(オス)

でも、メスも目がくりくりしていてとてもカワイイですね。
別の場所へ移動すると、近い仲間のルリビタキのメスにも出会いました。

ルリビタキ(メス)

こちらも、とってもキュート。オスはこんな風に瑠璃色と山吹色が鮮やかで美しく、オオルリ、コルリと並び“瑠璃御三家”と称される人気の鳥です。

ルリビタキ(オス)

でも、やっぱりメスのかわいらしさも格別です。
そういえばジョウビタキのメスを見ているそのすぐそばで、キツツキの仲間のコゲラがコツコツと木を叩いていました。

コゲラ(うしろ姿)

コゲラはほぼ雌雄同色です。なぜ“ほぼ”なのかというと、普段は隠れて見えないところに、オスだけについている羽があります。上の写真では頭を少しさげているので見えています。拡大して見ると・・

後頭部の赤い羽がオスの目印

後頭部の両脇に真っ赤な羽根があります。これが、オスの目印です。
鳥のメスとオスにもいろいろありますね。

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春の準備

2月7日、博物館の駐車場の一角では、植物の春の準備が着々と進んでいます。

フデリンドウの越冬株

これは、フデリンドウの越冬株です。フデリンドウは越年草(おつねんそう)で、秋に芽生えてある程度まで育ったところで休眠します。落ち葉に隠れるようにして冬を過ごし、4月の始め、地面に直射日光が届いているうちに開花します。下の写真は昨年の開花の様子です。

フデリンドウ(2019年4月撮影)

2ヵ月後にはこんな風に咲くというのがちょっと想像つきにくいのですが、日が延びてきているのをハッキリと感じられるこの頃、春はしっかり歩みを進めています。
そういえば写真を撮っている時、近くに架けてある巣箱の穴を、シジュウカラがせわしなく覗いていました。これは、巣穴に使う場所を選んでいて、冬の終わり頃から始める行動です。その巣箱を選んでくれると良いのですが。

シジュウカラ

上の写真は別の場所で撮影したシジュウカラです(望遠レンズを持っていなかったので、穴覗きの写真はありません)。ちょっと遠くの方からはさえずりも聞こえてきました。
昨日からこの冬一番の冷たい風が吹いていますが、だんだんと日差しが力強さを増しているようにも感じます。あと3週間ちょっとで、カレンダー上も春がやってきます!

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大沢小学校のカイコの学習成果を展示

2月5日(水)から、1階のエントランスでミニ展示「大好きおおさわ 伝えるステージ~カイコと出会って~」が始まりました!

展示の様子

これは、大沢小学校3年生が総合的な学習の時間に、学芸員が学習支援でカイコについての出張授業を行ったことが縁で実現したものです。
前日、担任の先生が来られて児童の皆さんの作品を展示しました。

前日の列品作業の様子

カイコを育てて繭を収穫。その中で、カイコの命について考え、農業という仕事のことや、大沢地区でかつて盛んだった養蚕の歴史などを学び、その成果の一つとして、自分たちで収穫した繭を作品にしてくれました。

児童の皆さんの展示

心のこもった繭人形や、繭から取った紬(つむぎ)糸を編み込んだ栞(しおり)など、たくさんの作品を展示しました。

児童の皆さんの展示

2月26日(水)まで展示していますので、博物館にお越しの際はぜひご覧下さい。

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立春のヤモリ

2月4日、立春です。
と言っても、まだ真冬。暖かい日もありますが、今日も冷たい風が吹いています。
そんな中、この時期にいつもつい覗いてしまうのが、博物館の前庭に立っている木に付けられた、樹名板(の裏)。

樹名板をめくると・・

クモの仲間やカメムシなどが越冬しているのですが、ちょっと大きなものではこんなのが・・

何かが挟まっています

アップにしないとよくわかりませんが、ヤモリです。

小さめのヤモリです!

冬眠中に鳥などに襲われないよう、こんなところに隠れています。
暖かい日だと驚いて逃げてしまいますが、さすがに今日はじっとしたままだったので、そっと戻しました。
ところで、博物館のクヌギの幼木が、今年はちょっとヘンです。

葉が落ちないクヌギ

枯れた葉が落葉せずに、枝についたままです。通常は、葉柄(ようへい)の付け根に「離層(りそう)」というシャッターのようなものが形成され、12月中にはぽろりと落葉します。しかし昨年は秋がズルズル長引くような季節が続き、紅葉も3週間以上遅かったため、離層の形成のタイミングを逸してしまったのでしょうか。他の場所でも、今年は葉がついたままのコナラやクヌギがある、と情報をいただいたりしています。
ちなみに、クヌギと同じブナ科のカシワは元々枯れた葉を付けたまま冬を越します。冬は遠目に見てもカシワを識別できる特徴の一つなのですが、今年はそうもいかないようです。春まで落ちない葉・・受験生のお守りになりそうですね。

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ウグイスカグラは花盛り

1月29日、30日と、晴天と春を思わせる暖かいお天気になりました。
博物館の前庭のウグイスカグラが、もう花盛り!

博物館前庭に咲くウグイスカグラ

といっても、これは暖冬で若干早めということもありますが、元々真冬から咲き始める花です。
一斉には咲かず、同じ株の中でも少しずつ、長く咲きます。

年によっては雪の中で咲いていることも!

目立たない花なので、せっかくこんな真冬に咲いているのに気付かれないこともしばしば・・。
市内の緑地や丘陵地の雑木林などにも普通に見られる木です。ピンク色のかわいらしい花をぜひ探してみて下さい!

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生きものミニサロン「落ち葉や土の中の生きもの」開催しました!

今日(1月25日)の生きものミニサロンは、土壌動物がテーマでした。
普段は見えない落ち葉の下や土の中にもたくさんの生き物がいる事を実感していただくのが狙いです。
というと堅苦しいのですが、単純に「採集体験してみよう!」という企画です。
予め博物館周辺で採集しておいた土や落ち葉を、大型のバットに少しずつ分けます。皆さんにはピンセットを持っていただき、生き物を見つけたら別のバットに移してもらいます。

落ち葉や土の中から生き物を選り分けます

皆さんピンセットの使い方が上手です

大人も子どもも夢中です。
特にムカデ類やハサミムシは大きくて見栄えがするので人気(?)があったようです。
興奮冷めやらぬまま、寄り分けた生き物は簡単に「○○の仲間」という解説をして、次はもっと小さな生き物の観察です。
館周辺の土を、2日前からツルグレン装置(土壌中の微細な生物を抽出する装置)にかけて採集した、顕微鏡サイズの生き物を観察しました。

ツルグレン装置

ようやく目に見える程度の大きさですが、植物遺体を細かくして分解を促すという大切な役目を担っている生き物たちです。

直接見たほうがきれいに見えますね

顕微鏡の画像はプロジェクターでも投影しましたが、希望者は直接のぞいてもらいました。

その他、ムカデの足は何本?とか、ヤスデとの足のつき方の違いなど思いつくままに観察して終了。

こうして書くと淡々と進んだようですが、実際は延々とムカデを追いかける子、虫が嫌いと言いながら落ち葉をめくり続ける子、絶対珍しいものがいるはずだと目を輝かせるお父さん等々…正直言って、室内のミニ観察会にはありえないような熱気でした。土曜の昼の博物館に、ちょっとしたワンダーランドが出現したようで、担当者としても嬉しい限りです。
参加者の皆さん、ありがとうございました。
次はミニ観察だけではなく、本格的なワークショップもやってみたいですね!

もっと採りたい!とばかりに延長戦です。やっぱり虫探しは楽しいですね。

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黄色いけどアオジ

博物館の周辺の樹林には、林床(りんしょう)がヤブになっている場所が少なくありません。冬、そんな場所に決まってやって来るのがアオジという鳥です。

アオジ(オス)

上の写真の個体はオスですが、どこがアオジ?という色合いです。「森の木々が青々と茂り・・」というように、もともと「あお」は、現在の緑と青を含む色合いを指していました。古語ではさらに広く、寒色系の色全体を「あお」と呼んでいたそうで、灰色も青も緑も、「あお」となります。
アオジの頭はややオリーブ色がかった灰色で、これを指して「あお」となったようです。ちなみにメスはこちらです。

アオジ(メス)

「あお」というより、黄色が目立ちますし、実際、アオジの識別には胸の黄色が決め手になります。
ただ、鳥の名前には現在の青色ではない「あお」がよく使われています。下の写真の鳥はアオサギです。

アオサギ

灰色の部分は確かに青灰色(せいかいしょく)ですが、青色ではないですね。ほかにも、緑色のアオゲラというキツツキ、アオバトという緑色のハトなど・・。
逆に、青い鳥はオオルリ、コルリ、ルリビタキと、瑠璃(るり)がついています。比較的新しい時代に和名が付けられた海外の鳥のアオガラやアオショウビンは見事な青色ですが、古語で表現されなかったということなのでしょう。
なお、方言の古語の中には「あお」に黄色も含まれていたという説もあるので、アオジの種名はそこに由来している可能性もあります。

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勝坂でバードウォッチング

1月19日、市内南区の国指定史跡、勝坂遺跡で「勝坂を学ぼう!自然観察 冬の里山でバードウォッチング」(文化財保護課主催)が行われ、お手伝いに行ってきました。前日の雪から一転、これ以上無いような快晴に恵まれました。

快晴の谷戸を歩きます

前日の悪天候からの晴れなので、鳥たちの動きも活発です。食べ物探しに忙しい鳥たちは、なかなかゆっくりと姿を見せてくれなかったのですが、それでも地面で採食するツグミや・・

ツグミ

今年は飛来数が多い冬鳥のシメはしっかり全員で見られました。

シメ

みなさん、双眼鏡の扱いにちょっと苦戦していましたが、なんとか視野に納められたようです。

双眼鏡の使い方はちょっと難しい・・

一番の見どころは、エナガの群れだったでしょうか。ちょっと高い枝にいたので、下から見上げる角度になりましたが・・

真下から見上げたエナガのお腹

その小さな体とせわしなく動き回る姿を楽しむことができました。

カワイイお顔が見られたかな?

26名の参加者と、勝坂遺跡のガイドボランティアのみなさんと勝坂の谷戸と遺跡をゆっくり歩き、午前中の2時間弱の中で、19種類の野鳥を観察することができました。
※ここで使用した野鳥の写真は、過去に博物館周辺で撮影したものです。

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シメの風切羽

相模原市立博物館は本日、1月16日まで機器設備等のメンテナンスのために休館となっております。明日17日から通常開館します。
さて、博物館のまわりの樹林や駐車場には、冬鳥のシメという鳥が来ています。この時期は群れることはなく、たいてい単独で生活していますが、ピチッという特徴的な声ですぐに見つけられます。

シメ

オスは頭の黄金色が美しいのですが、よく見るとちょっと怖い顔をしています。

ちょっといかつい、オスのシメの顔

そして、あまり目立たないのですが、シメにはこんな美しさもあります。翼の先端近くにある風切羽(かざきりばね)の形と色です。

シメの風切羽の先端

風切羽の中でも先端近くの初列風切(しょれつかざきり)という羽根は、ふつうは羽根の先端がゆるやかな流線型になっています。しかし、シメの場合は初列風切の一部の先端がトゲのように出っ張っていて、しかも青色光沢があるのです。
このような羽根の特徴はオスにもメスにもあり、なぜこのような装飾が施されているか理由はよくわかりません。
鳥の羽根の造形は、不思議なことばかりです。

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